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---- 北の系2005 ----
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詩/無念の花
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2003.6.30

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無念の花

むかしむかし
若い旅人が
楽園を求めて世界の果てを旅していました。

楽園には正八面体
の赤い花がたくさん咲いている
と伝えられており
旅人はその花を探していたのでした。

 

若い旅人が村を歩いていた時のことです。

パンッという銃声が聞えました。

若い旅人が
銃声のした方に行ってみると
顔の無い男
と二人と少年
がいました。

少年の一人は頭から血を流して倒れており、もう一人は脅えて立ち尽くしています。

顔の無い男
の一人が少年
を撃ち殺していたのでした。

若い旅人は言いました。

「おまえたち、人を殺すな。
なぜ少年を銃で殺したのだ?」

銃を持った顔の無い男
が言いました。

「こいつは狼だ。
狼から身を守るためにやったのだ」


を持っていないもうひとりの顔の無い男
が言いました。

「そうだそうだ」

脅えながら立っていた少年が叫びました。

「兄ちゃんは狼なんかじゃない!
お前らが狼だ」

銃を持った顔の無い男
が言いました。

「こいつは銃を持っていた。
オレたちを殺そうとしていたのだ。
危険だから殺したんだ」


を持っていないもうひとりの顔の無い男
が言いました。

「そうだそうだ」

脅えながら立っていた少年が叫びました。

「兄ちゃんは銃なんか持っていない!」

銃を持った顔の無い男が言いました。

「持っていないという証拠
も無いだろう」


を持っていない顔の無い男が言いました。

「そうだそうだ」

脅えながら立っていた少年が叫びました。

「だったら調べたらよかったじゃないか。
調べたら銃を持っていないことがはっきりするじゃないか」

銃を持った顔の無い男が言いました。

「そんな必要は無い。きっと銃を持ってる。
隠しているのだ。だから見つからないんだ」


を持っていないもうひとりの顔の無い男が言いました。

「そうだそうだ」

若い旅人は言いました。

「では少年が銃を持っていたかどうか調べてみろ」

顔の無い男二人が
倒れた少年の身辺を探り
銃を探しました。

しかし
どこからも銃
は出てきません。

「どこに銃があるんだ?」

若い旅人が顔の無い男たちにたずねました。

顔の無い男たちはオロオロするだけで何も言えません。

脅えながら立っていた少年が叫びました。

「銃なんか無かったじゃないか!
なぜ兄ちゃんを殺したんだ!」

銃を持った顔の無い男が言いました。

「持っていないという証拠も無い。
だから持っているんだ」


を持っていない顔の無い男が言いました。

「そうだそうだ」

若い旅人は言いました。

「それは詭弁だ」

脅えながら立っていた少年が叫びました。

「兄ちゃんを殺す理由なんか無かったんだ!
お前らは絶対に許さない!」

その時
銃を持った顔の無い男が
持っていた銃を叫んだ少年に向けました。

「やめろ!」

若い旅人は叫びました。

パンッ

すべてが手遅れでした。

少年の頭に銃弾が撃ち込まれ
頭に大きな穴が開き
血と脳が飛び散りました

少年は倒れ
死にました。

銃を持った顔の無い男
が言いました。

「文句を言う奴はこれでいなくなった。だから
殺す理由は有るのだ。
オレのやったことは正しい。」

銃を持っていないもうひとりの顔の無い男
が言いました。

「そうだそうだ
そうだそうだそうだ
そうだそうだそうだそうだ」

若い旅人は
少年たちの遺体を村外れに埋葬し
少年たちの無念を記憶したまま世界の果てで旅を続けました。

数年後
村で伝染病が流行し
村人たちがたくさん死にました。

村では人を殺せば伝染病に罹らないという迷信
が広がり
村人たち
はお互いに殺し合いました。

村人たちは
殺し
殺され
あるいは伝染病に罹って死に絶えました。

伝染病が流行したのは少年たちの怨念
が原因だという噂が広がり
村に新たな住人が住むことは無くなり
村は廃墟になりました。

 

8万年後
旅を続けていた若い旅人が
少年の墓に立ち寄りました。

少年たちの墓のあったところに
たくさんの正八面体の赤い花
が咲いていたそうです。

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(キタノ)
ki@tree.odn.ne.jp
http://zirr.infoseek.ne.jp/
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