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資料/二・二六事件北一輝、西田税、亀川哲也判決(3)
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2004.2.18

大日本帝国で起きたクーデター事件、二・二六事件の軍法会議判決のうち、思想指導者とみなされた北一輝、西田税、亀川哲也の判決(昭和12年8月14日)の全文を転載し、「思想を裁くことの意味」を考える資料とします。

平仮名で表示していますが、原文はすべて片仮名です。

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被告人亀川哲也は沖縄県立第一中学校卒業後台湾総督府専売局、会計検査院、東京逓信局等の属官として転々勤続し昭和二年九月退職したるところ性隠険にして自尊心強く且軒智に富み屡兎角の風評あり、前示奉職中に研究したる財政経済に関する知識を頼み自ら学究と称し巧に政党の領柚等に取入り所謂政界浪人として自活の道を講し居たるも満洲事変勃発以来政党漸次凋落せりと見るや軍首脳部に接近し種々策動して陸軍部内の各種情勢を偵知し之を久原房之助等に提供して多額の生活資金を獲得し居たるか偶々昭和十年八月相沢中佐の永田軍務局長殺害事件発生するや直に当時の第一師団長柳川平助を訪ね詭弁を弄して相沢中佐の無罪論を主張して其の同意を求めんとし次て同年十一月頃予て旧知の間柄なる陸軍歩兵大尉山口一太郎、被告人西印税の両名より同中佐の弁護人選定方を依頼せられ弁護士鵜沢総明、陸軍歩兵中佐満井佐吉の両名を推薦選定し爾来昭和十一年二月頃迄の問に右弁護資料の蒐集及公判対策打合せ等の為自宅を其の会合場所に充て山口一太郎、村中孝次、磯部浅一、香田清貞、安藤輝三、栗原安秀、渋川善助及被告人西田税等と屡会合協議を重ね其の間逐次同人等の抱懐せる思想信念を感得理解し且一部青年将校間には被告人北輝次郎、西田税等の指導誘掖に依り其の思想的影響を受け日本改造法案大綱を国家革新の指導原理として革新機運の醸成に努力せる一派あるを偵知するや巧に該機運に乗して自己の野望を遂けむか為努めて連絡接触を緊密にし陰に各種の策動を為し居くるものなるところ

前記村中孝次、磯部浅一、香田清貞、安藤輝三、栗原安秀等は夙に我国現下の状態を目し内治外交共に萎疲して振はす軍備は国際情勢の緊迫せるに照し著しく其の充実を欠き加ふるに農山漁村の窮乏、中小商工業者等の疲弊は孰も其の極に達し皇国の前途転々憂慮に堪へさるものあり斯の如きは畢竟政党財閥其の他所謂特権階級か相倚り相扶けて私利私欲を肆にし国政を紊り国威を失墜せるか為なりと為し一君万民たるへき皇国本然の真姿を顕現せむか為には速に之等特権階級を打倒して国家を革新するの必要ありと痛感し軍内に同志を以て横断的結成を為し所謂昭和維新断行の機運醸成に努めありしか偶々村中孝次、磯部浅一等か其の反乱陰謀事件に関連し濫りに不穏なる粛軍に関する意見書を印刷頒布し終に昭和十年八月免官となるや其の運動益尖鋭となり更に天皇機関説を繞りて超れる国体明徴問題の進展に伴ひ其の運動一層白熱化し時恰も教育総監の更迭あるに及ひ之に関する一部の言を耳にして一途に統帥権干犯の事実ありと臆断し之に憤激せるか遂に同志相沢中佐の永田軍務局長を殺害する不祥事件惹起するや却て此の挙に感動し統帥権干犯の背後には一部重臣財閥の陰謀策動ありと為し、而も此尊重臣は倫敦条約以来再度兵馬大権の干犯を敢てせる元兇にして且君側に常侍し、聖明を蔽ひ奉らむとする奸臣なりと断し速に此等に天誅を加へ之を契機として所謂昭和維新の目的を達成せむことを決意するに至りしか、昭和十年十二月頃より第一師団将士の渡満前に事を挙くるの要ありと為し其の準備に著手し、相沢事件の公判を利用して統帥権干犯問題、所謂特権階級の腐敗堕落の事情、相沢中佐の蹶起精神等を宣伝し以て社会の視聴を集め且同志の決意を促すと共に近衛師団及第一師団の矯激なる一部青年将校等を糾合し皇軍の本義に惇りて兵力を僭用し内閣総理大臣岡田啓介、大蔵大臣高橋是清、内大臣斎藤実、侍従長鈴木貫太郎、教育総監渡辺錠太郎、公爵西園寺公望、前内大臣牧野伸顕等を襲撃暗殺し帝都枢要の地を占拠し所謂昭和維新を断行すへく著々其の実施計画を進めありたり


 

この資料は「思想を裁くことの意味」を考えるための資料として公表したものであり、判決関係者の思想、主義、行動を支持または不支持を表明するものではありません。

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(キタノ)
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