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2003.4.2
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湾岸戦争に参加した元米軍人スコット・リッター氏が、ラジオ局のインタビューで「アメリカは負ける」と言っています。
イラクの軍指導者だけではなく、米軍族にいた人からも、しかも去年の秋からアメリカの軍事的敗北を予想していたことは、実に興味深いことです。
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(質問)そしたらリッターさん、あなたは本当にアメリカがこの戦争に負けると思うんですね?
(リッター)今回の部隊配置は、イラク軍が戦う前に降伏し、人々が喜んで米軍を迎えてくれ、世界的なサポートも得られるだろうという仮定によって立案されています。しかし、実際にはそのまったく反対のことが起きています。
我が軍はこの戦闘には勝てません。アメリカはこの戦争に負けます。サダム・フセインはたぶん死ぬでしょう。でもね、サダムは皆が予想するよりも、ずっと長く生きのびるかもしれませんよ。
私は、米英軍がバグダッドを攻略できないと思います。
私は、米英軍がバグダッド郊外で立ち往生すると思います。
私は、この戦いがどうしようもない窮地に落ち込むと思います。
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インタビューの全文は下記URLを参照のこと
http://www.ribbon-project.jp/SR-shiryou/shiryou-13.htm
http://homepage.eircom.net/~gulufuture/news/scott_ritter030325.htm
こうした米軍人のコメントだけが、まるで空白地帯のようにマスメディアの諸報道からすっぽり消えていることに、私は不自然さを感じます。
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ところで、ジョージ・W・ブッシュ大統領が「最終通告」を宣言したころ、日本のマスメディアでは、米英軍の「恐怖と衝撃作戦」の話題で持ちきりでした。
2003年3月18日 テレ朝スーパーJチャンネルに出演した志方俊之氏
志方氏が「イラク攻撃について米国の立場と行動を
支持する声明」を作った一人だとの紹介は番組ではされていない
日本国際フォーラム緊急提言委員会有志アピール「イラク問題について米国の立場と行動を支持する声明」を作った緊急提言委員会の委員の一人である志方俊之帝京大学教授は、2003年3月18日、テレビ朝日のスーパーJチャンネルで「3日の空爆、一週間でフセインの逮捕が行われる」とアメリカの作戦を解説した上で、「バクダッドまでの進むのは楽勝です」と言っていました。
2003年3月18日 テレ朝スーパーJチャンネルに出演した志方俊之氏
「3日の空爆、一週間でフセインの逮捕が行われる」と予言。大ハズレ。
もう2週間近く経ちましたが、米英軍はイラク南部で足留めをくらい、空爆はいまだに各地で断続的に続き、イラク・米英軍双方とも大きな被害と戦没者を出しながらドロ沼の戦いを続けています。
フセイン大統領は逮捕されず、大量破壊兵器もまったく見つからず、アナン国連事務総長から「大量破壊兵器が見つかっていない現在、米英軍の戦争の正当性は失われている」と指摘されてしまっています。志方氏のデタラメぶりが証明されたと言っても良いでしょう。
イラク侵略戦争の解説者として出演時間が増えた志方俊之氏
「二日で爆撃は終了」とデタラメ解説
終了したのは軍事評論家としての志方氏のキャリアだった
公平を期すために書いておきますが、志方氏のデタラメ解説を放送したのは、テレビ朝日だけではありません。
TBSも志方氏を録画出演させ、「1、2日の空爆で地上のめぼしいものはすべて爆破され決着がつく」とのデタラメ解説を放送していました。
志方氏は、3月18日のTBSのニュースの森で、「短期シナリオが崩れるとすれば、市街戦による」と説明していました。
しかし、米英軍は市街戦に入る前から、イラク南部での抵抗に遭い、テロの恐怖と補給の少なさから、2週間経っても市街戦にさえ入ることができません。イラク軍の南部師団の兵員は3万以上あるとされていますが、戦没者と投降者を合計しても数千人に満たない数で、兵力は相当数残存しています。志方予言は大ハズレです。
2003年3月18日 TBSニュースの森に出演した志方氏
「短期シナリオが崩れるとすれば市街戦が原因」と予測。これも大ハズレ。
私は、テレビ朝日とTBSだけが悪いと言いたいわけではありません。
フジテレビ、日本テレビ、テレビ東京でも、局の解説者や「イラク攻撃について米国の立場と行動を支持する声明」の作成者でもあった森本敏拓殖大学教授など、戦争支持派の戦争解説者を登場させ、米英軍の「恐怖と衝撃作戦」の効果をしきりに強調し、戦争は早く終ると強調していました。
民放だけではありません。NHKの軍事評論家として顔なじみの江畑謙介氏も、「イラク攻撃について米国の立場と行動を支持する声明」の作成者の一人ですが、早期に解決する可能性は高いと言いながら、後日その見解が誤りだったことを認めています。
つまりテレビ各局がこぞって戦争支持派の解説者を採用した結果、結果的に各局が、そろいもそろって大誤報となったわけです。
なぜ、日本のテレビメディアの戦争報道は、「護送船団全滅」とも言える状況になってしまったのでしょうか?
開戦前のテレビ局で、視聴者にはわからない何かウラ事情があったのではないでしょうか?
2003年3月18日 テレ朝スーパーJチャンネルに出演した藤原帰一教授
藤原教授は「恐怖と衝撃作戦は失敗する」と発言。見事に的中!
各テレビ局は藤原教授をもっとニュースに出演させてほしい
面白いことに、3月18日 テレ朝スーパーJチャンネルでは、志方教授のデタラメ解説の直後、スーパーJチャンネルに解説者として国際政治学者の藤原帰一東大教授が出演し、志方氏の見解を否定する形で「電撃作戦の失敗」を予測していました。
「恐怖と衝撃作戦」について早期に戦争は決着するとの見方があるがどう思うかとの質問に、藤原教授は、「電撃作戦はうまくいきません。アメリカ政府の上層部はイラクを甘く見ているのでしょう」と解説したのです。こうした解説をテレビで発言した解説者は、私が知る限り、藤原氏一人だけです。
藤原教授の解説を聞いた私はその時、テレビ朝日は志方解説とのバランスをとるために、まともな解説者を雇っただろうなと思ったものです。
藤原教授の姿は、その日を境に、4月3日のニュースステーションで再登場するまでの16日間、テレビでみかけることはまったく無くなりました。なぜ藤原教授にずっと出演依頼が来なかったのか、私にはわかりません。
しかし、私はこう推測しています。与党関係者からテレビ朝日に「椿国会喚問のようなことになりたくなかったら、藤原をテレビに出すな」と脅しがあり、テレビ朝日が「藤原出演禁止通達」を出したのではないか、と。もちろんこれは私の推測です。
2003年3月30日 テレ朝サンデープロジェクトに出演した志方氏と森本氏
予言解説大ハズレの言い訳に終始する二人。
解説大ハズレの“禊ぎ”のために出演?
2003年3月30日、アメリカの誤算を見ぬけなかった志方氏が、テレビ朝日のサンデープロジェクトに出演していました。その日のサンデープロジェクトは、「なぜアメリカの誤算が生じたのか」という点をしきりに強調した番組づくりでした。
志方教授にカメラを向け続け「予想外のイラクの抵抗」をしきりに強調するサンデープロジェクトを見ながら、私はこう感じました。
「誤算だったのは志方とテレビ朝日だろ!」と。
志方教授をなぜサンデープロジェクトに出演させたのかはわかりません。
しかし、開戦前にデタラメ解説をした評判の悪い志方氏や森本敏氏を「名誉回復」させ、テレビ朝日の解説者選択ミスの「禊ぎ」をするために、二人を出演させ、「ハズレた解説の解説」をさせていたのだとの推測は、サンデープロジェクトの田原総一朗氏が志方氏と森本氏が参加する財団法人日本国際フォーラムの評議員を務める「同じ穴のムジナ」であることから、あながち間違いとは言えないのではないかと思われます。
2003年3月30日 サンデープロジェクトの田原氏と志方氏
二人とも財団法人日本国際フォーラムの関係者
同じ穴のムジナが誤報をフォローしあっている構図は見苦しい限り
リッター氏のように開戦前の2002年の秋の時点で「イラクとの戦争でアメリカは苦戦する」と言っていた人は、世界中にいると聞きます。インターネットにサイトを出しているような国際反戦NGOにはリッター氏のような軍事事情に詳しいエリートが必ず参加して情勢分析をしています。
リッター氏に解説を求めたアイルランドのラジオ局にはジャーナリストとして取材対象を選ぶ目があり、志方教授のような解説者を出演させた日本のテレビ局には情報を見分ける能力に欠けていた。ただそれだけのことです。
勘違いする人がいるので書いておきますが、私が言いたい事は、志方教授やテレビ朝日やTBSがダメダメだということではありません。
テレビ朝日は藤原氏を出演させるなどのバランスをとっていますし、テレビ朝日もTBSも「アメリカの誤算」を強調した番組特集を組むなど、事実上志方氏ら戦争支持者たちの解説が誤報だったことに自覚的です。(その後のフォローの仕方は不充分だと思いますが)
一方、日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京の定時ニュースは「アメリカの誤算」についての報道検証は十分とは言えず、むしろ誤報を開きなおっている感さえあります。
どの局が悪いとか、志方俊之氏や森本敏氏のような「イラク問題について米国の立場と行動を支持する声明」の作成者のような戦争支持者を戦争報道の解説者に据えることの是非よりも、もっと大事なことがあります。(それはそれで問題ですが)
私が言いたいことは、市民が既成メディアの劣化した報道情報や解説者のデタラメにふりまわされないために、市民自身が「報道の質」の違いを見ぬく目を持ち、世界のメディアやインターネットの市民メディアにも目を向け、自分なりの情報の判断基準を持つ必要がある、ということです。
そういう意味でも、民衆自身が独自の市民メディアを持ち、使い、テレビなどの既成メディアが流す劣化した大量の情報から自立し、マスメディアが垂れ流す妄言の被害を回避する実力を市民が持たなければならない、と私は考えています。
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参考資料/日本国際フォーラム緊急提言委員会有志アピール「イラク問題について米国の立場と行動を支持する声明」を作ったメンバー
対イラク侵略戦争煽動者ブラックリスト
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田久保忠衛 杏林大学教授
愛知和男日本経済研究会理事長
秋山昌廣シップ・アンド・オーシャン財団会長
石井公一郎 元ブリヂストンサイクル会長
市川伊三夫 慶應義塾財務顧問
伊藤憲一 日本国際フォーラム理事長
猪口孝 東京大学教授
今井敬 日本国際フォーラム会長
今井隆吉 世界平和研究所理事
鵜野公郎慶應義塾大学教授
江畑謙介 軍事評論家
岡崎久彦 岡崎研究所長
小笠原敏晶 ジャパンタイムズ会長
小此木政夫 慶應義塾大学教授
小山内高行 外交評論家
柿澤弘治 衆議院議員
金森久雄 日本経済研究センター顧問
金子熊夫 日本国際フォーラム理事
北岡伸一 東京大学教授
木村崇之 前EU代表部大使
黒田眞 安全保障貿易情報センター理事長
小池百合子 衆議院議員
斎藤彰 読売新聞社編集局総務
佐々淳行 初代内閣安全保障室長
澤英武 評論家
志方俊之 帝京大学教授 島田 晴雄 慶應義塾大学教授
神保謙 日本国際問題研究所研究員
永野茂門 日本戦略研究フォーラム理事長
中西輝政 京都大学教授
那須翔 東京電力顧問
奈須田敬並木書房会長
西尾幹二電気通信大学名誉教授
袴田茂樹 青山学院大学教授
服部靖夫 セイコーエプソン副会長
村田良平日本財団特別顧問
森本敏拓殖大学教授
屋山太郎 政治評論家
吉田春樹 吉田経済産業ラボ代表取締役
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「イラク問題について米国の立場と行動を支持する声明」は、政府の戦争支持の主張や根拠と重なる部分がありますが、これに対する批判は後日改めて。
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