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---- 北の系2005 ----
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イラク戦争報道管制問題(番外編その9)
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2003.8.3

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イラク戦争連合暫定当局(CPA)
CPA (イラク戦争連合暫定当局)作成
フセイン一家懸賞付密告募集ポスター

これは、CPA (イラク戦争連合暫定当局)が作成したフセイン一家懸賞密告募集ポスターです。

報償は、フセインの息子二人分で36億円。

西部劇の映画で、保安官が「ならず者」をつかまえるために指名手配ポスターを貼って捕縛か殺害を命じるというようなシーンがよく出てきますが、そういうノリですよね、このポスターは。

殺害を前提とする密告募集ポスターを、民主主義社会が作っていいのでしょうか?

たとえば、朝鮮戦争が再開してアメリカが北朝鮮に空爆しはじめるということになった時に、北朝鮮が苦し紛れに小泉総理に懸賞指名手配を出し、情報を提供したら5億円払いますというような密告募集ポスターを出したら、容認できる人はいるでしょうか? 殺人予備とか殺人幇助になりますよね、普通。

■イラク戦争連合暫定当局(CPA)
The Mission of the Coalition Provisional Authority (CPA)
http://www.cpa-iraq.org/
・懸賞指名手配ページ(密告募集継続中)
http://www.cpa-iraq.org/pressreleases/PSA23July03rewards.html
密告連絡メールアドレス
tips@orha.centcom.mil
↑注意※これはネガティブリンクです。北の系は密告を推奨するものではありません。密告したことによって命を狙われても北の系では責任をとれません。

CPAのリンクだけでは不公平なので、占領監視活動のサイトも紹介しておきます。

国際占領監視センターでは、イラクにおける占領の実態把握、食糧・水・住居の供給、人権侵害調査、民間人犠牲者の把握、占領軍活動の監視、ハリバートンやベクテルなどの外国企業活動の調査・監視、イラク人の自律的組織の設立支援などをやっています。

■NGO 国際占領監視センター
http://www.occupationwatch.org/

2003年7月9日(REUTERS/ Juda Ngwenya )
南アフリカを訪問したジョージ・W・ブッシュ大統領前で
イラク戦争の抗議をするデモ参加者。
2003年7月9日(REUTERS/ Juda Ngwenya )

ブッシュ大統領は、イラクのフセイン大統領がアフリカのニジェールからウランを買って核兵器を作る準備をしていたという情報を、CIA関係者が根拠薄弱だという理由で公表の制止していたにもかかわらず演説で使用し、戦争の大義の根拠をアピールしていました。

ところが、ニジェールウラン輸入疑惑は、嘘だったことが発覚。嘘に嘘を重ねた大統領は、さらに苦境に立たされました。

フセイン子息殺害のニュースは、そういう時期に、ふってわいたかのように起き、報じられたのです。

2003年7月23日(米国陸軍 Curtis G. Hargrave曹長)
2003年7月22日、フセイン子息がいるとみなされた
住宅をTOWミサイルで攻撃する米国陸軍兵士。
2003年7月23日提供 (米国陸軍 Curtis G. Hargrave曹長)

「襲撃」「急襲」「攻撃」「掃討」「死亡」。

フセインの息子「殺害」は様々な表現で報道されました。

戦争である以上避けられない行為とはいえ、やっていることは「組織的な殺人」であり「殺害」であることにかわりはありません。

兵器については私はあまり詳しくないのですが、TOWミサイル(対戦車誘導ミサイル?)という兵器は、ピストルや小銃を持っている人間に対して使う兵器なのでしょうか?

2003年7月23日(米国陸軍 Curtis G. Hargrave曹長)
2003年7月22日、フセイン子息がいるとみなされた
住宅をTOWミサイルで攻撃する米国陸軍兵士。
2003年7月23日 (米国陸軍提供 Curtis G. Hargrave曹長)

この住宅の2階、左のバルコニーに、フセイン子息とみなされた人物がいたらしいです。そしてその奥には、フセインの孫ムスタファとみられる14歳の子供がいたそうです。

この爆発の様子だと、中にいた人は、爆発したミサイルの鋭利な金属破片が全身を突き破ったうえ、火だるまになっていたかもしれません。

 

 【バグダッド23日共同】ロイター通信は23日、イラクのフセイン元大統領の長男ウダイ氏と二男クサイ氏が殺害された同国北部のモスルの掃討作戦で、最後まで生き残って米軍に抵抗し、殺されたのはクサイ氏の息子のムスタファ君(14)だった可能性があると伝えた。

 現場の兵士の証言に加え、23日に記者会見したイラク駐留米軍のサンチェス司令官が「対戦車誘導ミサイルで3人の大人が殺されたとみられる」と述べたことや、「生き残った人物を殺害した」などという表現を使ったことが根拠。

米政府当局者は、死者の1人はクサイ氏の息子だと述べ、司令官は、残りの2人の死者の身元は不明としていた。


14歳の子供でも容赦無く殺害ですか。なんだか戦国時代の一族皆殺し戦後処理と変らないですね。

逮捕して裁判にかけるつもりなら、催涙ガスや睡眠ガスなど対テロ装備を使うこともできたでしょうし、1週間ぐらい包囲すれば降伏してくる可能性だってあったでしょう。

14歳の子供の命ぐらい、助けても良かったんじゃありませんか? というか戦時国際法違反では?

結局、裁判にかけて正義を示すという選択肢は、アメリカ政府にははじめから全く無く、報復感情を満たすために殺したということでしょう。

もし、昭和天皇の息子がフセインの息子みたいに殺されていたとしたら…それでも日本はブッシュの戦争を支持していたでしょうか?

日本のマスメディアは、裁判にかける可能性を一切排除した作戦だったことを、ほとんど報道していません。

日本のマスメディアは、殺害を肯定的に受けとめる情報を懐疑的コメントなしで、そのまま伝えています。

米国は22日、フセイン元大統領の息子ウダイ氏とクサイ氏が死亡したことを受け、イラク国民にとっては良いこととして歓迎した。

ブッシュ米大統領は、ウダイ氏らが死亡したとの情報に歓迎の意を表明、「旧政権が去り、戻ることはないことをイラク国民にさらに確信させた」と述べた。

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【バグダッド23日時事】イラク駐留米軍を率いるサンチェス司令官は23日の記者会見で、フセイン元大統領の息子ウダイ、クサイ両氏の殺害が、頻発する米兵襲撃の沈静化に向けた「転換点」になるとの認識を示した。

 サンチェス司令官は、「抵抗勢力や破壊分子にとって、2人の死は明らかに転換点となるだろう」と言明した。

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福田官房長官は、イラク駐留米軍が、フセイン元大統領の2人の息子の死亡を確認したことについて、これによって懸念を除去する方向に向かうなら結構なことだ、との見解を示した。

一方、小泉首相は官邸で記者団に対し、「一日も早く、安全な状況のもとで、各国が復興支援に協力できる環境ができればいいと思う」と感想を述べた。(7月23日13時0分)


戦争をやってるアメリカのメディアでさえ、こうした肯定的なコメントには「米政府はイラク指導部に対する戦犯裁判の実施に消極的である」とか「イラク人の手で裁判にかけろとの要求は無視された形となった」といった解説を掲載するのですが、日本のメディアはそれさえも書きません。

客観報道だから良いのだと言う人もいるかもしれませんが、こういう報道は、公平でも中立でも無いでしょう。

日本人記者は、官房長官会見の場で「殺さずに裁判にかけるべきではありませんか?」という質問をしていません。

アラブ系のメディアは、こんな感じです。

[アブダビ 23日] イラク戦争中に「コミカル・アリ」の愛称で知られたサハフ元情報相は23日、フセイン元大統領の息子ウダイ氏とクサイ氏が米軍兵士に対し散発的に起きている攻撃を直接指示していなかったとして、2人が死亡しても米軍への攻撃は終わらないとの見方を明らかにした。

 サハフ氏は「2人は潜伏していたのであり、抵抗したり、抵抗を指示する立場にはなかった。2人の行動範囲は限られており、拘束状態にあった」とアブダビのテレビ局に語った。

 サハフ氏はまた、2人の死亡後も米駐留軍に対する攻撃が行われたことで、2人が米兵攻撃で積極的な役割を果たしていなかったことが証明されたと述べた。(7月24日11時42分)


日本のメディア、特にNHKは、「“旧”フセイン政権による抵抗が拡大しているためにアメリカ兵士の死亡が増えている」という構図をイメージづける報道を続けています。つまり、悪いのはフセイン派の残党だと。

しかし、アラブ紙の報道は、そういう見解だけが紹介されているわけではありません。米兵を攻撃しているレジスタンス組織はかつて反イラク政府レジスタンスが組織をつくっているといった情報や見解も、アラブ紙では報道されているようです。

アメリカ兵を攻撃しているのがフセイン政権派のゲリラではないとすれば、いったい誰が攻撃しているのか。

占領軍に対する、旧フセイン政権とは無関係な民衆の抵抗がはじまりつつあるという情報を、日本のメディアでも詳しく掲載すれば、自衛隊のイラク派兵の大義の無さはもとより、米英の占領の大義自体が大きく揺らぐはずです。

ところが、日本政府に気がねしているためかどうか知りませんが、そうした事実や見解は日本ではあまり報道されていません。

2003年7月23日(AP Photo/Manish Swarup)
サダム・フセインの息子、ウダイ氏とクサイ氏殺害
を報じるアラブ紙を見るバグダッド市民。
イラク市民は一様に息子殺害のニュースに懐疑的。
2003年7月23日(AP Photo / Manish Swarup)

ウダイとクサイの死亡を伝えるニュースは、すぐにイラク国内で報道されました。

が、イラク市民は、米軍発表をすぐには信じなかったようです。

髪のはえぎわの位置が違うとか、頬の形が違うという指摘もあり、別人説も出ていたようです。

権力者であるメディアを疑うという姿勢は、民主主義にとって健全な姿勢です。

もしかしたら、イラク国民の方がある意味、日本人よりもメディアリテラシーがあるのかもしれません。

ともあれブッシュ米政権は、24日、「高いレベル」の政府協議を行い、「両氏の死亡をイラク国民に確信させるため」遺体の公開に踏み切る政治決定を行いました。

2003年7月24日(合衆国政府提供)
合衆国政府によるとこの写真は、7月22日に殺害された
ウダイ・フセインの遺体であるとのこと。
この写真は司法解剖前の状態で撮影されている。
ウダイに似ているとも似ていないとも言える状態だ。
2003年7月24日(合衆国政府提供)

この写真はアラブとヨーロッパでは、テレビも含め、ほとんどのメディアが大きく報じました。

日本では、テレビはもちろん、新聞も報道を自粛したところがあります。

日本の放送局には放送基準があり、遺体や暴力などの表現に厳しい制限が課せられていることもあって、多くは放送を「自粛」しました。

戦争の目標がどれだけ残酷なものであるのかを、事実を事実として報道できないNHKに代表される日本のマスメディアは、ジャーナリズムとは無関係な腰抜け集団だと、私には感じられます。

2003年7月26日(REUTERS / Faleh Kheiber)
合衆国政府発表のウダイ、クサイの遺体写真が
掲載された新聞を読むイラク市民たち。
「似ていない」との評が大半を占めた。
2003年7月26日(REUTERS / Faleh Kheiber)

ウダイ氏とクサイ氏の遺体写真公開の顛末を、報道はこう伝えています。

 

 【ワシントン24日共同】イラク駐留米軍によるフセイン元大統領の長男ウダイ、二男クサイ両氏の遺体の写真公開に先立ち、ブッシュ米政権は24日、「高いレベル」の協議を行い、両氏の死亡をイラク国民に確信させるため、公開に踏み切る政治決定を行った。米CNNテレビが報じた。

 CNNによると、イラク戦争で、米軍は、戦闘で死亡した米兵の遺体の報道を控えるよう報道機関などに求めており、両氏の遺体写真公開には米政権内でも異論が出ている。今後は国際社会や人権擁護団体などからも批判が予想される。


3月26日アルジァジーラテレビ
イラク政府が公開したアメリカ兵の遺体。
遺体映像公開にブッシュ政権は激しく抗議していた。
3月26日/アルジァジーラテレビ

米軍は、報道機関に遺体の写真掲載の「自粛」を求め、報道機関は米軍のニュースリリース停止という「報復」を恐れて、「自粛」を受け入れていました。

報道管制は、情報の遮断によって行われると同時に、情報の提供によってもなされます。

遺体写真の報道自粛を求めていた合衆国政府自身が、今度は「遺体を報道してくれ」という。

矛盾していますね。ご都合主義、ダブルスタンダードというよりありません。

2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)
NHKが報じなかった映像。
イラク国民を納得させるためブッシュ政権は、
フセインの子と見られる遺体の取材を認めた。
2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)

日本のマスメディア、特にテレビ放送局は、は死の事実を正確に伝える能力に欠けています。

2003年7月25日(REUTERS / Faleh Kheiber )
NHKなど日本のメディアが報じた映像。
遺体は写さず、フセインの息子の顔だけを写し、
喜ぶ子供たちの姿を強調したカットだけを使用。
2003年7月24日(REUTERS / Faleh Kheiber )

NHKなど、多くの日本のテレビ局は、その遺体が真にフセインの息子本人だと言う裏付けをとっていません。

にもかかわらず、遺体は写さず、息子の顔だけを写し、「アメリカ軍が伝えところによると、フセインの息子が攻撃で死にました」と軍報道を「疑わしい」といったコメントをつけずに、フセインの息子の写真を画面いっぱいに写しました。しかも、子供たちの喜ぶ顔つきで。

バクダッド子供たちは、アメリカのカメラマンの前で指示通りに喜べはたくさん報酬がもらえることを知っています。

撮影が終った後、子供たちがカメラマンや記者に「お礼を下さい」と手を出す光景やカメラマンが報酬を与えている光景は、決して撮影されることはありませんし、万一撮影されたとしてもそれが放送されることはありません。

2003年7月25日(AP Photo/Dario Lopez-Mills)
NHKなど日本のメディアが報じなかった映像。
家電店でアルジャジーラテレビを見るイラク市民。
「本物かどうか疑わしい」とか「米軍が勝手に殺したのは間違いだ」
といったイラク市民のコメントは日本ではあまり伝えられることはない。
2003年7月25日(AP Photo/Dario Lopez-Mills)

「ウダイとクサイが死んで嬉しい」というイラク人は、実際にいるようです。

しかし、アルジャジーラテレビなどアラブ系メディアは、殺害歓迎派の声と同時に、「本物かどうか疑わしい」とか「オレが殺してやりたかった」とか「米軍が勝手に殺したのは間違いだ」といったイラク市民の声も紹介しています。

アラブ系メディアは、テレビの前でピースサインをしている映像は、操作された映像としてほとんど流していないか、あるいは「英米日のメディアで放送された映像」として紹介しています。

2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)
NHKなど日本のメディアが報じなかった映像。
米政府は、生前の手術痕が本人特定の証拠となったことを
示すため、足の骨まで公開した。
金属の補強パイプが骨にとりつけられているそうですが、
見えますか? 私にはただの骨のように見えますが・・・
2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)

2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)
NHKなど日本のメディアが報じなかった映像。
2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)

頭部と胸部に司法解剖の痕跡が見えます。

頭に損傷があるとの軍の説明により、米英や日本では拳銃自殺説が報道されましたが、ご覧の通り、公開された遺体で頭頂部の貫通していない傷であったことが確認されたため、自殺説は否定されています。

自殺説が根拠がないデマだったことについて、日本のテレビは訂正報道を放送していません。

2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)
NHKなど日本のメディアが報じなかった映像。
頭部と胸部に司法解剖の痕跡が見られる。
ヒゲはそり落とされ、顔の損傷は外科手術により見当たらない。
手術で別人をウダイたちに似せて公開しているのではないか
と疑うイラク市民は、少なくない。
2003年7月25日バグダッド空港(ロイター/代表取材/Stan Honda)

いったい、この遺体公開はなんだったのでしょうか?

遺体の公開は、米英の占領統治の混乱と大義の無さを象徴しているように私には感じられます。

米国では、以下のような報道もあります。

 

 【ニューヨーク26日共同】米ニューズウィーク誌は26日、米軍との戦闘によるイラクのフセイン元大統領の息子2人の死亡を受け世論調査を行い、ブッシュ大統領の支持率は10日の前回調査に比べ、2ポイント増の57%になったと発表した。

 フセイン元大統領の息子の死亡確認も大きな支持率アップにはつながらなかった。

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 【カイロ27日時事】イラク駐留米軍によれば、首都バグダッドの南約30キロの場所で27日、海兵隊第1遠征軍の兵士数人が手りゅう弾による攻撃を受け、1人が死亡し、1人が負傷した。米軍が22日にフセイン元大統領の息子2人を殺害して以降、襲撃で犠牲となった米兵は10人、負傷者は7人に上った。

息子の殺害がゲリラ攻撃の沈静化につながるとの米軍の期待は打ち砕かれた。


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(キタノ)
ki@tree.odn.ne.jp
http://zirr.infoseek.ne.jp/
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