---- 北の系2005 ----
_
|<5 << 最新 一覧 link >> 5>|
_
愛知県暴走族「追放」条例/プロバイダーの削除努力義務を明記
_
2003.1.12

愛知県「暴走族等の追放の促進に関する条例」の全文を転載し、若干のコメントを加えます。

 

http://www.city.nagoya.jp/03soumu/gyousei/tyoutatu/2002/14tyoutatu07.pdf

暴走族等の追放の促進に関する条例をここに公布する。
平成十四年十二月二十日
愛知県知事神田真秋
愛知県条例第六十号

暴走族等の追放の促進に関する条例

(目的)
第一条 この条例は、暴走族等の追放の促進に関し、県、県民、事業者等の責務を明らかにするとともに、県が実施する施策について必要な事項を定めること等により、県、県民、事業者、市町村等が一体となって暴走族等のいないまちづくりを推進し、もって県民生活の安全と平穏を確保し、及び少年の健全な育成に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 自動車等 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第九号に規定する自動車又は同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。
二 少年 二十歳未満の者をいう。
三 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、少年を現に監護するものをいう。
四 道路 法第二条第一項第一号に規定する道路をいう。
五 暴走行為等 次のいずれかに該当する行為をいう。
イ 法第六十八条の規定に違反する行為又は二台以上の自動車等を連ねて通行させ、若しくは並進させる場合において、法第七条、法第十七条、法第二十二条第一項若しくは法第六十二条の規定に違反する行為
ロ 法第七十一条第五号の三の規定に違反する行為又は法第七十一条の二の規定に違反する行為で著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるもの
ハ 公衆が出入りすることができる公園、駐車場その他の場所(道路を除く。以下「公共の場所」という。)において、正当な理由がないのに、著しく他人に危険を覚えさせるような方法又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で、自動車等を急に発進させ、若しくは急に転回させて走行し、又は自動車等の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させる行為
六 暴走族 暴走行為(前号イに掲げる行為をいう。以下同じ。)を行うことを目的として結成された集団をいう。
七 暴走族等 暴走族及び暴走行為等を行う者をいう。
八 暴走族等の追放 暴走族等による暴走行為等の防止、暴走族への加入の防止、暴走族からの脱退の促進等を図ることにより、暴走族等のいない社会を築くことをいう。

(県の責務)
第三条 県は、暴走族等の追放の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有す る。

(県民の責務)
第四条 県民は、暴走行為等を助長するおそれのある行為を行わないよう努めるとともに、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力する責務を有する。

(保護者の責務)
第五条 保護者は、その監護に係る少年に対し、次に掲げる事項に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
一 暴走族に加入させないこと、及び暴走族に加入していることを知ったときは、当該暴走族から脱退させること。
二 暴走行為等を行わせないこと。
三 暴走行為等に係る自動車等に同乗させないこと。
四 暴走行為等を行う目的での自動車等の購入、改造又は使用をさせないこと。
五 暴走行為等の見物に行かせないこと。

(学校、職場等の関係者の責務)
第六条 学校、職場その他少年の育成に携わる団体の関係者は、相互に連携して、その職務又は活動を通じて、少年の暴走族への加入の防止、暴走族に加入している少年の当該暴走族からの脱退の促進及び少年による暴走行為等の防止に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(自動車等の販売業者等の責務)
第七条 自動車等若しくは自動車等の部品を販売し、又は自動車等を修理することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、法第六十二条若しくは法第七十一条の二の規定に違反することが外観上明らかな自動車等その他の暴走行為等に使用されるおそれのある自動車等の販売又は暴走行為等を助長するおそれのある自動車等(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第三項に規定する原動機付自転車に限る。以下この項において同じ。)の部品の販売若しくは自動車等の改造をすることにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
2 自動車等の燃料を販売することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、次の各号のいずれかに該当することが外観上明らかな自動車等を運転する者に対して燃料を販売することにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
一 法第六十二条又は法第七十一条の二の規定に違反すること。
二 道路運送車両法第十九条又は第七十三条第一項(同法第九十七条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反すること。
三 市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより道路運送車両法第二条第三項に規定する原動機付自転車に取り付けることとされている標識又は当該標識に記載された番号を当該原動機付自転車の後面に見やすいように表示していないこと。
3 衣服、鉢巻き、旗等(以下「衣服等」という。)に刺しゅうし、又は印刷することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、暴走族又は暴走行為に関する文字、図形又は模様(以下「文字等」という。)を衣服等に刺しゅうし、又は印刷することにより暴走行為等を助長することのないよう努めなければならない。
4 特定電気通信設備(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第二条第二号に規定する特定電気通信設備をいう。)を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供することを業とする者は、県が実施する暴走族等の追放の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、当該特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報が記録されたことを知ったときは、当該情報の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(自動車等の運転者の責務)
第八条 自動車等を運転する者は、暴走行為等が行われていることを知ったときは、速やかに、その旨を警察官に通報するよう努めなければならない。

(公共の場所の管理者の責務)
第九条 暴走族等が常習的に集合する公共の場所の管理者は、暴走族等の集合を禁止する旨の掲示をする等暴走族等の集合を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(基本方針)
第十条 知事は、暴走族等の追放の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 暴走族等による暴走行為等の防止に関する基本的な事項
二 暴走族への加入の防止に関する基本的な事項
三 暴走族からの脱退の促進に関する基本的な事項
四 前各号に掲げるもののほか、暴走族等の追放の促進に関する重要事項
3 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
4 前項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(市町村等に対する協力の要請)
第十一条 県は、暴走族等の追放の促進に関する施策を実施するに当たっては、市町村、道路管理者その他関係行政機関(以下「市町村等」という。)に対し、必要な協力を求めるものとする。

(県民の活動等に対する協力)
第十二条 県は、県民及び事業者が行う暴走族等の追放に関する活動並びに市町村等が実施する暴走族等の追放に関する施策の促進に資するため、県民、事業者及び市町村等に対し、必要な情報の提供その他の協力を行うよう努めるものとする。

(暴走行為に関連する行為の禁止)
第十三条 何人も、暴走行為を行うことを目的として、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自動車等を準備して道路又は公共の場所に集合すること。
二 タオル、手ぬぐいその他これらに類する物で顔面の全部又は一部を覆い隠して自動車等に乗車すること。
三 暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を着用して当該文字等が公衆の目に触れるような状態で自動車等に乗車すること。

(公共の場所における自動車等の急発進行為等の禁止)
第十四条 何人も、公共の場所において、正当な理由がないのに、著しく他人に危険を覚えさせるような方法又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で、自動車等を急に発進させ、若しくは急に転回させて走行し、又は自動車等の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させてはならない。
2 何人も、祭礼又は興行その他の娯楽的催物に際し、多数の人が集まっている公共の場所において、暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を当該文字等が公衆の目に触れるような状態で着用し、かつ、円陣を組む等の著しく公衆に迷惑を及ぼすこととなる方法で威勢を示すことにより、公衆に不安を覚えさせてはならない。

(少年に対する暴走族の結成の指導行為等の禁止)
第十五条 何人も、少年に対し、暴走族を結成し、若しくは維持することを指導し、少年が暴走族を結成し、若しくは維持することを援助し、又は少年に対し、暴走族の構成員となることを勧誘し、若しくは強制し、若しくは暴走族から脱退しないことを強制してはならない。
2 何人も、少年に対し、暴走行為を行うことを勧誘し、唆し、若しくは強制し、又は暴走行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益を供与してはならない。
3 何人も、少年が行う暴走行為を容認すること又は少年が行う暴走行為に関連して生じる紛争若しくは生じた紛争の解決若しくは鎮圧を行う役務を提供することの対償として、当該少年に対し、団体若しくは多衆の威力を示して若しくは団体若しくは多衆を仮装して威力を示して金品その他の財産上の利益の供与を要求し、又は当該少年から、正当な権原がないのに金品その他の財産上の利益の供与を受けてはならない。

(罰則)
第十六条 前条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 第十四条第一項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。

附則
この条例は、平成十五年四月一日から施行する。


暴走族追放条例は愛知県だけではなく、他の自治体でも類似の条例が制定され、またはされようとしているようですが、最近制定されたということですのでとりあげます。

以下の考察は、条例の法的問題について検討するためのものであって、道路交通法違反行為を推奨するものでありません。

まず、この条例の特徴をまとめます。

  1. 暴走行為」の定義。
    1. 信号無視、逆送、スピード違反、整備不良の車が、「二台以上の自動車等を連ねて通行させ、若しくは並進させる場合」
    2. 騒音を伴うマフラー改造走行
    3. 公衆がいる道路以外の場所での急発進、急転回、エンジンふかし
  2. 二台以上で信号無視、逆送、スピード違反、整備不良を行う事を目的として結成された集団を、「暴走族」と定義する。
  3. 暴走族に属していなくても、「暴走行為」をすれば暴走族と同じ扱いを受ける。
  4. 県民には、暴走行為等を「助長するおそれのある行為」を行わない義務がある。
  5. 親は子に「暴走行為」を制止し、見物を制止する義務がある
  6. ガソリンスタンドは、ナンバープレートが「外観上明らか」に見えにくくしている者にガソリンを売らない義務がある。
  7. 業者は、「暴走族又は暴走行為に関する文字、図形又は模様」を衣服や旗等に刺しゅうまたは印刷しない義務がある。
  8. プロバイダーは、「暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報」の送信を「防止するため必要な措置」を講ずる義務がある。
  9. 一般の自動車運転者は、「暴走行為」を警察に通報する義務がある。
  10. 「何人も」「自動車等を準備して道路又は公共の場所に集合」してはならない。
  11. 「何人も」「タオル、手ぬぐいその他これらに類する物で顔面の全部又は一部を覆い隠して自動車等に乗車」してはならない。
  12. 「何人も」「暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を着用して当該文字等が公衆の目に触れるような状態で自動車等に乗車」してはならない。
  13. 「何人も」お祭りの時に公共の場で「暴走族又は暴走行為に関する文字等を表示した衣服を当該文字等が公衆の目に触れるような状態で着用し」してはならない
  14. 「何人も」お祭りの時に公共の場で「円陣を組む等の著しく公衆に迷惑を及ぼすこととなる方法で威勢を示」してはならない
  15. 少年に対し、暴走族を結成し、維持することを指導し、暴走族の結成や維持を援助し、暴走族の構成員となることを勧誘若しくは強制し、暴走族から脱退しないことを強制する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金。
  16. 少年に対し、暴走行為を勧誘し、唆し、強制し、又は暴走行為を行わせる目的で利益供与を行った者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金。
  17. 少年の暴走行為のトラブル解決の対償として、当該少年に対し、大勢で、あるいは仮装して威力を示して利益供与を要求し、又は当該少年から正当な権原がなく利益供与を受けた者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金。
  18. 少年の暴走行為のトラブル解決の対償として、当該少年に対し、大勢で、あるいは仮装して威力を示して利益供与を要求し、又は当該少年から正当な権原がなく利益供与を受けた者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金。
  19. 公共の場所で、「著しく他人に危険を覚えさせるような方法又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法」で急発信、急転回、エンジンふかしをした者は、五万円以下の罰金(刑事罰)。

条例の問題点を挙げます。

1 罰することと学ばせることは背反する

「交通安全の徹底」と「少年の健全育成」という目的は、それぞれ別目的として区別するべきで、交通安全の徹底と少年の健全育成をひとつの想定法益と考え、一つの条例で実現することは、不合理です。なぜなら、罰で排除することと交通安全を学ばせることは異なるからです。

暴走族という集団を罰を与えて社会から排除すれば、暴走族は消えて無くなるかと言うと、そうではありません。

たとえば、数学の学力が低い子どもに、「出来が悪い子どもは追放だ」と言って尻をムチで叩き、教室から出ていかせたら、その子どもの数学の学力は高くなるでしょうか? なりません。むしろますます数学嫌いになっていくことでしょう。

暴走族を罰によって社会から排除するということも、それと同じでしょう。

暴走族追放条例は、「青少年の健全育成」という美名のもと、社会から暴走族を排除することの無意味さを覆い隠す効果があります。追放と学習という矛盾する目的を、同時にひとつの制度で実現させることはできません。

たとえば、「夜露死苦」とか「猛忍愚娘」とか「死汚自慰」という漢字言葉を、まだ暴走族が使っているのかどうか私は知りませんが、漢字がずらずら並んだ服を着ているのを少年が見ただけで、その少年が暴走行為に加わって少年が事故死するという連想は、あまりにも短絡的な連想で、科学的根拠がありません。

漢字の刺繍がある衣服の目撃が、暴走行為の行動動機を発生させる原因となることを証明する科学的根拠は、存在しません。もしそういう科学的調査があれば教えてください。

自治体がなすべきことは、暴走族を「追放」することではなく、受け入れた上で責任を学ばせることです。
暴走族「追放」条例ではなく、「交通安全学習条例」にするべきです。

2 動機の解決になっていない

「なぜ彼らが暴走行為に魅力を感じているのか」という「暴走行為」の動機についての検討が、条例制定の前提として行われていないことに疑問を感じます。

暴走族の暴走行為の動機についてきちんと考えもしないこの条例提案者や制定者たちに、問題があるように思えてなりません。ある種の悪循環を、この条例制定者たちも拡大させているように思われます。

自己の規律の動機は、自由が与えられ責任を自覚することによって生まれます。自由が与えられているから、その自由を行使するという結果について責任をとらなければならないという規範意識が生まれます。

ですから、少年に自由が与えられず、いつも他者が少年の行動を監視し、他者が少年の自由を他律的に規律する秩序や環境の中では、少年の心の中に責任の自覚は生まれませんし、規範意識は育ちません。

少年の規範意識を育てたいなら、まず少年に自由を与え、その自由によって発生した結果の責任をとらせ、あるいは良い行動に評価を与えることが必要です。

3 暴走族に社会の一員として自由を与え、社会に参加させよ

そもそも、暴走族と呼ばれている少年たちは、社会の中でどれだけ“自由”が与えられているでしょうか? 自由が無いから、暴走などという仮想の自由を楽しもうとしているという一面もあるのではないでしょうか。

条例では、お祭りの時に「円陣を組む」ことが禁じています。そのお祭りのイベントの企画や実施に、少年たちにどれほど参加が認められ、運営の権限が与えられ、少年のアイディアや自主性が尊重され、少年たちが評価されているでしょう?

少年たちに自由と責任を与え、自立を促し、暴走少年の“秩序への不参加”の動機を解決するということは、そういうことだと思います。

4 重罰化は無意味

通常のスピード違反では、違反の程度にもよりますが、減点と数千円の罰金という行政罰だけで済みます。しかし、暴走族に対してだけ、そうした行政罰とは別に、エンジンをふかしただけで最高5万円の刑事罰が課せられます。

つまり、条例は道路交通法違反の重罰化の側面を持ちます。

しかし、条例による重罰化が、暴走行為を抑止するとは思えません。暴走族は、単に大きな音やスピードが好きなのではなくて、その行為がルールに違反していると思っているからこそ、「暴走行為」を行うのです。

単にスピードを楽しみたいなら信号機の無い高速道路を走ればいいでしょうが、信号が無い高速道路で高速で走ることは、ルールを破るという意味での「暴走」ではないので、暴走族にとっては意味がありません。たとえ時速15キロの低速度でも、その道路が最高時速10キロ制限で5キロオーバーでルールを破っているのなら、彼ら暴走族にとっては「暴走」なのです。

ですから重罰化によって、暴走族の「暴走行為」は、むしろ刺激され、「暴走行為」…しかも限りなく自傷自殺に近い形での暴走…が増える可能性すらあります。

5 根本原因=捜査能力の低下に対してこそ実行性ある対策が必要

まず、道路交通法違反者にきちんと対処するということが、なによりも重要です。

条例で「暴走行為」と定義されている多くの行為は、スピード違反などの道路交通法違反が前提となっています。ということは、道路交通法違反者をきちんと現認してきちんと違反キップを切るなり免許を停止させるなどをしていれば、「暴走行為」は無くなります。

道路交通法違反者を逮捕せずに、エンジンふかしとかの周辺的なことで追放条例を適用して逮捕しても、根本的な解決にはなりません。なぜなら、道路交通法違反者にきちんと対処していないという事実こそが、彼らの「暴走行為」を増長させている一因となっているからです。

でも実際にはどうかというと、暴走族を検挙できないケースは多々ありますし、検挙しても検挙した相手の立場によって不問にするというような検挙差別も行われているという情報もあるようです。

道路交通法違反だけではなく、警察行政全般を見ても、検挙率は10%台で、認知犯罪の8割は完全犯罪で「やったもの勝ち」状態ですし、警察行政の腐敗も数多く指摘されています。

よく考えてみてください。実績も無く倫理観の乏しい警察や社会から、「ルールを守れ」と言われて素直に「ハイ」と言えますか? 暴走少年にルールを守らせたいなら、まず取り締まる側、社会自身が、その構成員に公平平等にきっちりルールを適用し、「結果平等を実現し、社会正義を確立すること」が重要です。

たとえば、検挙率改善のために、警察はどれだけ努力しているのでしょうか。 神奈川県警の県警本部長を含めた組織的な警察行政の腐敗がクローズアップされたことがありました。その時、各自治体警察行政にも多かれ少なかれ同様の問題があると指摘されていました。このような警察行政の問題は、どれだけ克服されたのでしょうか?

自治体や警察行政自らの改革、改善、検挙率の向上という、目に見える「結果」を出さない限り、表層的なトラブルで暴走族を排除したり一方的に倫理観を求めてもムダです。

6 憲法の31条違反の可能性

憲法第31条にはこうあります。

憲法第三十一条 何人も、法律の定める手続きによらねば、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない


ここでいう「法律」は国会で作られる法制度で、条例が罰則を設ける場合は「法律の授権が相当程度に具体的であり、限定されている」(最大判昭37.5.30刑集16-5-577)ことが必要とされています。つまり、条例でも、いわゆる罪刑法定主義は適用されるわけです。

ところで、罪刑法定主義の前提要素のひとつとして、構成要件明確性の原則というのがあります。構成要件明確性の原則とは、刑罰が想定する犯罪行為の構成要件が明確に定められていて、誰が読んでも解釈に争いが生じないように作られるべきという原則です。

条例第7条3と第13条第三項には、「暴走族又は暴走行為に関する文字等」という文言があります。「暴走族又は暴走行為に関する文字等」とは具体的に何でしょうか?この条例が想定する言論表現活動は、非常に抽象的で明確性がありません。

たとえば、暴走族の旗を規制する場合、最初は「ナントカ暴走族」という旗を規制したとします。すると、暴走族は「ナントカ暴走族」をという文字を使わずに 「猛忍愚娘命」というような表現で旗を掲げてバイクのエンジンをふかしながら走るかもしれません。その時、警察は、「暴走族又は暴走行為に関する文字等」を広く解釈して「猛忍愚娘命」も取り締まる可能性があります。

そうやって暴走族と警察が「条例解釈の拡大」で競争しあっているうちに、しまいには、条例よりも条例を適用する警察官の判断が重要だということになり、最後には、「警察官の判断が法律」のような状態になります。

こうした問題は、条例第七条4で規程される、プロバイダーによる通信検閲処分についても、同様なことが言えます。

条例第七条4には、「暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報」の送信を「防止するため必要な措置」という文言があります。「必要な措置」とは具体的にはどのような処分なのでしょうか? ファイルのパーミッション変更でしょうか? それともファイルの削除でしょうか? それともアカウントの一時的停止でしょうか? それともアカウントの永久的停止&再契約の永久排除でしょうか? それとも電話コードの物理的強制切断でしょうか? パソコンの物理的破壊ですか?

言論表現活動を規制対象とすること自体が例外無く問題だと私は考えますが、百歩譲って言論表現活動を規制できる例外がある場合でも、条例の規制内容規範は抽象性で、憲法秩序上認めら得る限界を超えています。

アメリカ合衆国では、「不明確による無効」の理論が判例となっており、抽象的な規程で言論表現の自由を制限しかねないような制度は違憲であるとの判決がいくつも出されています。

たとえば、1931年のストロンバーグ事件合衆国最高裁判決では、「合法的に組織された統治機構に反対する印章・シンボル・徽章を、アナーキズム的行動を慫慂(しょうよう)または刺激するものとして、もしくは重罪として処罰される治安妨害行為のプロパガンダに用いるものとして」公然表示した行為を罰したカルフォルニア刑法典の「赤旗条項」は、「漠然かつ不明確」であり適正手続条項に違反しているという理由から、違憲と判断しています。(奥平康弘先生の『「表現の自由」を求めて-アメリカにおける権利獲得の軌跡』岩波書店参照)

どんなに目的が正しくても、憲法の適正手続条項(デュー・プロセス)や罪刑法定主義に反するような内容を持つ制度は、欠陥条例であり、違憲です。

7 将来犯罪の処罰は違憲

条例第七条4は、プロバイダー等に対し、「暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報」の送信を「防止するため必要な措置」を講ずる努力義務を課しています。

たとえば、ネットの掲示板に、管理人の知らない間に「暴走したい奴は×月×日×時に××に集合してくれ」と誰かが匿名で書いたとします。

よく考えてください。呼びかけ文を書いた時点では、誰も「暴走行為」は実行していません。「暴走行為」を呼びかけても、「暴走行為」をしなければ、その人には何の罪もありません。呼びかけた情報を読んだ人がいたとしても、「暴走行為」に参加しなければ、その人には何の罪もありません。

このような犯罪のことを、「将来犯罪」と呼びます。人間のすることですから、予告しても実際に犯罪が実行されないということはあり得ます。

、「将来犯罪」は、人の自由意思により中止され得る行為予測であり、「犯罪行為」ではなく「情報」にすぎません。

現在、、「将来犯罪」の実行に関する情報を公然掲示する行為を犯罪として罰する法律は、ひとつしか存在しません。それは破防法(破壊活動防止法)の、「外患誘致・内乱主張情報頒布罪」と「外患誘致・内乱主張情報公然掲示罪」です。

 

破壊活動防止法

第三八条 2 左の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役又は禁こに処する。
二 刑法第七十八条、第八十一条又は第八十二条の罪を実行させる目的をもつて、その実行の正当性又は必要性を主張した文書又は図画を印刷し、頒布し、又は公然掲示した者


国家的危険を与える可能性がある内乱や外患誘致の公然主張と車二台でエンジンふかしているだけの行為を条例で同列に扱うことは、常識的に考えても、理に適いません。

破壊活動防止法自体、違憲の疑いが濃厚な法律で、適用例はほとんどなく、あの地下鉄サリン事件のオウム真理教でさえ団体適用がされませんでした。破防法を運用する当事者が破防法を適用することがためらわれるほど、破防法という法律の持つ罰則には、憲法人権規程の違反の疑いが濃いのです。だからこそ、破防法にはこのような規程があるのでしょう。
 

破壊活動防止法

第二条 この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであって、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあつてはならない」


条例のやろうとしていることは、まさに「いやしくもこれを拡張して解釈するようなこと」と同じではないでしょうか。

9 想定法益が薄弱・不合理

刑罰には、個人や社会に対する具体的な法益侵害が存在するという前提があります。

では、将来犯罪には、個人や社会に対する具体的な法益侵害が存在するでしょうか?

たとえば、条例で集会情報を公然表示することの具体的な法益侵害とは何でしょう?

集会情報を公然表示しただけでは、誰にも迷惑はかけていません。パソコンのモニターに暴走族情報が表示されたとしても、それだけで誰かが怪我をすることは絶対にありません。モニターからは車の爆音は出てこないのです。

情報通りに実行する意思があったとしても、警察が道路交通法違反を現認して取り締まればいいだけのことです。

結局、求められる想定法益は道路交通法だけに収斂されるのであって、条例の想定法益は薄弱で、不合理です。

10 送信防止の前提として、対抗言論による説得可能性を確保・優先するべき

たとえば、前述した、電子掲示板に「暴走したい奴は×月×日×時に××に集合してくれ」と書かれた場合を考えてください。

条例第七条4は、プロバイダー等に対し、「暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報」の送信を「防止するため必要な措置」を講ずる努力義務を課していますが、その前になすべきこと、なし得る対策がたくさんあるのではないでしょうか?

たとえば、「暴走行為に参加することを呼び掛けるための情報」に対して、そのような情報に接した人が、「そのような行為は道路交通法違反です」とか、「誰かを危険にまきこむかもしれません。あなた自身の身体も危険にさらされることになりますよ」とか「あなたはよくてもあなたにとって大事な人が悲しむかもしれませんよ」などと、対抗言論によって「説得」することが可能ですし、そのような言論活動によって規範意識は芽生えさせることができるでしょう。

なぜそういう説得を、削除するより先にやらないのでしょうか? 

対抗言論による説得をしないで、いきなり削除したり、アクセス不能にしたり、アカウントを停止する処分は、まず先んじてなすべき「第三の選択肢」を無視した「処罰先にありき」式の発想ではないでしょうか。

このような「処罰先にありき」式の発想での暴走族対策は、暴走族を挑発するだけで、暴走行為を抑制する効果としては逆効果でしょう。

以上、条例の問題点についての私見でした。

昨年のクリスマスの日、条例をつくることが暴走族対策にはなり得ないこと示す報道がありました。

以下、引用します。

 
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn02122531.html

暴走族、政治結社の設立届を広島県に提出 '02/12/25

 広島県警が広島市暴走族追放条例違反の疑いで「面倒見」や暴走族メンバーを逮捕した違法集会事件の後、市内の暴走族が政治結社の設立届を県に提出し、結社名で集会を開こうとしていたことが二十四日、分かった。県警は、条例の適用を逃れるため政治結社を設立した疑いもあるとみて、警戒を強めている。

 県警暴走族・少年犯罪対策課の調べや関係者によると、中区を拠点にしている暴走族グループが九日、グループ名と同じ団体名で県選管に設立届を出した。

 グループの少年たち約十人が十四日夜、中区のアリスガーデンに特攻服を着て集合した際、市職員や捜査員が条例に基づいて指導すると「暴走族ではなく、政治結社の集会だ」と反論。市職員らが「それでも条例違反に当たる」などと説明したため、その場から立ち去った。

 設立にかかわった関係者は「条例の一方的な制定に危機感を持ち、自分たちの意見を主張するために設立した。(十四日は)市の許可を得ていなかったので、集会をやめた。条例に基づく逮捕や起訴は見せしめ的でおかしい」と話している。

 これに対し、市経済振興課は「たとえ政治結社として許可申請が出されても、広場の設置目的に反する集会は条例で認められない」と指摘する。

 暴走族・少年犯罪対策課も「政治団体の届けをしていようと、実態で判断する。特攻服を着て集会を開けば暴走族とみなし、条例に基づいて厳しい態度で臨む」と強く警告している。

 条例が初適用された違法集会事件は十一月二十三日夜発生。広島中央署は面倒見の長田竜介被告(22)と暴走族少年二人を現行犯逮捕。広島地検は長田被告を条例違反罪で起訴した。集会後も、中央署は任意出頭に応じない少年三人を逮捕した。


「特攻服を着て集会を開けば暴走族とみなす」って、特攻服を着たり着せたことのある大日本帝国軍人に対する冒涜、強いては畏くも天皇陛下に対する冒涜でしょう。愛国心あふれる右翼の方は、街宣車を繰り出して愛知県警暴走族・少年犯罪対策課に抗議するべきです。

というのは冗談としても(笑)、これらの現象は、排除や処罰による対策が効果をあげていないことの証左ではあろうと思います。

■関連記事
飯田市珍走族歓声禁止条例
姫路市議会/期待族処罰条例成立

■関連リンク
・メールマガジン「 珍走団とお呼び!!」 (呼称運動)
http://www26.freeweb.ne.jp/motor/chinsou/index.htm

_
(キタノ)
ki@tree.odn.ne.jp
http://zirr.infoseek.ne.jp/
*
---- 北の系2005 ----

[PR]当たる!無料占いで運命鑑定:プロの占い師による本格運命鑑定が無料で