|
2003.2.8
───────────
法制審議会刑事法部会議事録の目次
前の資料へ< >次の資料へ
───────────
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第1回会議 議事録
第1 日時 平成14年9月18日(水)
自 午後2時02分
至 午後4時33分
第2 場所 法務省第1会議室
第3 議題
諮問第58号についてのフリートーキング
第4 議事 (次のとおり)
議事
● ただいまから,法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会の第1回会議を開催いたします。
● 本日は,御多忙中のところを御審議のためにお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
私の方から,本日,部会が開かれるに至りました経過等を御説明いたします。
去る9月3日,法務大臣から,国連国際組織犯罪条約の締結に伴う罰則等の整備に関する諮問第58号が諮問され,同日開催されました法制審議会第137回会議におきまして,同諮問については,まず,部会において審議をすべき旨が決定されました。
そして,同会議におきまして,同諮問を審議するための部会として,国連国際組織犯罪条約関係の刑事法部会を設けることが決定され,同部会を構成すべき委員・臨時委員及び幹事が法制審議会の承認を得て,会長から指名され,本日,ここに御参集いただいたところでございます。
次に,部会長の選任に移りたいと存じます。
(部会長に宮澤浩一委員が互選,指名された。)
● ただいま,部会長に選ばれました宮澤でございます。議事が円滑に進みますよう,誠心誠意部会を運営してまいりたいと存じますので,皆様方の御支援,御協力のほど,よろしくお願いいたしたいと存じます。
(部会長代行に芝原委員が指名された。)
(須賀正広外務省総合外交政策局人権人道課企画官,松尾浩也法務省特別顧問の関係官としての出席が承認された。)
● それでは,さきの法制審議会総会におきまして,当部会で審議するように決定のありました諮問第58号について,審議を始めたいと存じます。
まず,諮問を朗読していただきます。
● 諮問を朗読いたします。
|
諮問第58号
「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(仮称)」の締結に伴う立法措置に関し,別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。
別紙
要綱(骨子)
第一 組織的な犯罪の共謀
一 1又は2に掲げる罪に当たる行為で,団体の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は,それぞれ1又は 2に定める刑に処するものとすること。ただし,実行に着手する前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除するものとすること。
1 死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
2 長期四年以上の有期の懲役又は禁錮の刑が定められている罪(1に掲げるものを除く。) 三年以下の懲役又は禁錮
二 一1又は2に掲げる罪に当たる行為で,団体に不正権益を得させ,又は団体の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を共謀した者も,一と同様とすること。
第二 証人等買収
一 1又は2に掲げる罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し,証言をしないこと,若しくは虚偽の証言をすること,又は証拠を隠滅すること,若しくは偽造若しくは変造すること,若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用することの報酬として,金銭その他の利益を供与し,又はその申込み若しくは約束をした者は,一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処するものとすること。
1 「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(仮称)」(以下「条約」という。)第五条,第六条,第八条又は第二十三条に規定する犯罪化義務に対応する罰則に定める罪
2 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪(1に掲げるものを除く。)
二 一1又は2に掲げる罪に当たる行為が,団体の活動として,当該行為を実行するための組織により行われた場合,又は団体に不正権益を得させ,若しくは団体の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われた場合において,その罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し,一の罪に当たる行為をした者は,三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処するものとすること。
第三 犯罪収益規制等
一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第二条第二項第一号に規定する犯罪収益の前提犯罪に,1及び2に掲げる罪(現行組織的犯罪処罰法の別表に掲げるものを除く。)を加えるものとすること。
1 条約第五条,第八条又は第二十三条に規定する犯罪化義務に対応する罰則に定める罪
2 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪(1に掲げるものを除く。)
二 組織的犯罪処罰法第二条第二項に規定する犯罪収益に,次の財産を加えるものとすること。
1 第一に規定する罪を犯した者が,その共謀に係る犯罪の実行のための資金として使用する目的で取得した財産
2 第二に規定する罪の犯罪行為により供与された財産
三 組織的犯罪処罰法第四章第一節に規定する没収保全の対象に,犯罪行為を組成した物又は犯罪行為の用に供し,若しくは供しようとした物を加えるものとすること。
第四 国外犯処罰
贈賄罪(刑法第百九十八条)につき国民の国外犯を処罰するものとするほか,所要の国外犯処罰規定を整備するものとすること。
|
|
以上でございます。
● 次に,事務当局から諮問事項について説明をしていただきます。
● それでは,私の方から説明させていただきます。
諮問第58号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等についてでございます。
近年のグローバリゼーションの進展に伴い,犯罪活動も容易に国境を越えることが可能な状況となり,国境を越えて大規模かつ組織的に敢行される国際組織犯罪の脅威が深刻化しております。国際組織犯罪は,社会の繁栄と安寧の基盤である市民社会の安全,法の支配,市場経済を破壊するものであり,このような国際的な組織犯罪に効果的に対処するためには,各国の刑事司法制度,法執行制度を強化するとともに,国際社会全体の司法・法執行における協力により,法の抜け穴をなくす努力が必要でございます。
「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」は,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し,及びこれと戦うため,国際的な組織犯罪の防止,捜査及び訴追に関する国際的な法的枠組みを創設する総合的な条約であります。
本条約は,薬物犯罪に対処するため,初めて犯罪収益規制を大幅に取り込んだ国際的な法的枠組みを創設した総合的な条約である1988年の「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(いわゆる麻薬新条約)」の採択後におけるG8諸国を中心とした国際社会の活発な組織犯罪対策の諸活動を受け,国連において起草・採択されたものでありますが,まず,その間の国際的な動向について簡単に御説明申し上げます。
麻薬新条約が採択された翌年である1989年(平成元年)のアルシュ・サミット経済宣言では,麻薬新条約の早期批准が合意されるとともに,資金洗浄に関する金融活動作業部会(FATF)を設置することが提唱されました。FATFは,1990年(平成2年),麻薬新条約の早期批准,同条約に規定する資金洗浄の犯罪化等を盛り込んだ資金洗浄に関する40項目の勧告を行い,さらに1996年(平成8年),この40の勧告を改訂し,資金洗浄の前提犯罪を薬物犯罪から重大犯罪に拡大すること等の勧告を行いました。
また,1994年(平成6年)11月に,イタリアのナポリにおいて開催された国際組織犯罪世界閣僚会議では,「国際組織犯罪に対するナポリ政治宣言及び世界行動計画」が採択され,この中で初めて国際組織犯罪に対処するための国際協力の促進を目的とした国際文書の作成を検討することが提唱されました。
その後も,サミットでは,国際組織犯罪に対抗するための国際協力の強化が繰り返し支持されるとともに,サミットの合意に基づき設置された国際組織犯罪対策上級専門家グループ(いわゆるリヨン・グループ)は,1996年(平成8年),国際組織犯罪に効果的に対抗するため,電子的監視等の手法の重要性・有効性の強調,重大犯罪の収益の没収等を行うための立法措置の考慮等を内容とする,40項目の勧告を行いました。
1998年(平成10年)のバーミンガム・サミットでは,国際組織犯罪による脅威に効果的に取り組むため,国連国際組織犯罪条約を今後2年以内に交渉するよう努力することが支持され,同年12月の国連総会決議により,国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約並びに附属議定書の起草のためのアド・ホック委員会(政府間特別委員会)が設置され,同委員会は,1999年(平成11年)1月に審議を開始いたしました。
その後,2000年(平成12年)の沖縄サミットでも,国際組織犯罪対策の有効な法的枠組みの創設のため,国連国際組織犯罪条約の同年末までの採択に向けた支持が再確認されました。
このような経緯を経て,本条約は,2000年(平成12年)11月に,国連総会においてコンセンサスで採択され,我が国は,同年12月にイタリアのパレルモで開催されました本条約の署名会議において,他の約120か国とともに本条約に署名いたしました。
本年8月31日現在,本条約の署名国は142か国に及んでおり,そのうち20か国が締結済みです。本条約は,40か国の締結により発効することとされておりますが,昨年末の締約国はわずか6か国であったのに,本年に入り既に14か国が締結しておりますので,今後締約国が増加し,近年中に発効することも予想されるところでございます。
我が国では,こうした組織犯罪に対する国際的な取組みの流れの中で,他のG8諸国とともに繰り返し本条約の早期採択を訴えてきましたほか,条約を起草したアド・ホック委員会の全体的な運営についても多大の貢献をしてきました。
また,2000年(平成12年)のG8議長国として,九州・沖縄サミットのG8首脳コミュニケにおいて,組織犯罪対策の強化及びその柱としての本条約の重要性を訴えるに当たり強いイニシアティブを発揮するなど,本条約の策定に積極的に貢献してきたものであります。そこで,主要先進国の一員として国際的な組織犯罪に対処するための責務を果たすためにも,本条約を早急に締結することが極めて重要だと考え,今回の諮問に及んだものであります。
今回の諮問に際しましては,条約の締結に伴う法整備についての案を要綱(骨子)としてお示ししております。その内容の詳細につきましては,引き続き幹事に説明させますが,立法措置を講ずる範囲を,本条約を締結するために必要な範囲に絞り込むことを基本としたコンパクトなものとしております。すなわち,本条約は,国際的な組織犯罪の防止,捜査及び訴追に関する国際的な法的枠組みを創設する総合的な条約であり,司法,法執行を中心とする広範な分野にわたる多くの規定を設け,締約国間における組織犯罪対策のすべての局面における協力の促進を図ることとしております。これらの規定の中には,締約国に立法措置等の考慮,検討を求めている事項も少なくないのですが,我が国としましては早期の条約への加入を優先課題と位置付け,今回は本条約締結に最低限必要な事項の改正を軸とする法整備を図ることとしたものでごさいます。
委員・幹事の皆様方には,さきの法制審議会において,法務大臣から,来年の通常国会に所要の法律案を提出したい旨の発言がなされたことも踏まえまして,本諮問につきまして要綱(骨子)を基に,十分に御審議の上,できる限り速やかに御意見を賜りたくお願いする次第でございます。
● それでは,引き続きまして私の方から,諮問の内容につきまして御説明をいたしたいと思います。
本諮問は,諮問の本文にありますように,「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」の締結に伴う国内法整備についてであります。
そこで,まず初めに本条約の概要について御説明いたします。
本条約は,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し,これと戦うための協力を促進することを目的とする全部で41か条からなる総合的な条約であります。そして,組織犯罪対策上有効性があり,国際的に標準装備とされるべき一定の行為の犯罪化を義務付ける規定や,犯罪収益規制を効果的なものとするため,その前提犯罪の重大犯罪への拡張,拡大を義務付ける規定のほか,犯罪収益の没収及びその共助等に関する規定,犯罪人引渡しに関する規定,捜査・司法共助に関する規定,証人,被害者の保護に関する規定,特別な捜査方法に関する規定,法執行当局との協力の促進に関する規定,情報の収集・交換及び法執行職員の訓練・技術援助に関する規定等,司法・法執行を中心とする広範な分野にわたる内容の規定を設け,締約国間における組織犯罪対策のあらゆる局面における協力の促進を図ることとしております。
このうち,犯罪化につきましては,第5条で組織的な犯罪集団への参加の犯罪化を定め,第6条では犯罪収益の洗浄の犯罪化,第8条では腐敗の犯罪化,第23条では司法妨害の犯罪化をそれぞれ締約国の義務としているところであります。
さらに,本条約は,これら「第5条,第6条,第8条及び第23条の規定に従って定められる犯罪」,それから「重大な犯罪」,すなわち「長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重大な刑を科することができる犯罪」というものを基本的な対象犯罪といたしまして,これらについて「犯罪収益の前提犯罪に含めるべきこと」,それから「犯罪収益及び犯行供用物の没収及びその保全を可能にすること」,さらには「犯罪人引渡しの対象とし,自国民であることを唯一の理由としてその引渡しを拒絶するときは,自国において訴追のため事件を付託すべきこと」等を規定しているものであります。
このような条約上の義務のうち,現行法において担保できていない部分につきまして,今回,法整備を行おうとするものでごさいます。その内容は,具体的には要綱(骨子)にありますように,第一に組織的な犯罪の共謀の罪の新設,第二に証人等買収の罪の新設,第三に犯罪収益規制の規定の整備,第四に国外犯処罰規定の整備であります。
そこで,順に要綱(骨子)の考え方について御説明をしてまいります。
まず,要綱(骨子)の第一でありますが,これは組織的な犯罪の共謀の罪を設けるものでごさいます。
条約は,組織的な犯罪集団への参加の犯罪化について規定する第5条におきまして,未遂に至る前の段階における行為の処罰を広く可能とするため,重大な犯罪を共謀すること−−仮に「共謀罪」と申しますが−−これか,あるいは組織的な犯罪集団の活動に参加すること−−「参加罪」と申しますが−−その一方又は双方の犯罪化を締約国に義務付けております。現在,我が国においては一般的に共謀を処罰するなど,条約の犯罪化義務に対応する罰則規定はありません。
そこで,共謀罪あるいは参加罪の一方又は双方の犯罪化が必要となりますが,参加罪は,特定の犯罪行為との結び付きを要件とせず,参加者が組織的な犯罪集団の犯罪活動やその他の活動に参加する行為を犯罪化することを義務付けておりますが,このように特定の犯罪行為と結び付かない行為を犯罪化するということにつきましては,慎重な検討が必要であると考えられます。他方,共謀罪の方は,特定の犯罪の実行を合意することの犯罪化を義務付けるものでありまして,我が国では既に一定の罪につきまして実行の着手前の共謀あるいは陰謀というものが独立の犯罪とされているなど,現行法制との親和性というものも認められること等を考慮いたしまして,重大な犯罪の共謀の犯罪化という方を選択したいと考えているものであります。
ところで,この条約では共謀罪につきまして,犯罪の実行の合意というだけで処罰できるようにすることを原則としてはおりますが,締約国の国内法におきまして,「組織的な犯罪集団が関与するもの」という要件を付加することも認めております。そこで,本要綱(骨子)では,重大な犯罪の共謀を一般的に犯罪化するのではなく,重大な犯罪に当たる行為であって,「団体の活動として,当該犯罪を実行するための組織により行われるもの」あるいは「団体に不正権益を得させ,又は団体の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われるもの」,こういったものの共謀に限り処罰するということとしております。この要件は,「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」,いわゆる「組織的犯罪処罰法」でありますが,そこにおきまして,その危険性や反社会性の高さから組織的な犯罪の加重処罰等の特別の規制を行うための要件として用いられているものでありまして,共謀罪の処罰範囲を重大な犯罪の遂行の共謀のうち,組織的な犯罪集団が関与するため,特に処罰の必要性が高いものに限定するというためには,この要件を用いることが適当であると考えたものであります。
用語の意味について若干御説明いたしますと,「共謀」というものは,二人以上の者が特定の犯罪の実行を合意することでありますが,共謀罪が成立するためには,単に漠然とした相談程度では足りず,目的,対象,手段,実行に至るまでの手順,各自の役割等,具体的な犯罪計画を現に実行するために必要とされる各種の要素を総合的に考慮して,具体性,特定性,現実性を持った犯罪実行の意思の連絡があることが必要であり,かつ,それで足りると考えられるものであります。なお,要綱(骨子)第一において用いられております「団体の活動として」ですとか,「不正権益を得させ」といった組織的犯罪処罰法第3条等において用いられている用語の意義につきましては,当該法律におけるものと同様と考えております。
それから,この罪の保護法益でございますが,共謀罪に固有の保護法益というものは想定しておりませんで,共謀に係る犯罪により保護される法益の保護に資するというふうに考えております。したがいまして,共謀に係る犯罪が実行された場合には,共謀した者は共同正犯の責任を問われることになり,共謀罪は実行された犯罪と別個に処罰する必要はなく,これに吸収されるというふうに考えております。
それから,法定刑でありますが,対象となる犯罪の法定刑の範囲が広いことにかんがみて,二つに区分することとしております。犯罪の実行に向けられた実行の着手前の行為を処罰するものであること,それから個別法における共謀罪,予備罪等,同種の罪の刑との均衡等を考慮いたしまして,死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる特に重い犯罪につきましては5年以下の懲役又は禁錮として,その他の犯罪については3年以下の懲役又は禁錮といたしました。
なお,共謀罪を犯した者が実行に着手する前に自首したときは,その刑を減軽又は免除する旨の規定を設けております。これは,条約上直接要求されているというものではありませんけれども,共謀に係る重大な犯罪を未然に防止するという趣旨等に照らしまして,これを設けるということとしたものであります。
次に,要綱(骨子)の第二でありますが,これは証人等買収の罪を設けるものであります。
条約は,司法妨害の犯罪化を規定する第23条におきまして,条約の対象犯罪に関する手続において,偽証させ,又は証言若しくは証拠の提出を妨害するため,暴行,威嚇,脅迫をし,又は不当な利益を約束,申し出,供与することを処罰すること,それから,条約の対象となる犯罪に関する公務の遂行を妨害するために,裁判官又は法執行の職員に暴行,威嚇,脅迫をすることの処罰を義務付けております。これらにつきましては,不当な利益を約束,申し出,供与することを除きまして,刑法の強要罪や公務執行妨害罪により担保されております。
そこで,条約の対象犯罪,すなわち重大な犯罪及び条約上の犯罪化義務のある一定の犯罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し,証言をしないこと,虚偽の証言をすること,証拠を隠滅若しくは偽変造すること,又は偽変造の証拠を使用することの報酬として,金銭その他の利益を供与し,又はその申込み若しくは約束をした者を処罰することとするものであります。
この証人等買収の罪は,個別の刑事事件における証言,証拠物等の証拠資料としての真正さを保護することに資することになるものでありますが,刑事手続において,一般に証言の内容や証拠物の存否,内容が買収によりゆがめられていないこと,それからこれに対する社会一般の信頼を保護法益とするものでありまして,その意味で賄賂罪に類似する性質を有するものと考えております。
利益供与の相手方につきましては,一般の収賄の主体と比べまして,その地位,権限の相違等を総合的に考慮いたしまして,利益供与を受けただけでは処罰しないこととしております。もっとも,これらの者も,依頼を受けた行為に及べば,証言拒否であるとか偽証,証拠隠滅等の罪で処罰されることとなります。
法定刑につきましては,本罪の実行行為である買収は,広い意味で証拠の隠滅にかかわるものでありまして,刑法第104条の証拠隠滅等の前段階の行為と位置付けることも可能である上,証人に対する不当な干渉という意味では,刑法第105条の2の証人等威迫の罪と類似する面があること等を考慮いたしまして,1年以下の懲役又は20万円以下の罰金としております。
なお,要綱(骨子)第二の二は,証人等買収の対象となる刑事事件が,組織的な犯罪集団が関与するものである場合,組織的犯罪処罰法第7条が組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等を加重処罰しているのと同様に,加重処罰するものであります。
次に,要綱(骨子)の第三でありますが,これは犯罪収益規制等の規定の整備でありまして,三つの事項が含まれております。
その一番目は,犯罪収益の洗浄の犯罪化を定める条約第6条に対応するものであります。条約第6条の規定する犯罪収益を洗浄する行為自体につきましては,既に組織的犯罪処罰法第10条,第11条及び麻薬特例法第6条,第7条により犯罪とされておりますが,犯罪収益が生じる前提となる犯罪でありますいわゆる前提犯罪の範囲につきましては,現行の組織的犯罪処罰法における前提犯罪が,条約が求めるものより狭いものであるため,これを拡大しようとするものであります。
すなわち,条約は,原則として重大な犯罪並びに条約が犯罪化を求める共謀罪,贈収賄罪,司法妨害罪をすべて前提犯罪に含めることを義務付けております。しかしながら,現行の組織的犯罪処罰法が定める前提犯罪は,立案当時の状況を踏まえ,組織的犯罪対策として緊急に対処する現実的な必要性や,当時の国際的な協力の必要性等を考慮して個別に選択された結果,極めて重大な犯罪や現実に暴力団の資金源になっている犯罪等に限られておりまして,組織的な犯罪集団が関連する犯罪を網羅したものとはなっておらず,今回,条約により前提犯罪とすることが義務付けられている範囲よりも狭いものとなっております。
そこで,本要綱(骨子)では,条約が犯罪化を求める犯罪に加えて,条約上「重大な犯罪」とされている「長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重大な刑を科することができる犯罪」,これを包括的に前提犯罪とすることが条約の趣旨に最も忠実であり,また,国際的な協調の観点からも適切であると考えられること等から,死刑又は無期若しくは長期4年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪を前提犯罪とすることとしたものです。
なお,現行の組織的犯罪処罰法の別表には,このような「重大な犯罪」に含まれない常習賭博の罪ですとか,商法の株主の権利の行使に関する利益の受供与の罪等も掲げられておりますが,これらの罪につきましては,それぞれ例えば現実に暴力団等が多額の収益を獲得していると認められる資金源犯罪であることなど,犯罪収益規制の趣旨・目的に照らしまして,「重大な犯罪」と同様に前提犯罪とすることが適当と考えられるものであることから,これまでどおり前提犯罪としておくこととしております。
犯罪収益規制関係のその二でありますが,これは共謀罪を犯した者が,その共謀に係る犯罪の実行のための資金として使用する目的で取得した財産及び証人等買収の罪で相手方に供与された財産を犯罪収益に加えるものであります。これらの財産は,組織的犯罪処罰法が原則的な犯罪収益として定義する「犯罪行為により生じ,若しくは得た財産又はこの報酬として得た財産」という概念をもってしては,必ずしも十分にとらえきれないものでありますが,犯人等にその保持・運用を許せば,犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動等に用いられるおそれも大きいと考えられるなど,その性質上,一般の犯罪収益と同様の規制に服させることが適当と認められる上,犯罪収益規制の強化を図るとともに,共謀罪,司法妨害罪の犯罪化とその前提犯罪化を締約国の義務とした条約の趣旨に沿うものであること等をも考慮いたしまして,犯罪収益とすることとしております。
犯罪収益規制関係といいますか,それに関連する三番目といたしまして,犯罪組成物件及び犯罪供用物件を没収保全の対象に加えるというものであります。すなわち,条約第12条は,犯罪収益のみならず,「条約の対象となる犯罪において,用い又は用いようとした財産等」を最終的な没収のために追跡,凍結,押収を可能とすべき措置をとることとしております。刑事訴訟法の捜索・差押えは,その対象物の処分を法的に制約するものではありませんので,条約上の義務に応えるため,犯罪組成物件及び犯罪供用物件を組織的犯罪処罰法の没収保全の対象に加えるというものであります。
次に,要綱(骨子)の第四でありますが,これは国外犯処罰規定の整備であります。
条約は,重大な犯罪並びに条約が犯罪化を求める共謀罪,資金洗浄罪,贈収賄罪及び司法妨害罪であって,組織的な犯罪集団が関与するものについて,自国民であることを唯一の理由として犯罪人の引渡請求を拒絶したときは,自国において訴追のために事件を付託すべきこと,及びそのための裁判権設定を締約国に義務付けております。
しかし,この規定は,例えば専ら自国の国家的法益の保護を図る犯罪等には適用されず,また,外国で行われた行為を処罰するために国内法の犯罪構成要件を新設・拡張することまでは要求していないと解されます。したがいまして,普遍的な性質を有する犯罪であって,外国で行われた行為にも自国の罰則の構成要件を直接適用することが可能であるものについて,自国民であることを唯一の理由として引渡しを拒絶する場合に備えた国外犯処罰規定を整備する必要があり,かつ,その対応をもって足りることになります。
具体的には,重大な犯罪のうち,刑法各則の罪につきましては,刑法第2条から第4条の2までの規定によりまして対応済みでありまして,さらにいわゆる準刑法とされている罰則につきましても,個別法における国外犯処罰規定がおおむね整備されておりますが,なお,今回の法改正に際し,関係法律を精査し,条約上の裁判権設定義務に対応するために必要な範囲での国外犯処罰規定を整備したいと考えております。
次に,本条約が犯罪化を求める罪についてですが,まず共謀罪につきましては,条約上の裁判権設定義務に対応する限りにおいて国外犯処罰を可能とするとの観点から,刑法第4条の2の例によることとしたいと考えております。
資金洗浄に関しましては,既に犯罪収益隠匿罪等につきまして,国民の国外犯処罰規定が整備されており,措置不要であります。
それから,腐敗及び司法妨害に関しましては,性質上専ら自国の法益を保護するための犯罪である上,条約は外国の公務員に対する贈収賄行為や外国の司法作用に対する妨害行為の処罰までは義務付けていないというふうに解されますので,これらの罪について,国外犯処罰規定を設ける必要はないと考えられます。
もっとも,贈賄罪につきましては,現行刑法上,国外犯処罰規定がありませんが,交通が発達し,国際的な人の移動が日常化した今日,国外における国民による贈賄行為の処罰の必要性は高まっているというふうに考えられ,また,贈賄罪につきまして国民の国外犯処罰規定を設けることは,本条約における腐敗の犯罪化の趣旨にも沿うものでありますことから,本要綱(骨子)では贈賄罪につきまして国民の国外犯処罰規定を設けることとしております。
以上,要綱(骨子)の考え方につきまして御説明いたしました。
● では次に,配布資料について御説明を賜りたいと思います。
● 引き続きまして,配布資料について御説明申し上げます。
本日,御審議の参考にしていただくため,席上に資料7点と参考資料2点の合計9点を御用意させていただいておりますので,その内容等につきまして順次御説明申し上げます。
まず,番号1は,先ほど朗読いたしました諮問第58号でございます。
番号2は,「条約第5条,第6条,第8条及び第23条に規定する犯罪化義務に対応する犯罪」,これをまとめた資料でございます。すなわち,要綱(骨子)の第二「証人等買収」の一の1,あるいは第三の「犯罪収益規制等」の一の1のところで,要綱の規定の内容として一定の罪を特定して記述するに際しまして,「条約第5条等に規定する犯罪化義務に対応する罰則に定める罪」などという要綱の記載の仕方をしてございます。もとより,法文にする段階では,例えば「組織的犯罪処罰法第10条の罪」などと具体的な罰則を特定して記述することになるわけでございますけれども,条約上の犯罪化義務に対応する犯罪を列記いたしますと,この資料にありますように相当長大かつ複雑なリストになってしまいますので,諮問の段階の要綱(骨子)としては,むしろ規定事項の趣旨や骨格を分かりやすいものとするために,あえて「条約5条等が規定する犯罪化義務に対応する罰則に定める罪」というような条約との関係が明らかになるような書き方をさせていただくことといたしまして,その具体的な内容につきましては,資料としてこちらに譲ったものでございます。したがいまして,要綱の該当部分を御検討される際には,本資料を御参照いただきたいと思います。
番号の3番ですが,「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」の英語の正文とその仮訳文でございます。正文は英文でございまして,仮訳文につきましては,今後条約の正式な訳文ができ上がります過程で文言が現在のものとは変更されることがあり得るということを,あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
なお,本諮問の審議に関連する条約の条項を幾つか御紹介いたしますと,第2条が用語の定義規定でございまして,「組織的な犯罪集団」でありますとか,「重大な犯罪」,その他の主要な用語が定義されてございます。
犯罪化義務は4か条ありまして,一つが第5条で,組織的な犯罪への参加,これは4ページからです。二つ目が第6条で,資金洗浄,これは6ページからです。三つ目の犯罪化義務は,腐敗に関する第8条でございまして,10ページからです。四つ目の犯罪義務は23条で,これは40ページのところにありますが,司法妨害につきまして犯罪化義務を規定してございます。そのほか,没収に関しましては第12条の1項,2項,これは13ページ辺りでございます。それから,犯罪人引渡しとこれに関連する国外犯処罰に関しましては第15条辺りから,15条3項とか16条10項でありまして,19ページ辺りのところでございます。これらの部分が関連するところでございます。
次に,番号の4番ですが,「組織的な犯罪に関する対策をめぐる国際的な動向」と表題をつけました資料でございます。先ほど説明がありましたように,本条約はG8諸国を中心とした国際社会の活発な組織犯罪対策の諸活動を受けまして,国連において起草・採択されたものですので,その関連する国際的な動向を取りまとめた資料でございます。
1ページの5に記載しております,1994年11月のナポリでの世界閣僚会議におきまして,国際組織犯罪に対処するための国際文書の作成の検討が初めて提唱されたということでございます。
その後も,例えば2ページの6,8,9,11など,サミットの議長声明等で,国際組織犯罪に対抗するための国際協力の強化が繰り返し言及されたところでございますし,また7のところ,いわゆるリヨン・グループのところでございますが,ここでは組織的犯罪対策に関する40の勧告を提出するなどしました。
その後,3ページの12のところにありますが,アド・ホック委員会の設置でございまして,国連決議に基づきまして起草のための委員会がこのように設置され,同委員会におきまして約2年間にわたり精力的な審議を経まして,この条約は16の国連総会,2000年11月の総会でコンセンサスでの採択がなされたものでごさいます。
その翌月,17のパレルモ署名会議が行われ,我が国もそこで署名しておるところでございます。
次に,番号5の資料を御覧いただきたいと思います。8月31日現在の本条約の署名国の一覧でございます。署名国数は142,締約国が20となってございます。現在,G8諸国の中で締結に至っておるのはカナダのみですが,他の主要国におきましても締結の準備が具体的に進められていると承知しておるところでございます。
次の資料は番号6番の「共謀罪,陰謀罪,予備罪,準備罪の現行条文一覧」というものであり,これらの罪に関する現在の条文を網羅した資料でございます。最初の2枚は法律名・条項の番号と法定刑のみを集めたもので,3枚目以降にはそれぞれの構成要件の内容も全部そこに引用されているものも含めて記載いたしまして,犯罪の実行着手前の犯罪について現行法はこのようになっておるというものを網羅したものでごさいます。なお,この並べ方につきましては,用語ごとと,あとは法律の公布年月日の新しい方から順に並べております。
次に,番号7の「条約上の重大な犯罪に該当する罰則一覧」という,相当細かい資料でございますが,条約上の重大な犯罪というのは,我が国の法律に当てはめますと,死刑又は無期若しくは長期4年以上の懲役若しくは禁錮が定められている罪ということになりますので,これを一覧性の資料にいたしましたものでごさいます。この一覧表の作り方でございますけれども,最初に刑法上の重大な犯罪に当たるものを条文の順に列記いたしまして,これが4ページの上の方まで進みまして,その後は各特別法の該当する条文を列記したのですが,今回の並べ方は法律名のあいうえお順に並べておるということでございます。
なおこの資料では,法律名,条項,法定刑のほかに,右の方に前提犯罪に既に指定されておるのかということを,白丸は組織的犯罪処罰法で前提犯罪にされているもの,黒丸は麻薬特例法で前提犯罪にされているものでございますが,その前提犯罪になっているかどうかの印を付けました。一番右側は,国外犯処罰規定があるかどうかにつき,刑法につきましては,何条に列記されておるかということ,特別法につきましては刑法何条の例に従うとされておるかということを取りまとめた資料でございます。
続きまして,参考資料を御説明申し上げます。
まず,最初の「組織的な犯罪及びマネー・ローンダリングの処罰に関する事例集」というものでごさいます。これは,今回の諮問に関連があります組織的犯罪処罰法や麻薬特例法の関連する条項が適用された事案をまとめたものでごさいまして,要綱(骨子)第一の「組織的な犯罪の共謀」では「団体の活動として,当該犯罪を実行するための組織により」という要件,又は「団体に不正権益を得させ」云々という要件をつけておりますが,これは組織的犯罪処罰法の3条とか7条において加重処罰等の要件とされておるものであります。また,犯罪収益規制に関しましては,既に組織的犯罪処罰法の10条,11条,麻薬特例法の6条,7条が犯罪収益の隠匿罪とか,収受罪を規定しておりますので,これらの法律の規定がどのように運用されているかを明らかにするとの観点から,適用された事例をまとめた資料でごさいます。
この事例集の作り方ですが,全国の検察庁から法務省刑事局に報告のありました事案の中で,既に判決の確定いたしましたものについて取りまとめたものです。ただ,審議の参考に供するという観点から,同種事例が多数あるものにつきましては,代表的なもののみを掲げるにとどめておりますので,そういう適用件数を反映したものにはなっておらないということは御承知おき願いたいと存じます。例えば,この資料の事例の1ページにありますように,これは組織的な賭博開帳図利の事犯でございますが,この種の条項の適用は,ここの事例以外にも数件報告がなされておるということでありますし,また犯罪収益の仮装・隠匿の罪につきましては,その前提犯罪が同じであるもの,そしてまた仮装・隠匿の手口が同様のものにつきましても多数ある部分もございますので,その点は省いております。そういたしますと,結果的に薬物犯罪収益のマネー・ローンダリングの罪の事案というのは,特徴的なものだけがここに拾われたという結果になっておるということを御理解いただきたいと存じます。
それから,「主要諸外国の関係法制」の資料でございます。今回の諮問に関係する共謀罪・参加罪,それから司法妨害罪,マネー・ローンダリングの前提犯罪,それから贈賄罪の国外犯処罰に関しまして,アメリカ合衆国,イギリス,ドイツ及びフランスの4か国と,また一部の事項につきましては更にカナダを含めました5か国につきまして,その関係法制を取りまとめたものでごさいます。
例えば,共謀罪・参加罪について1ページ目を御覧いただきますと,アメリカとイギリスは共謀を犯罪化しております。それぞれの国ごとに見出しと,出典となる法律名,条文名をそこに明記してございます。2ページ目に行きますとドイツ,フランスになりまして,ドイツは犯罪団体の結成の罪でありまして,これは犯罪団体の結成とか構成員としての関与等々を処罰しております。4番のところにあるフランスは,凶徒の結社罪ということになっていますが,その内容は犯罪準備のために結成された集団又は謀議への参加ということで,共謀罪の部分も含まれていると理解されるところです。3ページ目のカナダですが,カナダでは共謀と犯罪組織への参加の双方を処罰しています。これらの国を見ますと,いずれも対象となる犯罪の範囲は基本的には制約をしておりません。
それから,処罰される法定刑も,御覧のようにアメリカの共謀罪,ドイツ,カナダの参加罪は原則的に5年となっておりますが,加重処罰の類型を設けております。フランスは対象犯罪の重さに応じて10年と5年という枠組みです。イギリスとカナダの共謀罪は,共謀の対象となった犯罪の法定刑を基準としてその範囲内というような定め方になっています。カナダは,もともと共謀罪の定めを持っていたのですが,今回,本条約に加入するに際しまして,犯罪団体の参加の罪も新設したと承知しております。
そのほか,御紹介すると長くなりますので省略いたします。なおこの諸外国の関係法制の資料につきましては,一部調査未了部分がございまして,若干不完全になっておりますので,その点は御了解願います。
以上,簡単でございますが,配布資料の説明をさせていただきました。
● 事務当局からの最初の説明は,ただいまお聞き及びのとおりでございます。
諮問事項に関する審議の進め方につきましては,後ほど皆様にもお諮りをして決めたいと思いますが,ただいまの段階では,ただいまの事務当局の説明に関して御質問などがございましたならば,それをまず御発言を求めたいと存じます。いかがでございますか。
● 諮問の第一について伺いたいのですけれども,これまで共謀罪ないし陰謀罪はごく例外的な犯罪類型にしか規定がなかったわけで,例外的なものであったわけです。今回の諮問では,広範な犯罪類型について共謀罪を認めることになっております。その点では,共謀罪に関して,例外的なことが一般的な犯罪化に転化したような感が一方ではするわけです。
しかし,他方,この犯罪類型には組織的犯罪処罰法3条の文言の縛りがかかっており,いわゆる組織性が前提になっている。そういう意味では,依然例外的な立法であるとも考えることができるわけです。結局これは評価の問題なのですけれども,審議を始めるに当たって,事務当局側のこの点に関する見解を伺いたいと思います。すなわちこれが共謀罪の一般的な犯罪化なのか,あるいは依然例外的なものにとどまるものなのかということについて,御説明いただければと思います。
● 先ほども御説明させていただきましたが,この条約自体の成り立ちといたしましては,市民社会,あるいは市民社会におきます健全な様々な活動に対する組織的な犯罪の攻撃と申しますか,そういった犯罪から市民生活なり市民社会の様々な活動といったものを守っていくという観点から,犯罪の実行に着手する以前の段階であってもこれを犯罪化して,国際的な協調の中で処罰化を図っていくというのが今回の条約であるということでございます。原則的な形態から申せば,何らの要件を付さない共謀罪ということも一つ考えられるわけでございます。
他方,今,委員から御指摘がございましたように,我が国におきまして共謀罪というものは既存の法体系に現にある,しかしながらこれが例外的なものに限られているといったことから,他の英米法の国などに見られますような共謀罪一般を犯罪化するというよりは,その中でも組織性と申しますか,こういう組織的な犯罪の共謀であるといったことから,危険性等の強いものに限って犯罪化を我が国としては行ってはいかがであろうかと,そして我が国の場合に組織性ということになりますと,刑事関係では組対法に要件が定められておるといったことから,この組織性をかぶせることをもっても条約上の義務履行としても許される制限なのではなかろうかと,その意味で限定的な共謀罪ということを条約締結の観点から御提案させていただいているということでございます。
● ○○委員,それでよろしゅうございますか。
● はい。
● ほかに御質問がございましたらどうぞ。
● 先ほどの御説明でも,国際的な要求というのが幾つか出されているのですが,国内的な立法事実といいますか,今回の立法が必要であるというものが余り指摘されなかったというふうに思いますが,そういう意味でもやむなく今回提案したというような形のものだと理解していいのですか。
● やむなくというのをどのように理解するかということにもよるわけでございますが,先ほど来御説明させていただいておりますが,国内的にそのニーズに応えるという形はとっておりませんで,条約締結のために必要な犯罪化等を図っていきたいということを基本に考えているわけでございます。
● ○○委員,重ねて御質問はありますか。
● いいえ。
● 諮問との関係で,第四の「国外犯処罰」の中の「贈賄罪につき国民の国外犯を処罰するものとする」こと,これは条約の要求事項に入っているのでございましょうか。もしそうでないとすれば,なぜであるかということの御説明を重ねてお願いしたいと思いますが。
● 条約の直接的な要求かといいますと,直接的な要求ではないという答えが正しいことになります。
しかしながら,先ほども説明がありましたように,贈賄の国外犯につきましては,そもそも近時の交通の発達等々を前提にすれば,国外犯処罰があってしかるべきであるという国内的な必要性が一つございますことに加えまして,この条約自体も贈賄の8条で腐敗の犯罪化についてはそれを厳しく要求しておるところでございまして,そのような本条約の趣旨によく沿うものであるということ等々を総合考慮いたしまして,今回,併せてその法制化を図りたいと考えておるところであります。
● 更に御質問がございますでしょうか。
それでは,また後の段階で御質問があればお受けしたいと存じますけれども,ここで以上の御説明に関連いたしまして,もし御用意があるようでありましたら,国際組織犯罪の実情等に関して警察庁の方から何か御紹介いただけると,今後の審議に大変有益ではないかと思われますので,いかがでございましょうか。
● 今,お話しいただきましたので,私の方から,誠に簡単でありますけれども,我が国をめぐります国際的な組織犯罪の現状につきまして,若干御説明をさせていただきます。
必ずしも国際組織犯罪というのがどういうものかという定義は確固たるものがないわけですが,この条約での審議等の御説明にもありましたように,国境を越える組織的な犯罪と言われるものが今いろいろな形で問題になっておりまして,そういった観点で我が国を見た場合,まず代表的なものとしては,薬物の密輸・密売と,いわば人の密輸という分野の二つではないかなと思っております。そのほかには,クレジットカード犯罪,あるいは組織的な侵入強・窃盗,地下銀行といったようなものもいろいろと多発しております。
まず,薬物の密輸・密売についてですけれども,国際社会で組織犯罪といえば,組織の規模や人々,社会に与える問題の深刻さから見て,その第1は薬物犯罪であるというふうに私ども見ておりますし,皆様もそのように御認識いただいているものと思います。
薬物犯罪組織の中には,国家をしのぐ資金力と武力を備えたものもあると見られておりまして,世界の主な乱用薬物という点で見ますと,アヘン,ヘロイン,コカイン,ATSいわゆる覚せい剤といったものが代表的なものであります。国連が1995年に試算したところによりますと,世界の薬物取引総額は約4,000億ドル,50兆円程度に上りまして,ほぼ原油・天然ガスの貿易額に匹敵するといった状況にあります。極めて巨大な収益を生み出すビジネスと化しているわけです。
我が国におきます薬物問題の現状ですけれども,現在,第三次覚せい剤乱用期にありまして,特に中国や北朝鮮で製造されました大量の覚せい剤が,中国系あるいは北朝鮮系組織の手によりまして,日本に向けて送り出されているというふうに見ております。
押収数量と検挙人員は,平成11年で約2トン,1万8,285人。平成12年には約1トン,1万8,942人。平成13年には約400キログラム,1万7,912人という形で推移しております。
我が国は,覚せい剤につきましては世界最大級の消費市場でありまして,日本をターゲットにすることが非常に大きなもうけにつながるということから,近年では特に中国,北朝鮮からの非常に大きな仕出し圧力にさらされております。
密輸に際しましての日本側の受け手ですが,これらは暴力団やその周辺者であることが多い。国内に持ち込まれました覚せい剤は,通常一次卸,二次卸の手を経て,末端のストリート・レベルに至りますが,末端になりますと,今度はイラン人,あるいはフィリピン人らの組織によります密売が大きな問題となっております。特にイラン人組織が,駅前や街頭で相手構わず無差別に販売したというような状況が近年続いており,市民各層にまでの覚せい剤の乱用が拡大した要因の一つとなっているものと見ております。いずれにしましても今後第三次乱用期を終息させることかできるかどうかというのは,国際的な捜査協力の下で中国や北朝鮮のサプライサイドを抑えることができるかどうか,かつ,また国内のイラン人等の末端密売組織を壊滅できるかどうかということに大きくかかっているというふうに考えております。
次の大きな問題は,人の密輸その他の不法入国の問題についてです。集団密航,あるいは人身売買的に人が送られてくるようなケースです。ほとんどの場合,これらも国際的な組織犯罪集団が深く関与していると見ております。主な形態は中国からの船舶による集団密航,コンテナ利用の集団密航,もう少し上級というか,お金をかけてきますと偽変造パスポートを使った航空機による不法入国といった形になります。
集団密航の摘発・検挙は,平成2年ころから始まりまして,平成9年の1,360人をピークとしております。昨年は419人ということで,やや落ち着いてきていますが,近年は形態が多様化しており,手の込んだ航空機利用型の不法入国というのが増えてきております。また,偽装結婚や中国残留孤児の偽装家族や偽装就学生,留学生による在留資格の不正取得といったものも,不法入国の手段として使われており,手口,選択肢が増加してきているという状況です。こうした不法入国事犯には,よく名前が出てきております「蛇頭」と呼ばれる組織を初め,国内外の様々な犯罪組織が関与しておりますが,特に最近は旅行文書の偽変造を専門にする組織,偽装結婚等をあっせんする組織,不法就労をあっせんする組織という形で,いろいろなサービスを提供するという形態が出てきております。いずれも何らかの国際的なネットワークを持った犯罪組織であると見ております。
次に,その他のものとして若干の御説明をしたいと思います。
クレジットカード犯罪ですが,その多くは中国系の犯罪組織によるもので,海外から生カードを持ち込み,その磁気ストライプに国内のエステ店などでスキミングした保有者情報を書き込みまして,そのカードを使って大量の高額商品を購入し,更に当該商品を国際的なネットワークを使ってさばくといった形態です。クレジットカード犯罪は,幾つもの構成要素からなっており,生カードの作成,生カードの持込み,そして情報の取得,さらにその刷り込み,そしてまた使用という複雑な犯罪ですが,これらが細かく役割が分担され,全体として見れば極めて連携された一連の流れによる組織的な犯罪というふうに見ることができるかと思います。
次に,組織的な侵入強・窃盗でございます。典型的なものはピッキング用具使用の侵入等でありまして,ここ数年,全国的に被害が広がっております。国民の居住空間の安全を脅かす形態の犯罪ということで,社会に大きな不安を与えているところです。平成13年には1万9,568件の被害を認知し,599人の検挙を見ておりますが,この599人のうちの410人は中国人であったという状況です。
最後に,地下銀行についてですが,平成4年から平成10年4月までの間に検挙した地下銀行事犯,いわば正規のルートで流せない金を海外に送金する事犯ですが,こうした事犯は35件で,解明されました送金金額は約4,200億円です。送金先国としては中国が最も多く,ついで韓国,タイの順でした。利用しておりました不法滞在の外国人によれば,安くて迅速,確実といった評価があります。
以上,我が国をめぐる国際的な組織犯罪の現状について簡単に御説明させていただきましたが,このような状況に至った要因としては,やはり国境を越える交通輸送手段,金融決済手段,情報通信手段等が急速に発達してきたこと,それから我が国と近隣諸国との間に大きな経済格差があり,日本でやる犯罪がもうかるという構造にあること,また平成3年以降不法残留者が20万人を超えておりまして,さらに長期化の傾向にあるといったことも何らかの影響を与えているものと考えております。
また,次第に長期化している中で,犯罪インフラが充実してきております。暴力団や不良日本人と外国人組織が連携していく流れというものが少しずつ深まってきていること,それから例えば新宿の歌舞伎町のように,こうした犯罪者集団にとってのいわば人・物・金情報が集散するセンターというものが次第にできつつあること,こうしたことがこのような国際的な組織犯罪が我が国の中でいろいろな形で動き,深刻な状況を迎えてきていることの要因であろうと考えております。
● ただいまの御説明に何か御質問があるようでありましたら,御発言ください。
● 今回の諮問内容には直接関係ないので申し訳ないのですが,先ほどお聞きしているところによると,薬物犯罪で覚せい剤の摘発の量が平成13年に何か激減したように聞こえたものですから,これは私の聞き間違えでないとすると何か激減した原因があるのでしょうか。
● 薬物対策を直接担当しておりませんので,具体的な原因自体は今承知しておりませんが,大変大量な押収があった年とない年とで随分変わってまいります。
● ほかに何かございますか。
もしございませんようでありましたならば,ここで15分ほど水入りということでいかがでございましょうか。
ではそういうことにいたしたいと思います。
(休 憩)
● 会議を再開いたします。
諮問事項の審議に入りたいと思いますけれども,今回の諮問には要綱(骨子)の案が付されております。
審議の進め方について,何か事務当局の方でお考えがございましたら,最初に御説明を賜りたいと思いますが。
● 審議の進め方につきましては,もとよりのこと当部会において決定されるべき事柄でございますが,事務当局の立場から1点お願いさせていただくといたしますと,本日,要綱(骨子)の案につきましては,委員各位の御関心事項が明確になるような形で総論的に御意見,御感想,御指摘などの御発言をいただきますと,次回以降の審議をより充実したものにできるのではないかと思っておりますので,議事の進行を御協議いただく際には,そのような点も御考慮いただきますと有り難いと考えております。
● 今回は,総会から本日の部会までの間の間隔が比較的短く,委員として選任されてから間もない方もいらっしゃると思います。ともかく第1回目ということでありますので,準備期間等を考えますと,本日は余り細かい議論をするのにはふさわしくないのではないかというふうに思います。司会の私といたしましては,次回以後の進行にも有益でございますから,もしよろしければ概括的,総括的な御発言で結構でございますので,できるだけ多くの委員・幹事の方から,重要な論点はどこであると考えておられるかを踏まえた御発言,御意見,疑問点の明示,あるいは御感想など,どのような御発言でもいただきたいと存じます。
どうぞ御自由に御発言をいただければと思います。
● 総括的なことにとどめよという御趣旨でございますので,なるべくそうしたいと思いますが,総括的でないかもしれません,その点御容赦いただきたいと思います。
私,基本的には条約を担保する法律としての性格上,これでやむを得ないという考えでございますが,2点ほど申し上げさせていただきますと,第一の一の死刑又は無期若しくはというのと,長期4年以上と二つに分けて法定刑が5年以下の懲役又は禁錮,それから3年以下の懲役又は禁錮。この点は,組対法の6条で組織的な殺人等の予備,例えば殺人の予備の場合で5年以下の懲役ということになっております。そういたしますと,その共謀という観点から見た場合に,ちょっと法定刑が重過ぎるのではないかという感想を持っておるというのが第1点でございます。
第2点は,証人等買収の性格は贈収賄的なものであるという御説明が○○幹事の方からあったというふうに存じますが,それにしても本犯の方の法定刑が,例えば偽証であれば3月以上10年以下でございましたか,そのほか不出頭の罪等であれば10万円以下の罰金等,本犯の方の法定刑が余りに区々ばらばらであるという現行法を前提とした場合に,それを一括してこのような形で証人等買収の罪,法定刑は証人威迫と同じというのは,これは将来の問題かもしれませんけれども,本犯の方の整備も必要なのではないかという感想を持ちました。
以上,2点,指摘させていただきます。
● それでは,御意見,御質問にその都度答えるというのではなくて,ある程度で切ったところでそれにきちんとお答えするという,そういうやり方をとりたいと思います。
どうぞ御遠慮なく御発言ください。
では,お考えをいただく時間を稼ぐという意味になるかもしれませんが,取りあえずただいまの御質問についてのお答えをいただこうかと思いますが,どうでしょう。
● まず,組織的な形態で行われる殺人,営利誘拐の予備との関係を踏まえまして,この組織的な犯罪の共謀の法定刑をどのように考えるかということでございますが,そもそも−と言うとちょっと大上段ですけれども,犯罪の実行に着手する前の段階の共謀とか予備という行為にどのような刑を割り振るかというのは,一定の定まった年数を割り振るやり方と,本犯との関連でそれ以下であるとか減軽するとかいうやり方の二通りあろうかとは思いますけれども,我が国においてはこれまで一定の年数を割り振るやり方がずっととられてきたということでありまして,どの程度の刑を割り振っているかということは,本日配布いたしました共謀罪云々の6番の資料にもございますが,一部例外,例えば内乱・外患とか,とても重いものがございますが,多くの場合には5年か3年か2年という刑を割り振っているのが一般的なところでございます。
そこで,組織的な犯罪の共謀の刑を考えるに当たっても,長期4年以上の刑という広い範囲の罪を一くくりにして一つの法定刑を割り振るというのはちょっと乱暴かなと思いまして,ここは便宜二つに分けました。その場合,重い方のグループはほかの重い犯罪の予備罪等の刑も参考にしまして5年程度にするのが適当なのだろうと。その場合,それより一段軽い方のグループにつきましては,一段階下の3年というところが妥当なのではないかと考えたところでございます。
それで,組織的犯罪処罰法の6条で,組織的営利誘拐の予備罪には2年という刑がつけてございますけれども,これにつきましては当時の立法段階の状況も踏まえまして,ほかの予備罪との均衡等を考慮して定められたものだと思いますが,今回,組織的な犯罪の共謀を定めるに当たりましては,今の5年と3年という一般的な枠組みの中で考えていきたいと考えておるところであります。
それから,2点目の証人等買収の方の法定刑の関係でございますけれども,この点につきましては証人等買収罪の保護法益の理解とも非常に関連する事柄だろうと思いますが,これが広い意味での贈収賄であるという理解の中で,証拠や証言が買収によってゆがめられていないことと,それに対する社会一般の信頼というものを保護法益とする,かなり一般的な形での保護法益を考えることにいたしまして,個々具体的な偽証事件,あるいは不出頭事件等とはちょっと一線を画しておるという理解をしているところでございます。したがいまして,そこで一般的な形で外部からそのような買収により不当な干渉をする罪の法定刑ということで,2年以下の刑が定められている証拠隠滅罪の前段階に当たる行為であるということ,あるいは証人等威迫罪が1年以下になっていること等々を考えまして,1年以下という法定刑を考えたところでございますが,買収者から依頼を受けた人がその依頼に即した行為を行ったとき,それぞれ成立する犯罪の法定刑が多分にばらついておるというところは御指摘のとおりでございます。この要綱(骨子)の考え方としては,一応保護法益的に別枠の犯罪であるということで,そこに論理的な矛盾はないと考えておりますけれども,これは将来のことになりますが,例えば刑事訴訟法上の犯罪の10万円以下の罰金という刑が,果たして犯罪の威嚇力等々を考えたときに適正な水準かというのは,今後刑事訴訟法のいろいろな検討課題の中の一つとして,検討を続けていくべき問題だろうと考えております。
● 今回のこの問題を議論するに当たって,私が少し関心があるのは,このものが法律化されて,具体的に施行されるということを考えたときに,捜査だとかそういうものはどういうふうになるのだろうかということをも視野に入れた議論が必要じゃないかというふうに思っております。共謀という形でのものが,実行行為というふうになるわけですから,補強証拠が何か必要になるとなると,共謀ですからお互いに自白をすれば補強証拠になるということも考えられますので,共犯者の自白という問題がいろいろ出てくるということと,あと,具体的にこういうものを本格的に摘発していくとなると,通信傍受などというものではなくて,室内の会話を傍受するといいますか,盗聴するというか,そういうシステムが必要になってくるのではないか。これはいいという意味で言っているわけではないのですが,そういうことも考えられるのではないか,また,そういうものがなければ逆に効果がない条文になってしまうのではないか。
あるいは,ここに自首という形で出ていますので,自発的に出てくるということを期待しているというふうに言えないこともないし,そのほか具体的には免責のような形のものも取り入れていくというような方向性も出てくるのかなというふうに,いろいろ考えを,まだ定まってはいないのですがめぐらせているところなので,この辺りも今回この行為を犯罪化する場合の,一つ私どもが議論する必要がある点ではないか,それ自体というよりも,それを視野に入れて議論する必要があるのではないかというふうに思っております。
それと,あとやはりこの問題では先ほど○○委員がおっしゃいましたように,私どもも法務省が国際会議でかなりいろいろ日本法に適応するように頑張って提案をしているということは漏れ聞いておりまして,ただ残念ながらそれがかなり受け入れられないという国際的な流れにあったということも承知はしているのですが,そういうことであるということでこの共謀ということを,それだけを取り上げて犯罪化すること,今までも例外であったものが今度一般化するというふうに見るのか,この条文はかなり一般化するのをくい止めているというふうに見るのかでかなり議論のスタンスといいますか,立場が違ってくるというふうに思っておりますので,まだ私自身もはっきりは本日はしていないのですが,そういう辺りを含めて今後少し議論をしていきたいというふうに思っております。
● 感想程度でもいいということなので,若干感想めいた話ですけれども,配布資料の4,「組織的な犯罪に関する対策をめぐる国際的な動向」という資料がありまして,これを見ておりまして,その6番のところにハリファックス・サミット議長声明というのが出てまいります。これは平成7年でありまして,実は私,このとき国際課長をしておりまして,ここに出てくる上級専門家グループという,シニア・エキスパート・ミーティングというのがありまして,そこに出まして,翌年G7の議長国がカナダからフランスにかわって,リヨンでこの40項目の勧告というのが成立したわけですけれども,そのハリファックス・サミットの後できたシニア・エキスパート・ミーティングで,リヨンの40項目の勧告のたたき台みたいなものをつくる作業に私携わりました。そのとき思った,というか,今から考えると思ったことが二つあります。
一つは,今も○○委員からお話しがあったことにも関係するのですけれども,こういうG7−−当時はロシアがプラス1ということでP8と言っていましたけれども−−の中で勧告をつくるのでも大変な作業なんですね。ある項目についてこっちの国がああ言うと,あっちの国がこう言うとか。でも,その中でも北米はカナダとアメリカが結託していて,ヨーロッパはヨーロッパの中で若干趣が違うのですけれども,そういう中でこの40項目の勧告をつくるというのはなかなかできない大変なことでした。ところが,今回の立法の動機になっている条約については,コンセンサス採択されたということであります。それまでに紆余曲折があったであろうことは容易に想像できるのですけれども,それにしてもこういうトランスナショナル・オーガナイズド・クライムに対して国際的に連帯をして対処していかなければいけないということについては,やはり国際的な共通した認識があるのだろうと,こういうふうに思うわけです。そういう意味で,やはり日本としてもきちんとした法律を準備する必要があるのだということが一つですね。
もう1点は,平成7年,1995年の会議に行ったときの私どもの認識は,アメリカなりカナダなりヨーロッパの国と,日本の認識というのはかなり差があったのじゃないかなと思います。サミットでは,犯罪関係ではテロの問題と国際組織犯罪の問題が二つ言われたわけですけれども,いずれの問題にしても日本の認識というのはヨーロッパなりアメリカに比べるとまだやはり甘いかなという感じがします。
その後,私,久しぶりに検察の現場に戻って実際の事件を見てみますと,やはり日本の犯罪情勢というのは相当悪くなっている。先ほど,警察庁の方からの御説明もありましたけれども,統計的な数字は皆さん御存じのとおり,犯罪の認知件数はどんどん増えているし,検挙率は一方で下がっているというのが現状であると。実際に高検でいろいろな事件相談でありますとか,そういうもので地検を指導していると感じるのは,やはり相当,例えばピッキングというような犯罪のことも先ほどありましたけれども,市民が感じている,「体感治安」という言葉がこなれた言葉かどうか分かりませんけれども,そういう安心して生活できるという国民の感覚というのは相当脅かされているという現状にあるのだと思うのです。そういう意味で,やはり私どもとしてはそういう国際的な潮流,日本の治安の悪化ということを考えた場合に,この法律はやはりきちんとつくらなければいけない。
そのときに,先ほど○○委員の方から御説明がありましたけれども,非常にコンパクトな形に絞って出しておられるというのは,これはよくお考えになった案だなと,こういうふうに思いました。以上,感想でございます。
● 先ほど,捜査手法の点につきまして若干の御感想と申しますか,御意見がございましたので御説明させていただきますと,なるほど今,両委員から御指摘ございましたように,我が国そのものといたしましても組織的な犯罪により現に被害を受けているわけでございますし,その脅威にさらされていることは,これまた否定し難い事実でございます。ただ,今回の立法動機と申しますか,直接のものは,条約の締結のために必要な国内法整備というのを基本に据えておるわけでございまして,その意味で捜査手法云々かんぬんという点につきましては,これは条約上必ずしも義務とされているわけでもございません。また,確か司法制度改革の御議論の中でも,新たな捜査手法等につきましては,それはそれで検討するテーマとして取り上げられていたように記憶しておりまして,今回御提案させていただいております諮問におきましても,条約を締結するために必要な立法措置ということを基本に考えた場合の罰則整備ということでございまして,捜査手法などにつきましては,これはこれでまた別途検討,議論すべきテーマであろうと考えているわけでございます。
● どうぞ御発言ください。
● 今回の条約の仮訳を見ますと,第3条の「適用範囲」というところに1項と2項があるのですが,この中に「性質上国際的なものであり」というような形の言葉が出ております。これは,今,○○委員の方からもありましたように,インターナショナルという意味ではなくて,トランスナショナルという意味で,越境的な犯罪という形での限定がついていると思われるのです。今回の出されている要綱案を見ますと,団体と組織でそれをある程度絞ったということは非常に理解できるのですが,トランスナショナル的なものがもちろんすべてそこに入るのでしょうけれども,実際上は純粋に国内法的なものにまで適用される可能性,国内で完結されるような犯罪にまで適用される可能性があるということは否めない事実だと思うのです。そうだとした場合,条約を骨子として今こういう議論をしているのであれば,私まだ全然考えはまとまっていませんけれども,もう少しそのトランスナショナル的な犯罪に限定して,重大犯罪を対象とすることができないかという議論が今後されるべきではないかなというふうに感想として思っているところであります。
● ただいまの点に関連いたしまして,先ほど資料説明の際にもう少し補足して御説明を申し上げるべきであったかもしれませんが,3条におきまして基本的な適用範囲というものを一定の犯罪と国際的あるいは組織的犯罪という性質で限定しておるところでございますが,これの国内犯罪化に関しましては,この仮訳の55ページになりますが,条約の34条の2項という規定がございます。この規定は,5,6,8,23という,つまりこの条約が犯罪化を義務付けている犯罪について,国内法で定めるときには「国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める」と,ただし5条の共謀罪のところで「組織的犯罪集団の関与が要求される場合は,この限りでない」ということで,原則的な適用範囲の考え方と,それを目的達成のための手段といいますか,犯罪化する場合のやり方とでちょっと区別した考え方をとっておりまして,最終的な目標は組織的犯罪対策というところにこの条約は置いているのでございましょうけれども,それの具体的な各国の国内法のつくり方としては,そういう性質と無関係につくっておきなさいというのが条約上の要求になっておりますので,この点ちょっと補足させていただきたいと思います。
● 皆さんのお話を伺っており,特に○○委員の御発言に触発されて一,二申し上げたいという気がするわけです。
私,先月アメリカで開かれた日本とアメリカの法律の発展を比較するといいますか,日本法の発展に重点を置いてアメリカ側の意見も述べてもらうという会に出たのですけれども,そのとき刑事法につきましては,「グローバリゼーション」という言葉がキーワードであるというのが一致した意見になったように思います。
もともと刑事法というのは,本来世界化,普遍化になじまないというのがかつての定説でありましたが,それが最近急速に変わってきているという認識であります。ただし,それと同時に,やはりグローバルなものに対抗するローカルなものというのも尊重されなければならないということで,今回の案につきましても共謀罪というようなものが,日本のもともとローカルな考え方としては余りなかった,○○委員も御指摘になりましたように非常に例外的なものでしかなかったわけですけれども,それをこのように取り出してきたわけですけれども,しかし,同時にあくまでこれは団体の活動としてという場合に限るという意味でそこに一つの歯止めが付いていて,イギリスやアメリカのコンスピラシーとはかなり違ったものになっているだろうという気がいたします。
それから,なお○○委員の御指摘になりました捜査方法との関係でありますが,これは確かに重要な点でありますけれども,私はこの種の立法が実体法として成立した場合に,それに引きずられて捜査が直ちに変わるというようなことは決してあり得ないので,捜査は捜査として適切に行われる,その結果,この種の犯罪についてそれほど多くの逮捕や訴追がなされないということになっても,むしろ当然のことであって,条約はそこまでいろいろ追いかけようとしているのではないと思います。むしろ条約の中には,第20条でありましたか,特別の捜査手法についての条文がありまして,いろいろ積極的な捜査手法を示唆してはおりますけれども,同時にそれはあくまで国内法の原則に従ってやるのであるということを条約自身が強調しておりますので,私はその点,実体法を立案する場合にそれほど致命的な問題ではないのではないかと考えている次第です。
● 私も,今の○○関係官のお考えとほとんど同じですけれども,確かに若干共謀罪を設けることに伴って必要な捜査方法というのはあり得るかなというふうには考えられるのですけれども。
例えば,共犯者の供述につきましては,我が国は伝聞か伝聞でないかということについても伝聞でない範囲もかなり広いですし,伝聞の場合でも例外がかなり広いということもあって,それで十分に対応できるのではないかと思います。
それから,犯罪をやめた者に対する対応の仕方ということで,免責ということが出てきましたけれども,これも検察官の適正な訴追裁量の範囲内でやっていける問題なのではないかと。
ただ私は,個人的にはこの辺りのことはもっと積極的に考えて,より犯罪を思いとどまらせるようなことをはっきりとした方がいい,そういう意味では免責というものをしっかりと要件を定めて法定した方がいいのではないかなという考えは持っております。
それから,ちょっと質問させていただきますと,共謀罪のほかに実体犯罪が成立した場合には,共同正犯ということでそれに吸収されるというお考えだと伺いましたけれども,すべての場合に吸収されるということで,共謀自体が非常に問題で,吸収されるのではちょっと困るのではないかという場合はあり得ないのかどうか,その辺り,ちょっとお伺いできればと思うのですが。
● これにつきましては,準備的な行為から実際の着手,既遂に至る過程の処罰,あるいは実体法的な考え方とも結び付くわけでございますけれども,ただもともとが,例えば既遂に達すれば未遂あるいは以前の行為が別途処罰されない,吸収されると申しましても,それは既遂行為として処罰されるものであるので包括的に評価がされるということでございますので,1回的な処罰で処理されることは間違いございませんけれども,そこから先,じゃあ共謀というものが,例えば全く犯罪でなくなるとか、そういうことがないのは当然でございまして,その意味でも先ほど申し上げましたように,後の行為で処罰されることによってもはや目的が達せられる場合には,重ねて別途処罰されることはないというふうに考えているところでございます。
ただ,そうは申しましても,委員御指摘の部分と申しますのは,例えば個人法益の罪につきまして,基本的な考え方というのは,まずは被害者ごとで罪数を考えていくことになろうかと思いますので,そういうことの反映としまして,先ほど御指摘のような共謀罪をどう考えるかというのも,それぞれ似たような,既にある同様の問題と同じ処理をしていくのかなというふうには思っておりますけれども。
● 今回の立法は,条約の担保法の立法というところから始まっているわけですが,条約の担保法の立法ということになると,処罰の範囲等は条約の要求しているところにどうしても制約されるというか,それとの関係で考えなければならないというところがあるわけで,その点,今回の諮問が共謀罪か参加罪のどちらを立法するかという選択について共謀罪を選択したということは,その二つの選択の中では妥当な選択だと思いますし,かつ,組織性において限定していることも妥当だと思うのですが,それでもこのような担保法の立法でなくてこの問題について立法するときには,実質的な立法の根拠がより前面に出てくることになると思われます。そして我が国においてもトランスナショナルな組織犯罪の脅威にさらされている,そのためにそれに対応する立法を行うということの意味はあると思うのですが,ただ共謀罪の立法という形でそれに対応するということが果たしてどこまで立法政策として実質的根拠があるのか,あるいはそのような側面から見た場合にどのように考えたらよいかということについて伺いたいと思います。
● 御質問に対して的確にお答えができないことをおそれるわけですが,今回の条約が組織犯罪対策として四つの犯罪の種類につきまして犯罪化を義務付けているというのは,それぞれの犯罪が組織犯対策上相当な効果を有するということについて国際的な認知があるからであろうと思われます。各国がそれを共通の犯罪とすることにより,いろいろな共助も円滑に進むようになるわけでございまして,そういう意味で国際的な要請に応ずるということに大きな意義があるということがまず一つ前提にあるわけでございます。
我が国をめぐる具体的な犯罪組織の犯罪との捜査等の関係において,これがどれだけ適用できるかということになりますと,それはこれからの問題になるかなと思うわけでございますが,条約加入のためにはまずもってつくるということが必要であって,それが優先的な課題としての位置付けが置かれていると言えると思います。
● 若干補足して申し上げますと,今回のこの条約は,共謀罪であるとか参加罪を犯罪化するという義務があるわけですが,これはこれまでのこの種の条約にはなかった規定振りであります。特に5条1項は,「犯罪活動の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする」と規定し,未遂に至る前,実行の着手前の行為の犯罪化が必要であるということを明確な形で規定をしたものです。したがって,その担保のために罰則を設ける必要があるわけですが,日本には先ほども話にありましたように共謀罪を一般的に規定するものはなく,参加罪あるいは結社罪というような罪もないということで,日本にとってはやや新しい規定振りという面があるのかもしれません。先ほどの配布資料にありますように,欧米諸国ではコンスピラシーという形であったり,あるいは結社罪という形であったり,かなり以前からこの条約の義務に対応する規定が設けられている。それは,実際の犯罪の実行が行われる前の共謀であるとか犯罪組織の活動に参加するということ自体を処罰するということが,それぞれの法体系の中に組み込まれていたということです。そのような欧米の考え方,あるいは世界の考え方というものがこの条約に反映したのだろうというふうに考えられるわけで,先ほど○○関係官のお話にもありましたように,そういったグローバリゼーションがこの条約のこの条項に反映したものというふうに考えられるわけです。
そのことは,結局そういった犯罪規定を設けることが,犯罪組織に対抗するために有効だという世界的な認識になっているということであり,当然のことながら日本でも,先ほど御紹介がありましたような国境を越えた犯罪組織の活動に対抗するためにはそれが有効であるのは当然だというふうに思うわけです。犯罪組織が資金を得るために,いろいろな犯罪に関与するということが行われているわけですので,実際にそれが着手される前の段階であっても,構成員からの情報であるとか,あるいはいろいろな捜査の過程でそういった計画が発覚するだとか,そういった端緒を得て,その犯罪組織の活動を摘発していくということは,有効な武器になるものと考えられます。
もちろん,それが具体的にどのぐらいの件数摘発できることになるのかとか,あるいはこの規定がないことによって現在どれだけの犯罪が摘発できないのかといったようなことを数値で御紹介するのは非常に困難ではありますが,日本においても,国際組織犯罪と戦うために当然効果があり,有効な武器になるだろうと言えると思います。
● どういう点に関してでも結構です,どうぞ。
● ちょっと細かなことなのかもしれないのですけれども,要綱(骨子)の共謀罪の刑に禁錮が入っているのですけれども,これは,今,組織的犯罪対策法の中には禁錮の入った条がちょっと見当たらない。あるのかもしれませんけれども。何か御趣旨が……。政治的な組織みたいなことを考えていらっしゃるのか。
● 特に政治的なものを考えているわけではございませんが,今回,4年以上の重大犯罪というものを対象にしてまいりますと,具体的に法律名は今ちょっとあれですけれども,禁錮が定められている罪も多数ございまして,しかも今回,枠組みとしてこういう規範をつくる以上,今後将来的に例えば禁錮の刑が入るものがあり得るわけでありまして,結局条約が言っている4年以上の拘禁刑に該当するものは我が国でいくと懲役・禁錮ということになりますので,そういう枠組みとして法律をつくっていくということと,現に禁錮が定められている罪もある,その両方でございます。一般的な形での犯罪の枠組みをつくる以上,こういう形にごく自然になってくるだろうという理解でございます。
● それは,実行行為に出たときには禁錮が予定されているから,当然それ以前の段階も軽いはずだから,禁錮が入っていないのはおかしいと,そういう趣旨ですか。
● さようでございます。要するに先ほどちょっと説明があったと思いますが,共謀罪に固有の保護法益というようなのは考えておりませんで,共謀の対象となった犯罪の保護法益,つまり犯罪の性質とか保護法益,ずっと共謀まで続いておる,一貫しておるという理解をしますので,共謀の対象となる本体の刑が共謀の方にも原則的に適用されるのではないかと,そういう理解でございます。
● 組織的に行うというのですか,そういうことでいうと,もともとの犯罪の方に禁錮があっても,ちょっと情状として違う感じもしないでもないのですけれども。
● 若干追加しますと,結局日本の場合には拘禁刑と申しますか,自由刑に2種類あると,それを端的に条約に沿う形で規定しているということでございまして,仮に日本が一つの刑であればそれしか書かないと。
今,情状というお話がございましたが,ここではあくまで法定刑を規定しているわけでございますので,恐らく情状は量刑の話ということでまた別個の話になってまいりますので,このような規定振りというのを御提案させていただいているということでございます。
● 第一の一が条約の5条によって要求されているというのはよく分かるのですが,第一の二は,これは組対法の3条2項と横並びで来ていると思うのですけれども,これは極めてローカルなというか,ナショナルな話だと思うのです。これは,条約上の義務なのか,それとも組対法の3条2項があるからこれを入れたのか,実質的にはこちらが主として使われることになるのかという……。
最後の部分はどうでもよろしいですが,ちょっと条約上の義務との関係で理解が不十分なものですから,お教えいただければと思います。
● 条約は共謀については原則として合意だけで成立するとしつつ,それに対して組織的な犯罪集団が関与するということを,国内法の要求があるときには限定を付することができるという枠組みでつくっておるところでございますが,我が国の場合,組織的な犯罪集団が関与している形態というものを組織的犯罪処罰法の加重処罰などの枠組みの中で,団体の活動によりという組織性の形態と,あと不正権益関連という目的の二つの観点から組織的犯罪対策というものを採っているわけでございまして,その条約の組織的犯罪集団の関与を我が国の法制に当てはめるとこういう形になるということですから,これは両方あわせて条約上の要求に応じているものと理解をしているところでございます。
どちらが使われるかというのは今後のことでございますけれども,事例集を見るとこれまでは2項の方が多いことは多いようです。
● 最後に一言という方はいらっしゃいませんか。
別に何時までということではないのでありますので,第1回のことでもあり,今日はこういう形でいろいろ資料とかそういうものが提示されましたので,次回からの御発言をお待ちするということでもよろしいかと思うのでありますが。−−よろしいですか。
それでは,本日の審議はこの程度といたしまして,次回以後の審議について決めたいと存じます。
事務当局の方で,会場の手配等,何か御案内がございましたらよろしくお願いいたします。
● 当面,部会用に会議室が確保できておりますのは,おおむね3週間に1回程度ということで考えてまいりましたが,10月9日水曜日,11月1日金曜日,11月21日木曜日及び12月18日水曜日ということで,本日を含めまして年内に5回というのを一応会議室の用意をしてございます。
場所は,10月9日と11月1日は今日と同じこの第1会議室でありまして,11月21日と12月18日は法曹会館となっております。
● ただいまの点,お聞き漏らしの向きがありましたら繰り返しますけれども。
それでは,特段のお差し支えがないようでありましたならば,第2回目の部会は10月9日水曜日,時間は午後1時30分からおおむね午後4時30分までといたしたいと思います。その後,11月1日,21日,12月18日と,いずれも午後の時間帯ということで一応御予定をノートにしたためていただければ幸いであります。
審議の進行具合を見ながら,5回かからないで終わるか,さらに日程を増やすか考えていきたいと思います。
先日の法制審議会では,法務大臣から,来年の通常国会に関係法案の提出をしたい,こういうごあいさつがありましたので,十分に御議論いただくことは当然でありますけれども,委員・幹事の方々には,議事の進行に御協力いただき,事務当局の方々にも必要な準備を迅速に進めていただき,ただいまのような日程で部会の結論が得られるならば大変幸いであるというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,次回は10月9日,午後1時30分,この会議室で,内容的には要綱(骨子)に即してより具体的に質疑,御討論をお願いしたい考えております。
本日はどうもありがとうございました。
───────────
法制審議会刑事法部会議事録の目次
前の資料へ< >次の資料へ
───────────
|