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2003.4.20
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2003年4月9日NHKはフセイン像倒壊を実況生中継。
侵略する側の立場に立った戦争協力報道の典型。
フセイン像倒壊の映像がテレビメディアで何度もくりかえし使われ、メディアは「フセイン政権崩壊を印象づけた」と報道しました。
銅像がひとつたおれただけで何言ってるんでしょうね。フセインの所在さえわかっていないのに、フセイン政権崩壊もなにもあったものではありません。
ロイター通信は、フセイン像引き倒し映像を「バグダッド陥落、市民は進軍の米兵に歓呼した」と報じ、NHKも同様な文脈でフセイン像崩壊映像を流しました。
NHKは、フセイン像引き倒しのシーンを30分間に渡って“実況生中継”し、「フセイン政権崩壊を印象づけました」というアナウンスを6回以上も繰り返しました。
私は、NHKのフセイン像引き倒し実況生中継を、録画・録音しながらずっと見ていました。
たしかにフセイン像倒壊の瞬間に、歓声らしい声があがっていました。
歓声だけ聞くと、1000人ぐらいのイラク人が歓声をあげていたように聞えました。
しかし、フセイン像のまわりには200人ぐらいしかイラク人はいませんでした。
しかも、テレビ音声から聞えてくる歓声は、あらかじめて前もって球場かどこかであがった歓声を録音したような音声にも聞えます。数十人の歓声を数回重ねて録音するとあんな感じの音声になりそうです。
複数の指笛が鳴っていましたが、指を口にあてていたイラク人はテレビを見た限りひとりもいませんでした。
歓呼の時に指笛を鳴らす習慣がイラク人にあるとは初耳です。
それに、フセイン像が引き倒された時でも、倒れた時にゴトリというような音はまったくありませんでした。
あれだけの大きな胴像が倒れたのに、像が倒れたり台座から落ちる時に音がしないことに違和感を感じたのは、私だけではないでしょう。
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NHKが実況生中継したフセイン像倒壊の瞬間の証拠音声
巨大な像が倒れたのに倒れた音がしない。指笛や歓声にも不自然さがある。
ダウンロード
nhk030409b.mp3 (mp3/150kb/19秒)
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フセイン像倒壊の映像の象徴的使用によってかき消された映像は、サダム・フセインの行方やイラクの子供たちの戦争被害の実態だけではありません。「侵略戦争」という事実そのものが映像のベールに隠されたと言って良いと思います。
フセイン政権は、降伏を拒否していました。現在も、フセイン政権の降伏の拒否は国際法的に有効です。
フセイン政権が降伏しないということは、すなわち、正統性のある主権代表者が主権を行使し続けているということですから、国際法的には、戦争は継続し続けるということになります。
暫定政権ができたとたん、フセイン政権の残党や新体制に反対するテロ組織が新政権の不当性を主張し、暫定政権に参加できなかった反体制勢力やアメリカに恨みを持ったイラク人や反米諸国の援助を吸収しながら「内戦」をはじめるかもしれません。少なくともそういう「火種」が今後も残る可能性があります。
2003年4月9日、NHKはフセイン像倒壊を実況生中継。
戦争を、まるでスポーツ観戦のように
実況中継してみせたNHKの見識が疑われる。
洞察力のあるもうみなさんはお気づきでしょう、火種が残っている限り「戦争」はこれからいつまでも燃え続けるということに。
フセインとブッシュが共に目指した「恐怖と暴力による統治」とは、そういうことです。
内戦の武力的危険を伴い、国際法的には“侵略者”とみなされながら、尚且つ日本などの戦争支持国に「イラク戦後復興」の名目で大金を出させ、アメリカの戦費を浮かせるためには、国連安保理決議という“戦争の大義”と同様、“統治の大義”が必要です。
フセイン像倒壊は、“戦後統治の大義”を獲得するための道具として企画されたのではないでしょうか。
2003年4月9日、フセイン像周辺の写真。(corbis)
赤枠は米軍、報道関係者と思われる人物。
さて、上の写真を見てください。これは、2003年4月9日、フセイン像倒壊の時にあるカメラマンによって撮影された、フセイン像倒壊の瞬間です。corbisによって公開されました。(白枠と赤枠はキタノが加筆)
フセイン像のところの白いフレームの内側は、NHKなどのメティアが強調して映していた画面、白いフレームの外側は、NHKなどのメティアがあまり映さなかった画面です。
白いフレームの外側には、たくさんの人がいますが、フセイン像周辺に集まっている人は、全部で243人程度です。200万人を超える人口のバクダッドですら、この程度の小人数しか人が集まっていなかったことに驚かされます。
赤く囲んだ人物は、米兵、カメラを持った報道関係者、防弾チョッキを着た関係者です。見えている範囲だけで27人います。私服の軍関係者や広告関係者、カメラを持っていない取材関係者を含めると、イラク人ではない人数はもっと増えるはずです。
たった200人程度です、フセイン像に集まっていた“イラクの民衆”は。ひとり10ドル渡して集めたとしたら、2000ドル程度で“動員”できてしまいます。
この程度の人数なら、ドル紙幣を握らせて「合図をしたら歓声をあげてください」「石を投げてください」などと、あらかじめうちあわせておくこともできるでしょう。
2003年4月9日、NHKが中継しなかった映像。(corbis)
赤枠は米軍、報道関係者と思われる人物。
像に合衆国旗が括り付けられた様子を映したとき、
侵略戦争というこの戦争の本質を垣間見せた。
白い枠の外の画像でとりわけ重要な情報は、複数のイラク人が遠巻きにフセイン像倒壊を眺めているということです。
もしイラク人が、フセイン像倒壊をフセイン“政権の倒壊”と受けとめ、歓迎しているのであれば、もっと大勢のイラク人が集まったはずですし、少なくともフセイン像倒壊を遠巻きに見ているなんていうことは無かったはずです。
もし、フセイン像を遠巻きに見ているイラク人が映った映像を見せながら、番組のキャスターが「おや、遠巻きに見ているイラク人もかなりいますね。アメリカ軍の侵略を冷ややかに見ているイラク人もいるのでしょうか」とコメントしていたら、NHKのフセイン像倒壊実況生中継は、まったく異なった印象を視聴者は与えたはずです。
フセイン像に合衆国旗がくくりつけられたことについては、以下のような報道があります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030412-00000088-mai-int (抜粋)
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米陸軍は10日、イラク領内に駐留している米兵に対し、車両や建物、銅像、司令所などに星条旗を掲げることを禁じる異例の命令を出した。9日夕、バグダッド中心部の広場でフセイン大統領の立像を引き倒す前に、海兵隊員が像の頭部を星条旗で覆い、「征服者の蛮行」というアラブ諸国の批判を受けたことが発端とみられる。一度掲げた星条旗をあわてて降ろす。イラク戦争ではそんな場面が何度かあった。今回の戦争を「解放」と位置付け、イラク人から「占領軍」とみられることを極度に警戒する司令部の思惑と、戦場に「自由」の象徴でもある米国旗を掲げたい現場の米兵の思いの違いを物語る出来事だった。
やや大げさな反応にも思えるが、戦場での国旗掲揚は米国人にとり、ひと際重い意味を持つ。
太平洋戦争末期の1945年2月、旧日本軍の基地があった硫黄島に上陸した際、AP通信の従軍記者が撮影した米国旗を押し上げる場面は、後にワシントンの銅像になった。沖縄県立開邦高校教諭、譜久村史奈子氏の論文「戦時下のアメリカにおける星条旗の役割」によれば、米全土に繰り返し報じられたこの写真は、米国民を一つにし軍資金となる戦時国債を売る宣伝にも使われた。硫黄島の戦闘は日本兵だけでなく米兵に多数の死者を出す米史上に残る激戦となったが、星条旗の写真が「正義の戦争を米国民に納得させた」と同氏は記している。
だが、フセイン像に星条旗がかぶせられた直後、米メディアから疑問や非難の声が上がった。カタールにいたNBCテレビのケリー・オドネル記者は米中東軍のソープ報道官に「不適切じゃないのか」と問い詰めた。CNNテレビの解説者、オクタビア・ナスル氏も映像が流される中、「誤りだ。米国は侵略に来たと伝えているようなものだ」と言い切った。
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一部の日本のテレビ放送局の良心的なある番組は、星条旗がフセイン像にくくりつけられた映像を放送し、この戦争の本質が侵略戦争であることを印象付けたと放送しました。確かにそういう見方はできるでしょう。
しかし、カタールの米軍司令部の記者会見で、米軍のソープ報道官に「不適切じゃないのか」と問い詰めたのは在米メディアの記者であって、日本の記者で「不適切じゃないのか」と問い詰めたジャーナリストはいませんでした。
カタールにいたNHKの榎原美樹記者を含む日本の記者たちは、そろいもそろって“静聴取材”ばかりしていたマヌケだったのです。
2003年4月9日、NHKが中継しなかった映像。
フセイン像に合衆国旗をくくり付けられる光景
を見て号泣するイラク人女性。イラク人は、
米軍による占領統治を「祝福」しているわけではない。
降伏手続きなしで占領統治はできません。それは国際法的に違法です。ナチス政権崩壊の時でさえ、降伏手続きによって占領統治を行いました。
フセイン像倒壊映像がくり返し大量に放送した効果により、本来は正統性が認められない占領統治にあたかも“大義”ががあるかのような印象を世界に与えたのだとしたら、これほど効果を発揮した管制報道はないと言ってよいでしょう。
フセイン像倒壊後の4月12日に、下のようなニュースが報道されています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030413-00000120-reu-int
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[ワシントン 12日 ロイター] ブッシュ米大統領は毎週恒例のラジオ演説を行い、イラクに展開する米軍部隊が今後“厳しい戦闘”に直面すると警戒感を示すとともに、現地で略奪や無法状態が広がっているものの、イラク国民はフセイン体制の崩壊を祝福している、と述べた。
ブッシュ大統領は、イラクの首都バグダッド中心部でフセイン像が引き倒された映像に言及し、世界が24年間恐怖政治を行ったフセイン体制の終えんを目撃した、と指摘。
「イラク全国の国民が自由の到来を祝っており、米国もともに祝福している」と語った。(ロイター)
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ジョージ・W・ブッシュ大統領は、4月12日の演説で、「イラク全国の国民が自由の到来を祝っており、米国もともに祝福している」と言っています。
しかし実際には、上の写真で明らかなように、フセイン像に合衆国旗をくくり付けられる光景を見て号泣する女性がいるなど、イラク人は米軍による占領統治をかならずしも歓迎しているわけではありません。
国連決議を得ず“戦争の大義”が無いまま戦争は実行され、国連承認とイラク人の祝福を得ず“占領統治の大義”がないまま占領統治が実行されようとしています。
このイラクの状態を「侵略」と呼ばずになんと呼ぶべきでしょうか?
メディアは、侵略の事実を「侵略」という言葉で表現し、小泉政権が“支持”している戦争が「侵略戦争」であるという事実をはっきり報道すべきではありませんか。
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