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青少年育成有識懇、報告書案を検討
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2003.2.21

AMI-MLより転載。

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Date: Mon, 03 Feb 2003 07:07:06 +0900
From: kitano
Subject: 青少年育成有識懇、報告書案を検討

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 北野です。新しくAMI-MLに参加された方、いらっしゃいませ。

 内閣府の青少年政策策定のための私的諮問機関「青少年の育成に関する有識者懇談会」は、1月16日、「健全育成」的青少年政策を排除した「報告書案(骨子)案」を議論した模様です。

 「報告書案(骨子)」は、自由を基調にした青少年の自立のための育成政策となっており、統制的・懲罰的な健全育成観を排除した革新的なもので、従来の青少年政策を転換させる内容となっています。

 しかし、前田明永委員が出した「報告案に対する意見」では、「過度のメディア接触と直接体験の不足、性・暴力の有害情報の氾濫、情報機器の普及に伴う犯罪被害の問題に言及すべき」と主張するなど、革新的な「報告書案(骨子)」を骨抜きにし、青少年政策の転換を阻む動きが懇談会の中にあります。

 前田委員など守旧派の動向を含め、青少年育成有識懇の報告書案の行方には注意が必要かと思われます。

■内閣府
・青少年の育成に関する有識者懇談会(第12回)議事次第・配付資料
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12gaiyou.html 〔会議資料〕
資料1 事務局説明資料 青少年行政の調整担当組織の変遷と内閣府の役割について
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12shiryou1.pdf
資料2 上村協力者説明資料 2−1 青少年育成国民運動の現状と課題(概要)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12shiryou2-1.pdf
2−2 伸びよう伸ばそう青少年(社団法人青少年育成国民会議パンフレット)
2−3 青少年育成国民運動の目標
資料3 青少年の育成に関する有識者懇談会報告案(骨子)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12shiryou3.pdf
・報告案に対する意見
(広田委員)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12iken1.pdf
(杉山委員)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12iken2.pdf
(前田委員)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12iken3.pdf
(松下委員)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan030116/12shiryou/12iken4.pdf

北野 桂
ki@tree.odn.ne.jp


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加筆 2003.2.20

 

 「資料3 青少年の育成に関する有識者懇談会報告案(骨子)」を読む限りでは、私たちが懸念しなければならないような剥き出しの情報流通規制の提言は存在しません。道徳心を向上させて治安を良くするだとか、公徳心を養って集団の帰属意識を高めるだとか、ルールを強化し順応させて社会適応力を高めるだとかといった提言も、「報告案(骨子)」には含まれていません。

 全体的な印象としては、従来政府が重視してきた青少年“健全”育成政策から“健全”という言葉が無くなって、科学的根拠に基づいた青少年育成政策に変化したかのような印象があります。

 たとえば、「報告案(骨子)」の青少年に関わる場の状況認識の中で「情報・消費の場」という項目がありますが、「新メディアは悪」的な認識は示されておらず、「携帯電話は、テレビについで青少年にとってなくてはならないメディア」であり「番号表示を見て相手を選んで出るなど、選択的に関係をコントロールしている」と書くなど、新メディアの普及を肯定的に受けとめています。

 「報告案(骨子)」の「社会規範の習得」という項目では、従来ありがちだった「ルールを強化して規範意識を身につけさせよ」的な記述は存在せず、「規範意識一般が低下したというよりも、その規範に従うべきだと考える社会集団がタコツボ化しており、タコツボの外の社会に関心がないために、一般社会の規範を無視した行動が生じているとの見方もできる。自分たちとは異なる価値観への寛容さと多様な価値観を持つ集団が共存する一般社会の規範の習得が必要」と書き、異なる価値観への寛容さと多様な価値観への理解の不足に問題があるとの認識を示しています。

 また、「報告案(骨子)」では、少年犯罪現象について触れ、「犯罪の発生については複雑な要因が絡み合っており、特定の現象が主たる要因であるかのように安易に結び付けるべきではない。家庭のしつけや学校教育に原因を帰す意見が一般には強いが、むしろ若者の失業率の増加など社会経済情勢の変化との相関が伺われる」「若者は大人社会の不正を敏感に反映する面もあり、大人の規範の向上も必要」との認識を示し、従来政府が採用してきた少年犯罪の動機認識を否定しています。

 さらに、「報告案(骨子)」では、青少年の性行動について触れ、「性感染症や妊娠中絶が増加していることから、性病の予防や治療、避妊などについて正しい知識を教育することが必要」と書き、与野党の一部に存在する「避妊は教えるな、ルールを強化して道徳を教えよ!」的な醇風美俗的性教育観を排除したうえで、「青少年の性的主体性を強化し、性に関するリテラシーを高めることが必要」と提言しています。

 「報告案(骨子)」の結論部分では、「従来少なかった青年期の自立支援を強化し、大人による過剰な保護・統制を排除し、自立に向けて試行錯誤できるための自由を保障し、再挑戦の機会を提供する。」と述べ、具体的な課題として、学校における「青少年の主体的活動を阻害するような過剰な校則の見直し」を明記しています。

 以上、「報告案(骨子)」を詳細にみてみると、ルールを強化することで青少年を管理統制しようとしてきた従来の青少年政策を転換させるもので、「青少年に自由を与えよ、自由を行使する機会を与えよ」という画期的なものであることが伺えます。

 わたしたちにとっては好都合な部分ばかりが目立つ「報告案(骨子)」で、「政府は本気かいな?」「巧妙なトラップ?」と疑問に感じる部分もナキニシモアラズです。

 たとえば、育成懇では「健全育成」という考え方を排除するとして「健全」という言葉を削ったわけですが、報告書の中ではしっかりと「青少年の健全育成」という言葉を使っていたり、青少年の性的活動についても「性的自尊感情の健全な発達を損ねる危険性についても、十分教育する必要がある」と書くなど、道徳教育の重要性を容認するような記述もみられます。

 とはいえ、政府が従来の青少年政策と比較して脱統制的な政策を提言するという点については、率直に評価できるだろうと思います。

 問題があるとすれば、これらの政策提言が政治的な議論によって骨抜きにされ、「絵に描いた餅」になってしまうこと、かもしれません。

 育成懇の「報告案(骨子)」は、従来の政府政策との矛盾が多すぎます。従来の政府政策との矛盾を、誰が、いつ、どのように調整し、実施するのか。プランがあっても実行する人、組織、予算がなければ意味がありません。

 育成懇の画期的な「報告案(骨子)」をつぶさんとする抵抗勢力が政府、与党諸機関、野党、環境浄化団体から出てくる可能性は、多いにあります。

 現に育成懇の中でさえ、たとえば前田明永委員(東京都葛飾区立常盤中学校長)から、「報告案(骨子)についての意見・指摘」として以下のような提言に対する見苦しい抵抗が早くも示され、骨抜きにされようとしています。

「報告案(骨子)についての意見・指摘」 前田明永

 過度のメディア接触と直接体験の不足、性・暴力の有害情報の氾濫、情報機器の普及に伴う犯罪被害の問題に言及すべき。最近の出会い系サイトをめぐる犯罪や児童買春などの事件の多発を踏まえると、こうした問題は欠かせない。

 「規範意識一般が低下したというよりも」という表現は、そのような優劣を決めつける根拠も乏しいので、削るべき

 青少年犯罪の原因については、「むしろ若者の失業率の増加など社会経済情勢の変化との相関が伺われる」とあるが、大人社会のモラルの問題、情報化の影の部分といった今日的な社会状況にも言及しなくては不充分である

 安易な性行動を戒める教育がまず大切であり、それらに先んじて性感染症や妊娠の予防教育を位置付けるのは不適当 「何をするにも本人の自由」という誤った意識が子どもに広がる中、「性に関する社会規範の教育」の充実が重要である。売買春や不純異性交遊などが社会的に許されていないことをきちんと教えるべきである。

 具体策の例として、「過剰な校則の見直しむをあげることは適当ではない。一部にそうした校則があるかもしれないが、全体的には相当程度緩和されており、社会的自立を損なう要因としてあげることは適切ではない。


せっかくいい改革の提案がなされているのに、なにもかもダメにしてしまう人ってどこにでもいるものですねぇ。

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(キタノ)
ki@tree.odn.ne.jp
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