2002.12.18
メディア規正法案が国会上程されメディアと人権の問題が注目された時、メディアの報道の質が問われ、番組内容や取材方法について議論され、メディア自身にも問題があることが、様様な人たちから指摘されていました。
しかし、興味本意な番組作りと心無い取材を行う番組は、無くなっていません。朝のワイドショー(自称「情報番組」)の「とくダネ!」を観て、私はそう感じました。
2002年12月16日にオンエアされた「とくダネ!」で、ノーベル賞受賞式から帰国した田中さんの模様が放送されたのですが、これが噴飯ものです。
私は「とくダネ!」のすべてのコーナーが悪い、などと言いたいのではありません。でも、これはなんですか、「帰って寝たい」というキャプションは?
ノーベル賞受賞者の注目すべきコメントが「帰って寝たい」「授賞式はカエル跳び?」ですか。
くだらない。
興味本意にもほどがあります。田中耕一さんがそう言ったのは事実かもしれませんが、もっと伝えるべき重要な事実があるのではありませんか? 田中耕一さんの科学的業績をバカにしていませんか? 科学的業績についての発言が、番組でまったく提供されていないのはなぜなんですか?
繰り返しますが、私は、「とくダネ!」のすべての報道や取材がおかしいと言いたいわけではありません。
でも、このコーナーで紹介されていた情報やその取材方法は、端から見てもひどいものです。田中さんの、この疲れきった顔を見てください。
ノーベル財団関係者や海外メディアからも、田中耕一さんに向けられた、日本のマスメディアによる異常な取材方法や非常識・無見識な質問に、批判がありました。
どういう神経だと、動く歩道で移動する田中さんの横でカメラを持って走って追いかけて、この疲れきった田中さんの目の前で、「田中さーん!田中さーん!」と大声で叫んで無理矢理顔を向けさせて、「お帰りなさあ〜い! これからのご予定わぁ?」というような質問をすることができるのでしょうか? そういうのをパパラッチと言うのではありませんか?
それになんですか、「田中さんお疲れさま」って。
疲れさせているのは、メディアスクラムをしかけている取材スタッフではありませんか?
人権擁護法案審議で問題になったメディアスクラムについての反省は、フジテレビにはまったく無いのですか?!
フジテレビが加入している日本民間放送連盟の「放送基準」には、このような基準が定められています。
http://www.nab.or.jp/htm/ethics/base.html
1章 人権
(3) プライバシーを侵すような取り扱いはしない。
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また、日本民間放送連盟の「報道指針」には、このような指針も示されています。
http://www.nab.or.jp/htm/ethics/motto.html
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3.人権の尊重
取材・報道の自由は、あらゆる人々の基本的人権の実現に寄与すべきものであって、不当に基本的人権を侵すようなことがあってはならない。市民の知る権利に応えるわれわれの報道活動は、取材・報道される側の基本的人 権を最大限に尊重する。
4.報道表現
報道における表現は、節度と品位をもって行われなければならない。過度の演出、センセーショナリズムは、報道活動の公正さに疑念を抱かせ、市民の信頼を損なう。
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「とくダネ!」のレポーター(上の画像右側女性)は、番組の中で、取材スタッフの姿をみた田中さんが動く歩道で奥さんにささやいた「走ってる…走ってる…」という言葉を、自慢げに伝えていました。
奥さんにささやいた個人的な私語まで盗み聞きして、なぜ公共の周波数を使って伝えなければならないのでしょうか? なんの意味があるんですか? 田中さんは芸能アイドルですか? やりすぎです。
日本民間放送連盟は、昨年冬、「集団的過熱取材(メディア・スクラム)問題に関する民放連の対応について 」という指針を示し、加盟各社に対応を求めていました。
http://www.nab.or.jp/htm/press/press200112202.html
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1.集団的過熱取材に関する取材上の留意点
『民放連・報道指針』は「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る。事件・事故・災害の被害者、家族、関係者に対し、節度をもった姿勢で接する」と明記している。取材者が集団化して取材相手に圧力を加えかねない状況においては、上記の指針がより厳格に守られる必要がある。
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「とくダネ!」のスタッフ全員が「基準」や「指針」や「留意点」を守っていない、などと私は言うつもりはありません。守っていないのは一部の社員だけなのかもしれませんし、他の会社の取材スタッフの方が悪いとか、他の番組スタッフの方が悪いというような主張もあるのかもしれません。
ですが、取材対象者を追かけまわしたり、動く歩道の正面に陣取って延々とカメラをまわして、いやがって顔をそむけ
ている田中さんに向って、大声で叫んで振り向かせて「使える絵」を撮るというような「とくダネ!」の取材方法は、どんな合理的理由があるのか、私には理解できません。
倫理的な「基準」や「指針」や「留意点」は、少なくとも「とくダネ!」の取材スタッフについては、「絵に描いた餅」、「看板に偽り在り」だったと疑わざるを得ません。
番組にゲスト出演していたピーコひとりだけが、「たしかに日本のマスコミの取材はひどい」というようなコメントを言っていました。その点は番組の良識として評価できます。
しかし、番組の司会の小倉智昭氏は「田中さんは注目されている人だから」と開き直り、無反省でした。ピーコが閉口するほど自己弁護に終始していました。
なぜ番組は、「田中さんには迷惑をかけた。すまなかった」と言えないのでしょうか? マスメディアの危機感の無さに、呆れます。
注目されていようがいまいが、取材方法には自ずと限度というものがあります。違いますか?
フジテレビは、2002年4月18日に、「メディア規制3法に対するフジテレビの考え方」というプレスリリースで人権擁護法案に反対を表明していました。
フジテレビの「メディア規制3法に対するフジテレビの考え方」の主張と、「とくダネ!」でやっている取材や報道は、矛盾していませんか? 「報道の自由」と「視聴率の獲得」、どちらがフジテレビの本音でしょうか?
私は、メディアの取材を規制する人権擁護法政府案に賛成するつもりはありません。メディア規制的な内容を含む人権擁護法政府案には反対です。でも反対している理由は、メディアスクラムで取材対象者に蛮行をふるい、興味本意の番組づくりで権力と一体化しつつあるマスメディアを擁護したいからではありません。
権力監視というジャーナリズム本来の目的を達成しようとするジャーナリストの、「報道の自由権」を擁護し、報道の自由の保障の下で行われる調査報道によって明らかにされる真実を私は守りたいから、条文に瑕疵のある人権擁護法政府案に反対しているのです。
一部メディアの一部番組に感情的な不快さを感じることがあっても、「マスメディアはぜんぶまとめてつぶれてしまえ!」など と言うつもりは私にはありません。マスメディアの社員の中にも、メディアスクラムはおかしい、こんな番組づくりはおかしいと疑問に感じているジャーナリスト、放送人はいますから。
わたしが言いたいのは、メディアスクラムはおかしい、こんな番組づくりはおかしいと疑問に感じているジャーナリストが、しかるべき発言力を持って番組をコントロールし、本来なすべき調査報道活動を行い、報道倫理に反した番組製作を放送局自身が改めるべきだということです。
そういう自律的な倫理バランスが、「とくダネ!」の例のように、第三者の目から見て無いと思える状態だから、「法律で強制してでもなんとかしろ!」という世論が大きくなり、人権を擁護しない「人権擁護法案(政府案)」なんて珍法案が恥ずかしげもなく出てくるのではありませんか。
こんな番組づくりはおかしいと疑問に感じているジャーナリストが、なぜ「こんな取材はおかしい」「こんな番組づくりはやめろ」と言えないのでしょうか。まともなジャーナリストが局内で発言力を持たないのは、なぜなのでしょうか。
司会の「注目されている人だから」という開き直りの言葉がでてくる背景には、注目されりゃなんでもいい、世間が目をひく話題で数字(視聴率)をあげることが正義だ、などという気持ちを持っている番組関係者が、番組づくりや取材方法について発言力を持っているからではないか、という疑問が私にはありますが、それは根拠のない邪推でしょうか?
ではこれは何ですか?
上記のごときフジテレビの姿勢を見る限り、わたしのフジテレビへの疑問は、私の心の中で確信へと変ってゆかざるを得ません。
尚、メディアスクラムに荷担し、興味本意の番組づくりをしていたフジテレビ「とくダネ!」の提供企業は、花王と…

ご覧の各社です。
私は、これらの企業の商品やサービスを、これからは買わないつもりです。 (永遠に、というわけではありません。提供企業の対応次第によっては再考します)
関連リンク
■フジテレビ
・とくダネ!(紹介ページ)
http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/tokudane/
・とくダネ!(番組のページ)
http://www.fujitv.co.jp/jp/tokudane/index.html
番組へのご意見
http://www.fujitv.co.jp/jp/tokudane/mail/mailfrm.html
http://www.fujitv.co.jp/jp/tokudane/mail2/mailfrm.html
番組へのメッセージ送信フォーム
http://www.fujitv.co.jp/cgi-bin/banmail.cgi?899000011
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■参考リンク
・アリコジャパン
http://www.alico.co.jp/
https://www.alico.co.jp/scripts/createform.cgi?para=2
・不二家
http://www.fujiya-peko.co.jp/
http://www.fujiya-peko.co.jp/guide/mail/contact.html
・IWATANI
http://www.iwatani.co.jp/
http://www.iwatani.co.jp/jpn/about/index.html
・小林製薬
http://www.kobayashi.co.jp/
https://hint.kobayashi.co.jp/inq/inq0104.html
・佐川急便
http://www.sagawa-exp.co.jp/
https://www2.sagawa-exp.co.jp/communication/mail-j.html
・マスターフーズリミテッド
http://www.masterfoods.co.jp/index.html
(ペデイグリーチャム)
http://www.pet-foods.net/dog/pchum/
・NISSHIN
http://www.nisshin.com/
http://www.nisshin.com/mail.html
・花王
http://www.kao.co.jp/
http://anex.kao.co.jp/soudan/mail/index_form.html
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注意書き:このページは、現段階では、特定企業商品の不買を一般に推奨するものではなく、私個人としての見解を示すことが主旨です。上記で示された企業が、問題の在る番組に対し番組の不当な介入とならない範囲で自主的に「節度と品位」を求めること、あるいは、問題のない番組に提供を変更することは、私は賛成です。
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