なぜなら、成人式の企画に新成人が参加した自治体では混乱は発生しませんでしたが、旧成人が一方的に式典を押し付けていた自治体では混乱が発生しました。つまり、成人式を主催した旧成人側に問題があったわけで、青少年問題が深刻化しているわけではありません。
ろれつが回らないガラガラ声の原因が土建業者ややくざの接待づけによるものかどうかはともかく(笑)、聞くに値するスピーチかどうかを検証すべきだというのはご尤もです。
そういう旧成人側の問題は検証したくない、できないという怠惰だけが「成人式問題」にはあるのだと思います。
次に、青少年の凶悪化説ですが、まず事実確認をしておきます。
警察庁の「平成13年度中における少年の補導及び保護の概況」より「凶悪犯罪種別検挙人員の推移」を抜粋引用
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen5/shounen20020601.pdf (注意!15メガバイト!)
「少年の凶悪犯罪が増えている!」と言っているオヤジ世代が少年の頃だった昭和35年次の統計と平成12年次を比較すると、凶悪犯罪検挙人員合計の少年構成比は、昭和35年次が43.0%。平成12年次は28.3%。凶悪犯罪は三分の二に減少してます。
こういう時こそ、滅多に使わないフォントいじりの出番です。
オヤジ、おまえの方が凶悪なんだよ!(`Д´)凸
しかも、「凶悪犯」(殺人強盗放火強姦)のひとつである強姦検挙人員の少年構成比は 52.4%から19.9%に激減しています。
石原都知事が都議会で「昨今の青少年を取り巻く有害情報のはんらんは度を超えておりま」すと指摘してましたが、"昨今の性凶悪犯罪"は、過去最低ペース&減少傾向を堅持しているわけです。
昨今の青少年を取り巻く有害情報のはんらんは、性凶悪犯罪の激減と密接な因果関係がある、と統計結果から推測できるかもしれません。(笑)
ビバ、有害情報!(´∀`)
ただ、統計の読み方として、比較年次をいつの時点にするかの判断によっては、少年の凶悪犯は増えているという認識を示すことも可能だと思います。たとえば、殺人犯検挙人員についてだけ昭和55年次を基点として少年構成比を比較すると、2.9%から7.4%へと倍増しているのは事実で、そういう意味に限定する場合なら「少年の凶悪犯は増えている」と言うことができます。強盗も倍増とまではいかないですが、増えているのは事実です。(強盗の増加は危険域に近づいており、この部分については行政の対応が必要だと私は思います。)
つまり、、「20年前と比較すると殺人や強盗に限っては」という前提条件をつけた統計分析ならば、「少年凶悪犯罪は増えている」という言い方は正しいわけで、逆に言えば、そういう前提をつけずに、あたかも過去最悪の状態になっているかのような印象を与えるような形で「少年犯罪は増えている」と言う場合は、ミスリードであり、間違いということになります。
要するに、「少年凶悪犯罪の激増」なる主張は、「統計年次のトリック」です。
「統計年次のトリック」を使っている人の、統計情報分析の恣意性、ミスリードをこそ批判すべきであって、有害情報うんぬんという話は筋違いです。
情報を独占している官僚たちが世論を動かすためによく使う統計操作を、佐藤裕彦都議などの少年凶悪化説を主張している人たちも使ってミスリードしている、ということではないかと思われます。ある意味、政官癒着ですね。
もし「統計分析はミスリードではない」と主張をするのであれば、統計分析をする際に、比較基点を20年前に設定する必然性を、合理的に説明する必要があります。
しかし、そのような合理的な説明は、佐藤裕彦都議(自民党)からはありませんでしたし、石原都知事からもありませんでした。
たしかに、犯罪はできるだけ少ないほうが良いですから、できるだけ犯罪を少なくするための努力が必要だという根拠として、発生最小時と比較することは、理屈として正しいでしょう。
しかし、それならば、犯罪発生最小時の時点では、なにが良くてなにが悪いのかという、社会的、制度的な分析があってしかるべきであって、そのような分析なしに、単純に「その当時の状況に戻せ」という理屈で比較基点を20年前に設定して判断するのであれば、「出版流通規制をその当時に状態に戻せ、出版を自由にしろ!」と主張するのが論理的です。
ところが、石原都知事も佐藤裕彦都議(自民党)も、出版流通規制はこのまま強化しろと、正反対の主張を展開しています。
まさに、論理矛盾です。
青少年による凶悪な事件は増えていなくても、「凶悪な事件は増えている」というような“報道だけが増えている”という意味ならば、佐藤裕彦都議の認識は正しいかもしれません。
次に、佐藤裕彦都議の認識には、暴力的なメディアが青少年を暴力的にするというような強力効果論が前提となっているように思われますが、強力効果論を科学的に立証した研究は、存在しません。
現在では科学的に立証不能と認知されている説であり、中世において伝統的教義から逸脱しているとみなされた魔女が疫病の原因となっていると信じられていた迷信と同様です。
魔女狩りで魔女をつかまえて裁判にかけ、魔女を何百人と火あぶりで焼き殺しても、疫病が消えて無くなるわけではないのと同じことです。その説が多くの人に信じられているのは事実だとしても、だからといってそれが真理だということにはなりません。同様に、メディアの暴力情報の接触を遮断すれば少年の凶悪犯罪(という見方にも問題がありますが…)が減少する、という説も誤りです。
区分陳列をしたことで青少年が「健全化」したという効果を立証する分析は、存在しません。「ケガしたらつばをつけろ」「いわしの頭を窓に吊るせ」というような次元です。
しかし、区分陳列どころか、青少年健全育成条例そのものが存在しない長野県では、条例が存在する都道府県よりも凶悪犯罪少年の発生率が低く、「健全化」しているという事実を示す統計は存在します。(後述)
次に、石原慎太郎都知事と高橋信行生活文化局長の認識をまとめます。
1 有害情報は青少年の人間性を損う
2 条例による規制の強化は必要
3 情報に対する青少年自身の主体性、自律性を高めていくことも大切
4 自殺や犯罪の手段、方法等を詳述した図書は青少年に影響を与え、自殺や犯罪を著しく誘発する
5 流通規制は、自殺や犯罪はいけないというメッセージを伝える効果がある
6 区分陳列は、青少年が不健全な図書類に接しないようにするために大変有効な手段
佐藤裕彦都議の認識と重なる部分は割愛します。
自殺と情報の関係ですが、自殺するような人が自殺情報を求める傾向があるということは言えるかもしれませんので、自殺情報を求める人すべてが自殺する傾向があるとは限りません。原因と結果が逆の場合もあります。
「流通規制は自殺や犯罪はいけないというメッセージを伝える効果がある」って、なに言ってるんでしょうか?
東京都はメディアによる情報流通を青少年保護育成条例で規制して、メッセージの流通を制限しているのに、どうして「自殺はいけない」というメッセージだけが伝わるんでしょうか。「自殺はいけない」というメッセージの電波が頭の中に直接届くんですか。
「有害情報」とされている本の中に自殺は良いというメッセージを含んでいるという認識自体疑わしいですが、そのような本の流通を制限した上で、どうやって「自殺は良い」という主張を批判できるのでしょうか。相手の言論を封じて単に自分の主張を宣伝しているだけではありませんか。それは形を変えた「プロパガンダ」ではありませんか。
ファシズム政権下で行われた「プロパガンダ」が「メッセージを伝える効果」があり、そのような効果を肯定する前提で「流通規制は、自殺や犯罪はいけないというメッセージを伝える効果がある」と言っているのなら、石原都知事の主張は正しいと思います。
もちろん、そんな前提での主張は、民主主義体制を前提につくられているこの日本では、私はナンセンスだと思いますが。
「有害情報は青少年の人間性を損う」という珍説は、強力効果論でさえなく、科学的根拠の無い単なる妄想です。
もし、条例を制定するだけで青少年を「健全化」するのであれば、いくらでも条例を作ればよいでしょうが、条例を作ったことによって条例をつくらなかった自治体よりも青少年が「健全化」したというような統計や報告は、存在しません。あったら教えてください。
条例を作ることに熱心ならば、条例を作ったことによって健全化したという効果を、科学的、統計的に、県民にわかるよう客観的な事実を示して説明するべきです。
なぜ、石原慎太郎都知事は、条例を作ったことによって健全化したという効果をきちんと説明しないのでしょう? 説明できないから、したくないから、すると都合が悪いから、説明しないのではありませんか?
では、私が、条例を制定すれば青少年が「健全化」するという説明に根拠が無いことを、統計的事実を示して説明しましょう。
前掲「平成13年度中における少年の補導及び保護の概況」より「都道府県別触法少年(刑法)行為態様別補導人員」を抜粋引用
この表をよく見て、比較してください。
青少年健全育成条例が存在しない長野県では、凶悪犯少年は一人もいません。
青少年健全育成条例で出版流通規制を実施している東京都では、凶悪犯は殺人一名を含め、7人います。
青少年健全育成条例で東京都よりも出版流通規制が強く、図書館の情報入手さえフィルタリング制限を強制する条例を制定しようとしている大阪府では、殺人5名を含め、凶悪犯少年は19人います。
有害図書指定に包括指定制度を採用し、小学校で「愛国心通知表」の導入が採用された福岡県では、殺人1名、強盗4名を含め、凶悪犯少年は11名います。
年度によって若干の差はありますが、傾向としては基本的な比較差は無いと言えます。
結論を、フォントいじりで書いてよかですか?
条例作って規制している自治体の方が凶悪少年が多いんだよ!(`Д´)凸
と、いうわけでございます、はい。
以上、自由民主党佐藤裕彦都議と石原都知事の青少年政策を検証した通り、青少年健全育成条例の情報流通規制には、合理的根拠が無く、「青少年問題」と言われている現象の対策としても、抜本的解決策とはなり得ないと考えざるを得ません。
東京都議会は、2001年、青少年健全育成の強化のため
・自殺や犯罪を不健全図書類の指定事由に追加
・書店やコンビニエンスストアなどに対する区分陳列規制
(自主規制から強制的規制への転換)
・自動販売機の設置の際の届け出制の導入
といった規制制度を含む条例改正案を可決しました。
この2001年の条例改正では、自由民主党、共産党、公明党、民主党その他の多数議員が一致して賛成しました。都議会で条例改正案に反対の意思表示を示した議員は、福士敬子都議(自治市民)ただ一人だけでした。(そういう意味では、佐藤裕彦都議だけを責めることはできません)
このような"異常な"都議会の政治状況をもたらした責任は、もちろん都議自身に一義的な責任があるわけですが、都議を選出した東京都の有権者の責任もまた、大きいと指摘せざるを得ません。
■関連記事
資料/メディア規制に言及する長野県田中知事
長野市の有害図書規制その後
長野市議会有害図書包括指定条例を可決
情報公開資料:健全育成
都/青少年メディア環境調査報告書
都/不健全指定
都/1月の不健全図書指定
都世論調査/都民はメディア規制を求めていない
都/不健全指定
■関連リンク
・東京都議会
http://www2.gikai.metro.tokyo.jp/
・東京都の青少年健全育成政策
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9.htm
・佐藤裕彦都議会議員(自由民主党)
http://www.h-sato.com/
■参考リンク
・都議会議員・福士敬子(自治市民'93)のホームページ
http://www.asahi-net.or.jp/~pq2y-fks/
議会の報告2001悪いとこ隠しの三会計統合、青少年健全育成条例の害ある「改正」
http://www.asahi-net.or.jp/~pq2y-fks/0101.html
・REVOLVER JUNKIES 〜メディア規制をブッ壊す会〜
http://www.fortunecity.com/skyscraper/pentium/1983/index.htm
http://www.fortunecity.com/skyscraper/pentium/1983/news.htm
・追い出せ! 強のトリ (石原と知事暴言集)
http://comcom.jca.apc.org/gounotori/