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資料/メディア規制に言及する長野県田中知事
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2002.12.20

長野県田中知事の会見記録より、メディア規制や有害図書規制について直接的に言及した部分を、資料として抜粋転載します。

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知事会見 平成14年3月22日(金) 県庁5F「仮設表現道場」
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20020322n.htm

信濃毎日新聞社 高森和郎氏

もう一点なんですが、先ほど議長の就任の会見がありまして、その中で青少年健全育成条例について長野県だけが制定してないわけなんですが、知事なり県側がその制定しない考え方だというふうに承知してるので、議員立法でですね制定することを考えたいと、そういう趣旨のお話しがあったんですけれども、この問題というか青少年健全育成条例についてですね、有害図書の指定とかそういう問題もあるかと思うんですが、知事、改めてご見解ですね。どういうふうに考えておられるか伺えればと思います。

長野県知事 田中康夫

私どもはまさにこれは、あるいは数少ない県政の継続事項だというふうに逆にご指弾なさる向きもあるかもしれませんが、そうした条例化というものは私の前任者の時代、あるいはその前の前任者の時代から含めてですね今後も考えておりません。

これはなぜかということは、ご存じのように今個人情報保護法という名称のものと、人権擁護法という名称のものと、青少年有害社会環境対策基本法という名の三つの法案が国の段階においてですねメディア規制三法案と呼ばれてるものでございますが、これが国会において審議されようとしてるわけでございますね。

この名称というのは大変この個人情報保護法とか人権擁護法と、あるいは青少年とか社会環境という言葉が入ってるわけでございますが、これはまさに羊頭狗肉(ようとうくにく:見かけが立派で実質がこれに伴わないこと)なですね、羊頭狗肉ならよいわけでございまして、羊頭なんなんでしょうね、本当にまじめに畜産とかを行ってる方からしたら許しがたいような羊頭、頭と中身が違う法律であると思っております。

これどういうことかっていうと、私たちの社会はまさに一人ひとりが自立していく、自己判断をですね行える社会を目指していかねばならないわけでございます。

自己判断ができないまだ未熟であるという方がいらっしゃるならば、その方をですね一方的に規制をしたりするという形でなく、その方の自立を促すような私たちは行政というものは手だてをですね人的においても法的においても行わなければいけないということです。

これは青少年の問題に限らないわけですね。

ところが今行われようとしてる法律は何かというと、今申し上げました一人ひとりが自立して判断できるようになる社会というのは、いわゆる官、官僚の官ですね、官の増大化、肥大化というものを防いでいくということなわけでございますね。

にもかかわらず、例えば今度の青少年有害社会環境対策基本法案って長い話しでございますけど、これは各業界ごとに対策協会の設立を求めて認定個人情報保護団体とか対策協会とか、結果的にこれは役人の天下り機関になるわけでございますし、こういう名前というのはともすればですね、まさに大政翼賛会的なですね個々の自立を促すんじゃなくて、個々を鋳型の中に納めていくと。個人情報保護でも人権擁護でもないわけでございます。

この個人情報保護、人権擁護というようなものはですね、まさに逆に政治家であったり役人であったりの都合の悪いことを書かせないように皆さんが報じないように、語れないようにするということです。

これは非常に由々しいジョージ・ヨーエルも驚くような社会にするために羊頭狗肉のこの法案名がついてるというふうに私は思っております。

そして私は今まで公人というもの、まあかつて私が敬愛してました筑紫哲也氏は公人は政治家と官僚だけだと言いましたけど、そうではないということを私は昔から写真雑誌ができた時から終始一貫申し上げてきております。

反論する場が確保されてる方はある意味では公人であります。それを私は一つの尺度として同年代の方よりも例えば社会的な物質的な収入であったり、あるいは発言する場が確保されてる方。タレントの方もあるいは物書きの方もキャスターの方もジャーナリストの方も、ある意味では公人です。なぜならば自分が書いたりしゃべったり、あるいは会見を開いてそれを訴える場というものが比較容易に設けられる人。これは広い意味での私は公人であるというふうに思っております。

そうではなくて、まさに一意の姿勢の人たちの小さな過ちを一方的に書き反論する場がないというような形は、これはまさに私は回避するようにしなくちゃいけないと思ってます。

ある意味で言えば、長野県が昨年5月に出した「『脱・記者クラブ』宣言」の理念というものは、その後新聞協会の方々も表現という場の解放性、また新聞労連の方もその主催権ということも含めてですね、その開かれた形ということをおっしゃってるわけでして、これはつまり労組もそういう経営者も今変わりつつある中、政官のみがまさに都合の悪いことは隠そうとするという、情報公開や説明責任という言葉を掲げる政治や役人の世界が逆のことをこの三つの条例においてですね、あたかも市民を保護するかのごとき装いをして行おうとしてると。これは非常に大きな問題です。

ですから、長野県も青少年に関してというのは、これはやはり長野県の素晴らしさは、法律によってではなく一人ひとりが、一人ひとりの市民がまさに共同参画という言葉がある前から、青少年のあるべき望ましき人間としての成長というものを市民一人ひとりの共同参画によってですね育もうということできてるわけでございまして、これこそはまさに21世紀のですね一番先に進んだ形であります。

それを、全国の都道府県の中で唯一条例がないからということのみをもって条例を先に設けるということによって、青少年がかぎ括弧付き健全化かぎ括弧閉じ、するという考え方には私は与(くみ)することはこれはできません。

幸いにして多くの新聞社のみならず雑誌社やテレビ局もこのメディア規制三法案というものには懸念を表明されておりますけれども、やはりそれをより懸念を表明されてるこの内容というものをですね具体的により一人ひとりの市民の方に、私もまた皆さんもまたことあるごとにお伝えしてくことによってですね、こうしたまさに公権力というものの増長に歯止めを掛けるために本来個人情報保護であったり人権擁護ということが考えられるべきなのに、全くそれとは逆の方向に進む法案であるということの愚かさをですね伝え続けるべきだと思ってます。


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知事会見 平成14年4月9日(火)県庁5F「表現センター」

http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20020409n.htm

長野県知事 田中康夫

その他のご質問をお受けいたします。

なければですね、私は今日も毎日新聞が二面使ってメディア規制三法案というものを考えるという特集を組んでおりますが、たいへんにこの問題は、おそらくここにいらっしゃる方も憂慮なさっているのじゃないかと思いますが、たいへんに私は憂慮しておりまして、こうした特集がきちんと組まれるということに高く敬意を表します。

他の表現メディアもそうでありますが、いずれにしてもその個人情報保護法案とか人権擁護法案とかですね、青少年有害社会環境対策基本法案という、言葉はたいへんに羊のように聞こえるけれども羊頭狗肉(ようとうくにく:見かけが立派で実質がこれに伴わないこと)であるという法案でして、この毎日新聞の中にもありますけれども、長野県出身の吉岡忍氏が日航機の御巣鷹山の事故に関して書きました「墜落の夏」というのは報道であると。報道である場合には、報道であるけれども山崎豊子さんの同じ題材の「沈まぬ太陽」は娯楽であると。

でもこれによってこの法案の規定、適用が変わるわけですけど、だれがどのように線引きするのかと。表現というものに関してですね、きわめてこの点があいまいでありまして、このシンポジウムを日本新聞協会や日本民間放送連盟が開かれた時に自民党の議員で、これ熊代さんというんでしょうか、熊代昭彦さんという方がご出席なさってらっしゃいますけれども、このメディアの主務大臣がどこになるのかわからないが情報の扱いに、つまり表現者の方のですね扱いに問題があるかどうかはその大臣が判断すると。

仮に大臣が権利を乱用することがあっても、最後は訴訟で阻止できるので問題はないって言ってんですけど、昨日福田康夫官房長官がですね、最近根拠や事実のない報道がよく出てくると、いったいどういう世の中になったのか、私に関する記事も相当いいかげんなことがあると、たいへんに舌ぽう鋭く不快感を表明されてんですけども、多くのたぶん市民は政治も相当いいかげんなことがあると思ってるわけでありまして、この三法案に関して、私は小泉さんの改革というのは死にものぐるいで続けていただきたいと思ってるのですが、いずれにしてもこの三法案に関して、やはり表現に携わる人はすべての人かもしれませんが、それぞれのやはり行政の責任のある立場にいる者もですね、一人ひとりの市民の言論の自由、あるいは反論の自由ということを守るために、このメディア三法案というものはですね慎重にと言うよりもですね、むしろこれはもう一度議論をこの提案から含めてですね出直すというようなことがたいへん求められてると私は思っております。


 

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知事会見 平成14年4月26日(金) 県庁5F「表現センター」
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20020426n.htm

テレビ信州(TSB) 三石剛史氏

テレビ信州の三石剛史と申します。

二点お願いしたいんですが、一つが青少年保護育成条例に関してでして、先日、長野市の審議会のほうが今週の初めなんですが、条例の改正を決めまして、内容的にはこれまでの行政指導を経ないで条例に反した業者について警察が直ちに取り締まれるというような強化案ということなんですが、知事は以前からこの青少年保護育成条例には反対ということをおっしゃってたと思うんですが、ここへきて県議会のほうでも制定へ向けた動きが出ておりまして、この条例についての質問が一点と、もう一つはいわゆるメディア規制三法案についてなんですが、これについても、知事は以前からお話しはいろいろとされてるかと思うんですが、昨日から個人情報保護法案の審議も始まりまして、総理のほうも表現の自由を侵すものではないというようなことを強調していますが、こちらについても、改めて知事の見解を聞かしていただければと思います。

長野県知事 田中康夫

青少年保護育成条例、あるいはそうした名称に近いものというものを設けずに、一人ひとりの自立した市民、県民の判断によって、望ましき社会や望ましき青少年の環境というものをはぐくんでいくというのは、これは数少なき私が県知事になりましてからもなお、長野県の県政の継続事項でございまして、県政の継続ということも、あるいは県議会の方々は時として、県議会の方が君子であるか否かは今は民主主義の世の中でございますから、君子という言葉がふさわしいかどうかは皆さまの判断にお任せしますが、君子豹変なさることもあるのかなと、意外な感じでございます。

長野市がおつくりになられると呼ばれている条例でございますか、全文を読んだことがあるわけではございませんが、いずれにしても46都道府県、同様の条例ができて、長野県よりも青少年にとっての環境が望ましい状況に著しくあるという都道府県は寡聞にして存じ上げないわけでございまして、そのような条例を設ければ、青少年は健全にはぐくまれるというお考えの方は、ぜひこの思慮が足らぬ県知事に条例を設けたことによって著しく青少年の環境が向上したという事例をお示しいただきたいものだと思いますし、条例を設ければ、そのような環境がおとずれるというのは、まさに私の県知事選の時の争点でもありましたもう一つトンネルや、もう一つ橋をつくれば、その町は豊かになり人々が戻ってくるというのと同じ、大変に幻想に過ぎないと思っております。

そしてメディア三法案というものは、これは今日この会場におられる皆さまも、皆さまの所属なされる日本新聞協会や同様のグループというものが、私と同様の見解を述べているからということだけではなく、きわめていずれも人権擁護法、個人情報保護法といった羊頭狗肉(ようとうくにく:見かけが立派で実質がこれに伴わないこと)の名称でありまして、これは前から申し上げてるように、自ら判断や責任を行うことができずに、権威のみを保持したいと、保持することにきゅうきゅうとなさっている権力者ならぬ権威者というものが、自らの都合が悪いことを包み隠そうとする、情報公開や説明責任ということのおよそ対極にある法案であるということであります。

であればこそ、その立場を越えて多くの方が懸念を表してるわけでして、けれどもそのメディア三法案というものの中の二法案を是が非でも成立させたいと意気込んでらっしゃる小泉純一郎首相も、正式名称がいまだに覚えられませんが、やたらと長い、青少年有害うんたらかんたら法というものに関しては、いち早くこれには多くの問題があると言って、審議をすることを自ら政権与党も断念されてるわけでして、そのようになし崩しの様々なことが説明責任や情報公開も行われぬまま行われがちな永田町においても、永田町のかすかな良心が、良識がですね、くい止めたのと似たようなものが、周回遅れで長野県が設ける必要は何らないと、私は思っております。

産経新聞社 西川博明氏

すいません。産経新聞社の西川と申しますけども、先ほどの質問の関連で、青少年保護育成条例の関連なんですが、長野市さんの今改正しようとしている案というのがですね、有害図書の指定というのをですね、一部変えるという点が主なところなんですが、行政側がですね、有害図書を指定する点について田中知事のご所見をお伺いできればありがたいんですが。

長野県知事 田中康夫

まさにメディア三法案に反対なさる方はですね、そのような行政という権力の側がですね、表現活動に関して行政の側のみの意見でですね判断、そこには市民である方が委員に加わるのかもしれませんが、そのようなことは少なくともメディア三法に反対される方は、このような長野市が計画されているような条例に賛成なさるというのは論理矛盾であると私は思います。

仮に長野市が求められているようなもの、あるいは長野県議会が求められているような条例をお望みの方は、メディア三法案という名前からもわかるように、すべてリンク(link:つながる、関連づける)、有機的にリンクしておりますから、個人情報保護法にも人権擁護法にも、もろ手を挙げてご賛同なさるというのが、同じ一人の人間としての整合ではなかろうかと思いますが。

それと行政の側…もう一点はですね、どのような根拠を持ってか、わかりませんが、これもまた日本という社会の内部にとどまらず、世界広しといえども、世界を見回してですね、そのような権力の側の規制によってですね、かぎ括弧付きの、様々な判断がありますが「有害」と呼ばれるような図書がですね、根絶した、あるいはその発行が著しく減少したという社会は、これもまた私はあまり寡聞にして存じ上げませんので、やはりそういう規制は自立ということとは対極にあるんだと思いますね。

そしてその「有害」ということもこれは様々な、おそらく性的な問題を捉えてらっしゃるのでしょうが、性的な問題のみならず政治的な発言であったりですね、極論すれば構造改革に賛成か反対かというのは、経済上のような問題までどちらかの意見を言うものは「有害」であるというふうに権力が一方的に決めるっていうのは、大変私は好ましい社会じゃないと思ってますね。

いずれにしてもその法律をつくれば事足りるという考えでいるのならば、それは違うと。

むしろこれは、もう何か神学論争のように聞こえるかもしれませんが、やはり大元のところで、建前と本音を巧妙に使い分けるような社会があるということこそが最も「有害」でありまして、と思いますが。

産経新聞社 西川博明氏

じゃあ今のお話しを伺いますと、権力側のほうからですね、有害図書を指定するというのは、田中知事のご考えでは望ましくないというご理解でよろしいんでしょうか。

長野県知事 田中康夫

ですから、その有害が何かですけど、権力というかそういう行政であったり国家であったりの側がですね、表現の活動に関して意見を述べるのならばいいでしょうけれども、規制をするということは、法律に基づいての規制をするということは、私は好ましくないと思います。


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知事発言をまとめます。

1 青少年健全育成条例の制定は今後も考えない

2 一人ひとりが自立し自己判断を行える社会を目指していかねばならない

3 青少年に限らず、未熟な業界や自治体には、規制という形でなく自立を促すような手だてが必要である

4 一人ひとりが自立して判断できる社会は、官の増大化を防いでいく

5 長野県の青少年政策の素晴らしさは、青少年の望ましき人間としての成長を(規制によってではなく)市民一人ひとりの共同参画によって育もうということである

6 条例を設けることによって青少年が「健全化」するという考え方は賛成できない

7 メディア規制三法案に憂慮する。規制三法案は、市民の言論の自由、反論の自由を守るために、法案の再提出を含め、議論を出直すべきである

8 青少年の自立を促す長野県施政を放棄し条例による規制を作ろうとする県議会の動向は、「君子豹変す」であり、意外である

9 条例の無い長野県よりも規制条例が在る都道府県の方が著しく望ましい青少年環境にあるという事実は承知していない

10 青少年有害社会環境対策基本法案の国会上程を永田町のかすかな良心がくい止めたのであるから、長野県が周回遅れで同様の条例を設ける必要はない

11 メディア三法に反対する方が長野市が計画する青少年健全育成条例改正に賛成するのは論理矛盾である

12 メディア三法と青少年健全育成条例は有機的にリンクしている。メディア三法には反対し青少年健全育成条例に賛成するという立場は整合性が無い

13 権力側の規制によって「有害」と呼ばれる図書が根絶した社会は承知していない

14 有害図書規制は、自立ということとは対極にある

15 「有害」ということは性的問題に限らず政治的・経済的発言に対しても向けられ得るから、「有害」の内容を権力が一方的に決める社会は好ましくない

16 建前と本音を巧妙に使い分ける社会があるということこそが最も「有害」である

 

田中知事のこれら16項目の見解に、私は同意です。

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(キタノ)
ki@tree.odn.ne.jp
http://zirr.infoseek.ne.jp/
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