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法務省/共謀罪創設を諮問
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2002.09.07


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■[No.7943] 法務省/共謀罪創設を諮問 by (キタノ) 2002年09月07日 (土) 06時31分43秒【この記事にレス】

共謀罪創設諮問のニュースは、管理統制関係のニュースの中では傍受法適用の次ぐらいに大きいニュースかもしれません。盗聴捜査とか覆面裁判とか送金処罰とか共謀罪とかを盛り込んでいる条約を締結すること自体、問題だったんですけれどね。
9.11以降の世界の流れにのみこまれて、条約や組対法や共謀罪創設の問題性がクローズアップされないのは困ったものです。

刑法の判例では、非常に多くの問題を抱えていながらも、直接実行行為に参加しなかった者を共犯として刑法を適用する共謀共同正犯という観念を限定的に認めています。麻薬取締法の予備罪の適用も柔軟解釈で広く適用されています。
理論として批判はありますが、現実に判例や立法が存在し運用されていますから、新たな罪を創設する必要はありません。結論として、既に国内法は整備されているから、条約を締結しても、共謀罪の創設は必要ありません。

じゃあなぜあえて新たに共謀罪を創設するのか。
その理由は、判例解釈や従来の個別法を超えた行為も罰したいから。それ以外に立法理由がありません。
早い話、破防法には予備陰謀罪があるけれど現実には使えない。内乱陰謀罪や私戦準備罪のような広い法適用は一般犯罪ではできない。裁判所の判例解釈もあてにできない。だから組織犯罪条約をタテに“使える新破防法”を作ろう、ということでしょう。

判例の共謀共同正犯の解釈適用範囲は、無制限ではありません。共謀共同正犯が共同正犯として認められるためには、直接実行行為を分担しなかった単なる共謀者にも、なんらかの共同実行の事実が認められなければなりません。

 具体例を出しましょう。Aが、持っている覚醒剤をGに渡すために、Gとの取引のことをBに教えずに近道の道順を知人のBに聞いたとします。知人Bには、覚醒剤売買の意思は無いしGとの面識もありません。Aがやばそうなことをやっているという噂をBが知っていたとしても、近道の道順を教えたことが犯罪に使われるとはBには判断できませんから、Aに近道の道順を教えただけでは“現在の法律では”Bは罰せられません。

けれど、共謀罪は違います。BがAの覚醒剤売買を知っている場合、Aが近道の道順をBにたずねてBが教え、その結果としてAが覚醒剤売買を犯したら(犯そうとして未遂に終ったら)、Bに覚醒剤売買の意思が全くなくても共謀罪が成立してBは罰せられるかもしれません。

つまり、共謀罪は推定無罪のロジックが使いにくく、推定有罪になりやすい。通信傍受法と同様、「将来起るかもしれない犯罪」を罰する効果もあります。

推定有罪の法律ができるとどうなるかというと、それがたとえ善意であったとしても、組織犯罪者と接触したり協力してはならない、そういう効果を社会に与えます。これはある意味、破防法以上の効果です。
たとえば、組織犯罪者AがXという集会に頻繁に顔を出しているような場合、Aが犯罪を犯したら、その集会に出席している人がAの犯罪の共謀者ということで罰せられ、それがメディアで伝えられれば、Xという集会への参加それ自体が犯罪への参加ということになってしまうかもしれません。インターネットで組織犯罪者AがNという巨大掲示板に頻繁に書き込みをしているような場合、N掲示板のAの投稿にレスした人がAの犯罪の共謀者ということで罰せられるということがメディアで伝えられれば、もうそのNという掲示板に書くこと自体が犯罪への参加ということになってしまうでしょう。将来起るかもしれない犯罪など、誰も予測できないのです。

憲法の集会結社の自由を侵すことになるような使われ方をさせない“歯止め”がないことも、共謀罪の問題です。

法務省筋の説明では、組織犯罪に限定しているから問題ないと説明しているようです。まったく歯止めになっていません。通信傍受法制定の時にも、公明党などが対象犯罪を組織犯罪に限定させたから問題無いと主張しましたが、適用暴走の歯止めにならないことは衆知の通りです。

アメリカやイギリスにも共謀罪があるじゃないかという議論もありますが、英米法体系のもとでの立法と日本国のような大陸法体系の中の立法とでは事情が異なりますから、そのような議論は不適当です。

いずれにしても共謀罪の創設は冤罪の原因になると同時に、社会秩序そのものを変質させるおそれがある危険な法と思われます。法制審議会は、共謀罪は制定すべきではないと答申を出すべきです。

・法務省/法制審議会「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴う罰則等の整備に関する諮問」(平成14年9月3日)
http://www.moj.go.jp/SHINGI/020903-3.html
・法務省/法制審議会審議会情報
http://www.moj.go.jp/SHINGI/index.html
・法務省/定例記者会見要旨(平成14年9月3日/共謀罪創設についての質疑応答は無し)
http://www.moj.go.jp/SPEECH/POINT/speech0104-137.html
・令状を考える会/国際的組織犯罪条約批准阻止・先取り攻撃を許さない
http://www2s.biglobe.ne.jp/~reijo/siryo/data/2001_10_27kityo.htm
・<法制審諮問>組織犯罪共謀や証人買収に罰則規定を整備へ
http://www.mainichi.co.jp/universalon/narration/200209/03/04rtm049-400.html

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■[No.7944] Re[7943]: 法務省/共謀罪創設を諮問 by 崎山伸夫 2002年09月07日 (土) 15時02分05秒【この記事にレス】
キタノさんが書いてるレベルで問題になるとすると、「噂」を知った段階で
電話回線の契約とかインターネット接続の契約とか、
解除しないと通信業者は危ないってことになりません?
電話回線のほうはユニバーサルアクセスの観点から
NTTは契約を簡単に切れないのであんまり問題にならないと思うけど。

暗号技術的には、「中身を知らせずに何かしてもらう」という技術がいろいろある
(blind signatureとか、secure multiparty computation とか)
のだけど、そういうものも応用によってはリスクが高くて
使えないってことになるのかなぁ...。


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■[No.7945] Re[7944][7943]: 法務省/共謀罪創設を諮問 by (キタノ) 2002年09月08日 (日) 00時15分46秒【この記事にレス】
 
> キタノさんが書いてるレベルで問題になるとすると、「噂」を知った段階で
> 電話回線の契約とかインターネット接続の契約とか、
> 解除しないと通信業者は危ないってことになりません?

理論としては限界事例でしょうけれど、そういう解釈もあり得ないともいえないですね。プロバイダの職員が組織犯罪の部下だという情報があって犯罪の実行の証拠がまったく出てこないというような場合、とりあえずその職員を逮捕して吐かせようというような時に、共謀罪が使えそうですよね。

共謀罪ができてもすぐに使うのではなくて、通信傍受法や破防法みたいに、法律を適用せずに使うことを考えているのではないでしょうか。刀を持っていない相手に刀を見せるだけでも使える、みたいに。

前の例でいうと、容疑者に「なんなら共謀罪を適用して逮捕する事だってできるんだぞ」と脅して任意出頭させるとか、任意で情報を提供させるとか、使い方はいろいろあります。

NTTの場合は、理論としては共謀罪適用の可能性はあるでしょうけれど、崎山さんが仰る通りユニバーサルサービスですし、業務上知り得た秘密は通信の秘密があって漏洩できないことになっていますから、そういう意味では漏洩した事実が示されない限り共謀罪の適用は簡単にはいかないでしょうね。共謀罪という強力な兵武器を使うときは、使うなりの理由が必要だと思います。

暗号は、共謀罪ができても使えると思います。ただ、通信に暗号が使われているということ自体を知られてしまうことで暗号化する価値が無くなる場合がありますから、そういう意味でいうと暗号が共謀罪適用のカウンターにならないケースも出てくるでしょうね。

共謀罪をバンバン濫用して冤罪でまくり状態になれば批判しやすいですけれど、そうじゃなくて「使うこともできる」「あいつとき手を切れ」「警察に協力しろ」みたいにこっそり世間にバレないように脅しをきかせる使い方をして、通信事業者も任意で協力するでしょうから、一度法律作っちゃうと元に戻すのはなかなか難しいと思います。

共謀罪を作らせないのがベストですが、作ったら廃案にすればいいという問題でもなくて、根本的には、憲法人権規程をネットワークに適用させる「ネットワーク人権法」みたいなものを作って、こういう場合にはプロバイダやユーザーは警察の任意協力を拒否できる、みたいなユーザーの権利を確立する法律を整備していかないとだめだと思います。


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■[No.7955] Re[7948][7947][7945][7944][7943]: 法務省/共謀罪創設を諮問 by (キタノ) 2002年09月13日 (金) 23時20分44秒【この記事にレス】

ぐるんぐるんと根回しが始まっています。

■デイリー自民
・国連国際組織犯罪条約締結に向けての国内法整備状況を聞く 司法制度調査会小委(9/10)
http://www.jimin.jp/jimin/daily/02_09/10/140910c.shtml
条約・議定書を締結するためには国内法の整備が必要となっている。このため、法務省は今月3日、法制審議会に立法措置について諮問、「来年の通常国会に法案提出を目指している」と説明した。

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